新米と一緒にほうばりたい!プロが教える秋のごちそうおにぎり3選

秋の味覚を詰め込んだ究極の“ほぐれおにぎり”

新米と耳にするたびに心躍るこの季節。新米をよりおいしく食べる方法はないか……と考えたとき、真っ先に思い浮かんだのが、出張でふわっふわのおにぎりを握る「出張ほぐれおにぎりスタンド」です。

「出張ほぐれおにぎりスタンド」のおふたりが織りなすほぐれおにぎりは、そのふわふわ感もさることながら、斬新な具材にも驚かされます。

具材はいつもおふたりで案を出し合うとのことですが、「おにぎりも季節感を大切にしてるので、まず具材を決めてから、それに合った味付けやお米の種類や炊き方を選んでいます」と橋本さん。

「おにぎりを通して今の季節を体験したり喜んだりしてもらいたいという想いが強いかもしれません」という詫摩さんの言葉どおり、握ったおにぎりを差し出したときのおふたりの笑顔からも、お客さんの喜びの体験を大切にしていることが伺えました。

ほぐれおにぎりの握り方については、上記リンクの記事で取り上げたので、今回は主にそれぞれのおにぎりに入れる具材のレシピを紹介させていただきます。

新米を使って上手におにぎりを握るポイントは?

今回のレシピは、旬の食材に加えて、新米で握るという部分も楽しみのひとつ。そもそも、新米と古米では炊き方の工夫や味の違いなどはあるのでしょうか。

「昔は新米と古米の差は大きかったんですが、今はそれほど違いはありません。農家さんの努力によって保存環境が良くなったことで、古米の風味の劣化を防げるようになりましたから。でも“新米”って聞くとワクワクするから、やっぱりこの季節は大好きですね」(詫摩さん)

「農家さんが1年間、手塩に掛けて育てたお米を味わえるのがこの季節です。農家さんにとっては初出しという記念すべきお米なので、僕たちのテンションも一段と上がりますよ」(橋本さん)

農家さんの想いも込めて新米を握るおふたり。新米のおにぎりは作り手の気持ちはもちろん、食べる側の私たちのテンションも高めてくれますね。

1. 秋鮭のガーリックバター醤油おにぎり

「脂がしっかりのった旬の秋鮭を主役にしたひと品です。佐賀の醤油をベースにしたガーリックバター醤油と舞茸で、食感とインパクトを加えました。鮭と舞茸とふっくらとしたごはん、そして食べる直前に巻いた海苔のパリパリ食感の組み合わせは相性抜群ですよ!」(詫摩さん)

「『出張ほぐれおにぎりスタンド』のおにぎりは、塩分だけに頼らない複雑な味のバランスが絶妙なんです。甘味、塩味、旨味の掛け算が、おにぎりに深みを与えてくれます。秋鮭のガーリックバター醤油は、まさに黄金比の味のバランス!」(橋本さん)

材料(10個分)

・秋鮭……2切れ
・⽚栗粉……⼤さじ1杯
・舞茸……50g
a. 醤油……⼤さじ1.5杯
a. ⽇本酒……⼤さじ1杯
a. みりん……⼩さじ2杯
a. にんにく(すりおろし)……⼩さじ1杯
a. 有塩バター……10g

b. 醤油……⼤さじ2杯
b. みりん……⼤さじ1杯
b. ⽇本酒……⼩さじ1杯
b. 砂糖……⼩さじ1杯
c. ⼩ねぎ……50g
c. 酢……⼩さじ1杯
c. ごま油……少々

作り⽅

1. 鮭をひと⼝⼤に切り、⽚栗粉を全体にまぶす

2. 熱したフライパンに油をひき、表⾯が少し焦げるまで鮭を炒めたら舞茸も加えて⽕をとおす

3. (a)を⼊れて、全体に味が絡まったら⽕をとめる

4. 別の⼩鍋で(b)を熱しアルコールを⾶ばしたら、(c)を入れて香味ダレを作る

5. 3の鮭に4の⾹味だれをのせたら完成

2. しいたけと長ねぎの醤油煎おにぎり

「海の幸ときたら、次は山の幸!やっぱり秋はきのこがおいしいですよね。そのなかから、旨味と香りの強いしいたけをチョイス。しいたけと相性が良い長ねぎを醤油で煎ることで、香り高いおにぎりに仕上がりました」(詫摩さん)

「2つの食材の香りを殺さないよう、醤油を入れすぎないことがポイントです。椎茸の大きさも、小さすぎず大きすぎない親指の爪くらいの大きさが、おにぎりとマッチする面白い食感を与えてくれますよ」(橋本さん)

材料(約10個分)

・⻑ねぎ……2本
・⽣しいたけ……10枚
・醤油……⼤さじ2杯
・⽇本酒……⼤さじ1杯
・ごま油……少々

作り⽅

1. ⻑ねぎを長さ1cm・幅3mmほどのサイズにみじん切りし、しいたけは⽯づきを取って6等分に切る

2. フライパンに油を熱し、しいたけを強⽕で炒める

3. しいたけが油を吸うので油を少々⾜し、⻑ねぎを加えてさらに炒める

4. ⽇本酒と醤油を加え、さらに炒める(炒めすぎるとねぎがしなびるので注意)

5. ⽕を⽌め、ごま油をひとまわししたら完成

3. かぼちゃカレーの玄米おにぎり

「秋はおいしいものがたくさんあるので迷いましたが、3つめは芋栗南京からかぼちゃを選びました。新米の玄米のおいしさを存分に味わっていただきたく、玄米と相性の良いカレーをおにぎりに合うように仕上げています」(詫摩さん)

「豚肉にしっかりと下味を付けて、トマトの水分も残しつつドライカレーのようにしっとりするまで煮込むのがポイントです。かぼちゃの甘みとスパイシーなカレーと玄米のマッチングはもちろん、差し色に入れたオクラの食感もたまらない新感覚のおにぎりですよ」(橋本さん)

材料(約10個分)

・かぼちゃ……200g
・トマト……5個

・豚ひき⾁……200g
a. にんにく(すりおろし)……10g
a. しょうが(すりおろし)……10g
a. カレー粉……⼤さじ1杯
a. 醤油……⼤さじ1杯
a. みりん……⼤さじ1杯

b. かつお出汁……200cc
b. ⽣クリーム……50cc
b. 醤油……⼤さじ2杯
b. ごま油……⼤さじ1杯
b. 酢……⼤さじ1と1/2杯
b. オイスターソース……⼤さじ1杯

作り⽅

1. かぼちゃは⼩さくカットし、電⼦レンジ600Wで2分半加熱する

2. トマトはヘタを取って、乱切りにする

3. フライパンで豚ひき⾁を炒め、⾊が変わったら(a)を⼊れて炒める

4. 3に1のかぼちゃを加え、さらに炒める

5. 4に(b)とトマトを加え、弱⽕で10分ほど煮込み、トマトの⽔分がなくなってとろみがついたら完成

ほぐれおにぎりから口いっぱいに広がる秋の味覚

秋の味覚がたっぷりつまったほぐれおにぎりは、おにぎりという食べ物の魅力を再認識させてくれました。このほぐれおにぎりを引っさげ、国内外問わず全国各地のポップアップイベントで活躍中の「出張ほぐれおにぎりスタンド」のおふたり。もしお住まいの近くに来られたときは、ぜひその舌で味わっていただきたいものです。

「どんな具材を握るにしても、食材ごとにごはんと塩のちょうど良いバランスがあります。僕らも何度も試作しながら具材の量や塩加減を調整しているので、ぜひ皆さんも自分だけの黄金比を見つけてくれたらうれしいです!」と橋本さん。

詫摩さんも「ほぐれおにぎりは、握る力加減も大切です。僕らもお互いにおにぎりを握り合って、その日のコンディションを調整したりするんですよ(笑)」と弾ける笑顔で話してくれました。

手を握り合うだけでなく、おにぎりを握り合うことで生まれる絆――。おにぎりにはまだ知らない魅力がたくさんつまっているようです。

取材・文/鎌上織愛
構成・写真/植松富志男(macaroni編集部)