『できたて専門チッキンラボ』のモモ肉(右・2個)とムネ肉(左・3個)。通常はモモ1個、ムネ2個で提供 | 食楽web

 東京・JR大塚駅の北口を出て少し歩くと、美味しそうなラーメン屋さんや定食屋さんなどが左右にズラリと並ぶ通りがあります。誘惑に耐えながらその一帯を通り抜けると、見えてくるのが『できたて専門チッキンラボ』。2年前にオープンした、気鋭のからあげ専門店です。

JR山手線・大塚駅北口から徒歩5分ほどで到着

 からあげグランプリでは昨年、東日本しょうゆダレ部門で金賞を、今年2021年はチキン南蛮部門で金賞を受賞している実力店です。今回はこちらで金賞受賞のからあげとチキン南蛮をいただいてきたので、その魅力をご紹介しましょう。

モモ肉よりもジューシーなムネ肉からあげに驚愕

ムネ肉からあげの断面。この見た目とは裏腹に、かなりジューシー!

 まずはからあげを。モモ肉とムネ肉の「ミックス」(モモ1個・ムネ2個、300円)をいただきます。1個50gほどはありそうな、やや大ぶりのからあげです。セオリー通り、ムネ肉から食べてみることにしましょう。

 ガブリとひと口食べた瞬間「あ、間違えた。これはモモ肉だ…」と思ってしまいましたが、それが大間違い。たしかにムネ肉なんです。漬けダレにしっかりと漬け込んだムネ肉は、モモ肉と間違ってしまうほどにやわらかく、ほろっと崩れるよう。噛んだときに、こんな崩れ方をするムネ肉は珍しい。

 しっとりとした口当たりで、それがすぐにトロリとした食感に転換されます。言うなれば“しっトロ”食感。しかもその食感に、肉のうま味が溶け出した肉汁が加わります。言われなければ、最後までモモ肉だと思い込んで食べてしまいそう。

こちらはモモ肉からあげの断面。肉汁もじんわり出てきます

 そのあとに食べたモモ肉からあげもたしかに美味しいのですが、やや物足りなく感じてしまうほど。店主の相馬弘征さんによると、味付けに使うスパイスに秘密があるようですが、そこは企業秘密とのこと。うーん、しかしスゴいムネ肉からあげがあったものです。

ムネ肉を使った重量級のチキン南蛮も絶品

チキン南蛮。最大幅は約16cm

 続いて「チキン南蛮」(380円)を。これもムネ肉を使っています。チキン南蛮発祥の地である宮崎県では、ムネ肉を使ったチキン南蛮はわりと一般的のようで、その意味でこれは本場の味に近いと言えそうです。

 こちらもセオリーに従って、まずはタルタルソースから。かなり甘めのタルタルですが、しつこさはありません。甘酢は酸味がやや強めですが、甘めのタルタルとのバランスはいいですね。タルタル×甘酢が濃いめの味を生み出しています。

肉の断面に濃いめのタルタルソースと甘酢をしっかり絡ませて食べましょう

 肉を箸で持ち上げると、ズシッとした重量感が伝わります。しかしその肉がやわらかいこと! 食べる前からそれがわかるほど、箸に挟まれた肉がじわっとしなる感じに食欲がかき立てられます。ひと口食べてみると、これまたムネ肉とは思えないほどのジューシーさ。「ホントにムネ肉?」と、またまた疑いの目を向けてしまった筆者です。

 イートインも可能なこちらのお店、お弁当などのテイクアウトも人気ですが、最近じわじわ人気になっているというメニューが、ムネ肉を使った「サラダチキン」(プレーン・450円)。これを試食用に少しだけお皿に盛りつけてもらいました。

サラダチキン(試食用なので少なめ)

 これもムネ肉とは思えない濃い味わいに圧倒されます。しっとりした唇触り、ほっくりした歯ざわり。かすかな甘みのほか、噛むほどに染み出す旨み。これはお酒のアテにもいけそうです。そのまま食べてももちろん美味しいのですが、フライドガーリックを使ったオリジナルのスパイスをふりかけるとピリッとしたアクセントが加わり、さらにお酒が進みそう。

フライドガーリックを使ったオリジナルスパイスをふりかけても美味

 おうち時間がしばらく続きそうですが、こちらのからあげやチキン南蛮を、おかずやおつまみにして、自宅で楽しむのは、かなりおすすめですよ。

●SHOP INFO

店名:できたて専門店 チッキンラボ

住:東京都豊島区北大塚3-32-20
TEL:03-6903-6070
営:11:00~21:00(フード21:00LO、ドリンク21:00LO)
休:不定休

●著者プロフィール

松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。