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 (株)ワーコン(TDB企業コード:367018061、資本金3796万円、福岡県福岡市博多区博多駅東1-13-18、代表青木比登美氏)は、5月11日に福岡地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は南谷博子弁護士(福岡県福岡市中央区大名1-8-10、南谷綜合法律事務所、電話092-724-1113)。

 当社は2016年(平成28年)7月に設立。独自開発の非接触型センサー(マイクロ波で体表面を計測し、脈拍、呼吸、体動、酸素飽和度などを測定)で在宅療養中の高齢者などを24時間見守るサービスのほか、医療機関、タクシー会社、弁護士などと提携し、高齢者の見守り、安否確認、デイケアの紹介、衣食住のサポートなどを行う「WATCH CONCIERGE(ウォッチコンシェルジュ)」サービスや、大手通信業者等と共同開発したAIロボット「anco」と非接触型センサーを融合した見守りサービス「おるけん」を提供していた。

 「anco」は人工知能(AI)を使った対話機能を有するほか、体温計や血圧計などのバイタル測定機器からの情報収集も可能で、看護師に連絡する仕組みも備わっていた。マスコミにも取り上げられ、九州・山口の各県や商工会議所が主催する「九州・山口ベンチャーアワーズ(スタートアップ部門)」において「おるけん」が大賞を受賞するなど注目を集めていた。一般個人、市町村、病院、介護施設からの受注で、2018年6月期は年収入高約1億2900万円を計上した。

 しかしその後は、販路拡大が進まず苦戦を強いられていた。代理店網の構築等を模索していたものの、実証実験のデータ不足や料金設定の問題もあって、案件が保留や延期になるケースが相次ぎ、2019年6月期の年収入高は約100万円にまでダウン。営業損益段階からの赤字を余儀なくされた。開発費が嵩んで債務超過状態のなか、以降も赤字決算から脱却できず、今回の措置となった。

 負債は2019年6月期末時点で約1億9500万円。