新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けずに、果たしてスケジュールどおりに消化できるのだろうか。

 日本代表が5月末から2週間強で、一気に5試合を消化する。

 3月25日から延期になったW杯アジア2次予選のミャンマー戦は、インターナショナルウインドウ外の5月28日開催とAFC(アジアサッカー連盟)が発表済みだ。会場は3月のモンゴル戦と同じく、千葉県のフクダ電子アリーナが想定されている。成田空港から近いフクアリは、コロナ対策のバブル方式に適している。

 日本代表の編成は簡単ではない。J1リーグは5月26日と27日に16節が、同29日と30日に17節が組まれている。Jリーガーを28日に起用するのは、現実的に不可能だ。予定どおり28日に消化されるのであれば、海外組のみでチームが編成されるだろう。

 タジキスタン、キルギスタン、ミャンマー、モンゴルとのホーム&アウェイで争われる2次予選で、日本は5連勝で首位に立っている。28日のミャンマー戦に勝てば、最終予選(3次予選)進出が決まる。6月7日のタジキスタン戦、15日のキルギスタン戦は、結果を問われない消化試合となる。

 6月上旬には、U―24日本代表のテストマッチも組まれている。ふたつのチームにとって理想的なシナリオは、5月28日のミャンマー戦で日本代表が2次予選突破を決め、6月の4試合はこれまで出場機会の少なかった選手、出場機会が与えられていない選手を広く起用する。U―24日本代表は、オーバーエイジの候補を加えてテストマッチに臨む──というものだろう。

 オーバーエイジには吉田麻也、酒井宏樹、大迫勇也、柴崎岳、遠藤航らの名前が挙がっているが、彼ら海外組は所属クラブの了承がなければ招集できない。また、新シーズンにクラブを変える選手が、出てくるかもしれない。16年のリオ五輪では手倉森誠監督が清武弘嗣の招集を検討したが、清武がハノーファーからセビージャへ移籍したため、リストから外すこととなった。

 そう考えると、オーバーエイジの候補を3人に絞ってU―24日本代表に合流させるのではなく、4人でも5人でもいいのではないか。オーバーエイジ合流の前提として2次予選突破は決まっているのだから、日本代表の主力が複数人不在でも問題ないだろう。

 むしろいまこの段階は、思い切ったテストができるはずだ。3月の韓国戦で山根視来が起用されたように、海外組で代表から遠ざかっている選手や、Jリーグで結果を出している選手を、積極的にテストしたい。

 3日と11日のテストマッチは、対戦相手がまだ決まっていない。ユーロに出場しないヨーロッパ勢が候補とされ、セルビアが候補にあがっている。ユーロ予選のプレーオフでスコットランドに敗れたセルビアは、日本に馴染み深いピクシーことドラガン・ストイコビッチが監督に就任している。

 すでに1か月を切っているなかで正式発表に至っていない理由が、新型コロナウイルス感染拡大にあるのは間違いない。日本代表の試合が行なわれる札幌(北海道)、大阪、神戸(兵庫県)には、緊急事態宣言や非常事態宣言が発出されている。5月11日までの期限は、5月末まで延長される。さらにはインド由来の変異株が増えていて、ワクチン接種も進んでいない日本を訪れることに、ヨーロッパの人々が抵抗を覚えてもおかしくない。

 6月12日に強化試合を予定していたラグビー日本代表は、7日に対戦相手を発表した。20年までスーパーラグビー(SR)に参戦したサンウルブズが選ばれた。

 サンウルブズとは、サッカーで言えばJリーグオールスターに相当するチームだ。SR参戦当時は海外からも選手を呼んでいたが、今回は「国内最強のメンバーを集めてチームを作る」としている。感染拡大のリスクを抑えるための、現実的な強化プランと言っていいだろう。

 6月に来日するヨーロッパのチームは、モチベーションが高くない。ヨーロッパ各国リーグが終了直後ということもあり、心身ともに休養を求めているからだ。

 3日と11日は冠スポンサーの着いたテストマッチのため、国際試合の以外の選択肢は考えにくい。J1各クラブは日程が詰まっているため、サンウルブズのようなチームとの対戦も難しい。
そのなかで、どのようなマッチメイクに着地させるのか。「この時期だから、これぐらいの相手になってしまうよな」という対戦相手は、何とかして避けてほしいのだが。