今年に入り近畿で負債額最大の新型コロナ関連倒産

 ユーロテックジャパン(株)(TDB企業コード:037000587、資本金6000万円、和歌山県西牟婁郡白浜町2926、代表古家恒昌氏、従業員20名)は、8月31日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日監督命令および弁済禁止の保全処分を受けた。

 申請代理人は佐藤俊弁護士(大阪府大阪市北区中之島2-3-18中之島フェスティバルタワー27階、弁護士法人大江橋法律事務所、電話06-6208-1326)ほか3名。監督委員には上田純弁護士(大阪府大阪市北区中之島2-2-2 大阪中之島ビル4階、久保井総合法律事務所、電話06-6222-5255)が選任されている。

 当社は、2010年(平成22年)7月に設立したヘリコプター販売及び賃貸業者。主力業務のヘリコプター販売・賃貸部門は、2017年に国土交通省から「航空運送事業及び航空機使用事業許可」を取得し、官公庁のほか民間企業への販売・賃貸を手掛けていた。販売するヘリコプターは、主に小型から中型機で1機あたりの販売価格は1億円〜3億円がボリュームゾーンで、賃貸業務については警察庁や消防庁などの官公庁や民間企業が主体となっていた。他にも和歌山県から防災ヘリコプターの運行を受託するほか、航空機内の通信機器や計器類、航空カメラなど機器販売も手がけていた。創業者の小倉正基氏(令和3年1月取締役退任)は和歌山県警や和歌山県赤十字特別救護隊のパイロット経験があったことで、警察庁及び消防庁の新人パイロット用にライセンス取得訓練なども手掛け、大口受注を得た2018年3月期には年収入高は約11億5000万円を計上していた。

 しかし、業界内の大手企業が多く、競合による価格競争が激しかったことで案件によっては薄利販売を余儀なくされるケースが多く、2020年以降は、新型コロナウイルスの影響により技術者の渡航が困難となったことで大口の販売がストップする事態が発生。業績が大きく落ち込み、2021年3月期には年収高は約3億3000万円までダウン。人件費負担や金融負担は重く、営業段階から損失を計上していた。さらに、取引先からの支払猶予や貸付を受けて、資金を繰り回していたものの、長引く新型コロナウイルスの影響から収入高が回復せず、ここに来て自力再建を断念し、民事再生による再建を目指すこととなった。

 負債は約72億円。

 今後は、スポンサー支援を検討している企業からの、支援を受ける形で早期での再建を目指すとしている。