映画の公開に号泣する篠原ゆき子

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 女優の篠原ゆき子が1日、よしもと有楽町シアターで行われた主演映画『女たち』(公開中)の初日舞台あいさつに共演の高畑淳子、サヘル・ローズ、そして本作を大絶賛している映画コメンテーターのLiLiCoと共に出席。篠原はコロナ禍で制作および公開が困難を極める中、無事公開できたことに号泣すると、LiLiCoや他の登壇者たちも、みな感涙していた。

 日本映画界でセンセーショナルな作品を世に送り出し続けている奥山和由プロデューサーが製作を務めた本作。自然豊かで緑が眩しい山間の小さな田舎町で、母親の介護をしながら学童保育所で働くアラフォーの独身女性・美咲(篠原)が、自身に降りかかるさまざまな困難に追い込まれながら、懸命に前に進もうともがく姿を描く。『おだやかな日常』などの内田伸輝がメガホンを取った。

 緊急事態宣言が延長されるなど、映画が公開できるかギリギリまでわからないという状況下。この日の初日舞台あいさつも開催可否が定まらない中、本作を鑑賞したLiLiCoが「埋もれさせてはいけない」と呼びかけて実施された。

 登壇時からすでに涙ぐんでいたLiLiCoは「なんでこんなに叫びが聞こえてくるんだろう」と、どっぷり感情移入してしまったと言うと、映画の話をするたびに終始目から涙がこぼれる状況。

 劇中では、篠原ふんする美咲と、高畑演じるその母・美津子が想像を絶するようなバトルを繰り広げる。撮影中、篠原は「美津子と高畑さんがごっちゃになってしまい、とにかく怖かった。普通に高畑さんから質問されても泣き出してしまいました」と振り返ると、高畑は「監督から『この映画は高畑さんがいかに鬼ババアをやるかにかかっています』と言われたのが印象に残っています」と覚悟を持って臨んだという。

 崖っぷちの「女たち」の覚悟が描かれている本作。決してハッピーな展開が続くわけではない。LiLiCoは「わたしもはたから見たらハッピーに見えるかもしれませんが、いっぱい傷つけられていることもあります」と声を詰まらせる。

 続けてLiLiCoは「でもこの映画を観て生きていることが大事ということがわかります。この映画が賞に絡んでこないとおかしいと思います」と力強く後押しすると、高畑も「先日、京都で久々に映画館の座席に座りました。スクリーンを前にして涙が止まりませんでした。この時期みんな心が弱っていると思います。映画はその心を強くしてくれる。この映画にもそんな力があります」と涙を見せた。

 たくさんの思いを受けた篠原は「本当に今日という日を迎えられて嬉しいです」と号泣したが、「いま心が健康でない人、追い込まれているにも関わらず頑張って笑っている人がたくさんいると思います。そんな人たちにこの映画が届けば! みんなで生きていきましょう」と最後は笑顔で作品に込めたメッセージを伝えていた。(磯部正和)