写真はイメージです(以下同じ)

 結婚したら子どもを持つのか持たないのか。わざわざこれを恋愛中に話し合うカップルは多くないのかもしれない。

 子どもがほしくてもできるとは限らないという問題もある。人は「恋愛」という気持ちよさに溺れて、つい「結婚」がゴールであるかのように考えがちだ。

 子どもはいらないという夫との離婚を視野に入れている女性に話を聞いた。

◆新婚旅行から避妊を欠かさない夫

 自分が家庭を持つとき、人はあらためて子どもがいたほうがいいかどうかを考えるものなのだろうか。アカリさん(36歳)は、結婚後、そんな思いにとらわれた。なぜなら、新婚旅行から、夫は避妊を欠かさなかったからだ。

「同い年の夫と出会ったのは30歳のとき。2年つきあって、どちらからともなく結婚しようという話になったんですよ。私は彼のことが大好きだったし、彼も私のことを好きだと確信していたし。なんの問題もない結婚だったんですよね」

 結婚後もお互いに仕事を続けるため、ふたりとも通勤時間が30分くらいですむ場所に新居を構えた。

「家賃は彼、光熱費と生活費は私、1ヶ月後にもし私のほうが多く出していたらそれは折半というアバウトな話し合いはしました。お互い、束縛するのが嫌な性格。だからなるべく自由に暮らしていこうとも言っていたんです」

 それでも結婚してからは、一緒に映画を観に行ったり、それぞれの母校の大学のラグビー観戦へ一緒に行ったり。これまでお互いに自宅住まいだったので、「帰るところが同じというのが楽しかった」という。

 最初、アカリさんは夫が結婚後も避妊しているのは、まだ子どもをもつ時期ではないと考えているからだと解釈していた。

「ただ、私はそろそろ第一子がほしかったんですよ。だから結婚して1年たったころ、夫に『私も仕事が落ち着いてきたし、今なら産休や育休もとりやすいから、子どものことを考えてみない?』と言ってみたんです。すると夫は『へ?』という感じで、『ごめん。オレ、子どもいらないと思ってるんだよね』と。今度は私のほうが『へ?』ってなりました」

◆子どもについてまったく別の考え方の夫

 結婚前、ふたりで電車に乗っているとき、目の前にいた赤ちゃんが彼の手をとって離さないことがあった。彼は好きなようにさせながら、「かわいいよね」と言ったはずだ。

「赤ちゃんはかわいいと思うよ。だけど自分が子どもをもつかどうかは別の話じゃん、と。

 いやいや、それはおかしいでしょという話になって。結婚するということは、子どもが生まれてもいいということじゃないの? と私は頭がこんがらがっていきました」

 結婚は家庭をもつこと、イコール当然のこととして子どもを受け入れることだと、アカリさんは認識していたのだ。だが、夫はまったく別の考え方をしていた。

◆「自分の人生が阻害されるから」

 夫の真意を知って、アカリさんは戸惑(とまど)い、悩んだ。子どもを持たない結婚生活を送り続ける気持ちはなかったからだ。

 もちろん、子どもができないことはあり得る。だが、できないことと、できるかどうかわからないけれど最初から持たないと決めることとは意味が違う。

「夫を説得したんです。ごく普通に妊娠したら、それを受け入れたい。私は子どもがいる家庭を望んでいる、と。でも夫は子どもはいらないの一点張り。どうしていらないのかと言ったら、『自分の人生が阻害されるから』って。ショックでしたね、あの言葉が」 きみもてっきり子どもを望んでいないと思っていた。夫はぽつりとつぶやいた。そういえば、アカリさんは彼とつきあっているとき、子どものいる女友だちが愚痴っていると話したことがあった。だがそれは、あくまでも友だちの話。自分が子どもはいらないと言った記憶はない。