チームシブコでパシャリ(撮影:Yasuhiro JJ Tanabe)

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<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 最終日◇11日◇アロニミンクGC(ペンシルベニア州)◇6577ヤード・パー70>
前年の全英チャンピオンとして臨んだ8月のスコットランド2連戦から、米国でメジャー2戦を含む4試合を戦い、2カ月ぶりに日本に帰国する渋野日向子。2017年の11月から渋野のコーチを務め、昨年はキャディとして全英優勝もサポートした青木翔コーチは、この6試合をどう評価するのか。話を聞いた。
8月の「スコットランド女子オープン」と連覇がかかったメジャー「AIG女子オープン」のリンクスコースでは、経験したことのない強風とショット不振もたたり予選落ちした。だが米国に舞台を移した後の4試合で徐々に復調し、すべてで予選を通過した。
「スコットランドのリンクスは僕自身も初体験でした。こっち(米国)に来て、2週間の練習と試合をやりながら、(渋野のなかで)こうやりたい、ああやりたいというのがいろいろ出てきている。それを自分で一生懸命考えながらやることは、今までになかった」
すべて教えるのではなく、考えさせるのが青木氏のコーチングのモットーだ。そういう意味では渋野の成長を感じている。「どちらかというと、『青木さんどうしたらいいですか?』っていう子だったので、そこは1つの大きな成長じゃないのかなと思います。あと順位はあまり良くなかったですけど、4試合とも予選は通過できているので、僕的には結果としては十分だったのかなと思います」と評価している。
将来の米国女子ツアー参戦を公言している渋野が、これから世界最高峰の舞台で戦うために足りないものは何だろうか。「パワーだったり、全体的な飛距離は必要になってきますし、だからこそ見えてくる問題も出てくると思います。例えば、昨年はキャリーが10ヤード飛んでいない状態だったという違う見方もできる。それはまた帰って、ゆっくり話し合いながら決めていけばいいのかなと。基本的には彼女のやりたいようにやっていければいいかなと思います」。
渋野の「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」の平均飛距離は、4日間で268ヤード。それに対し、「64」と猛追して3位に入った畑岡奈紗の平均飛距離は、最終日は287ヤード、4日間では280ヤードを記録している。飛距離がすべてではないが、その差は明らかだ。日本では飛ばし屋の渋野も、米ツアーを戦ったことで、もっと伸ばしたいと感じているのだ。
青木コーチはさらに続ける。「やっぱりセカンドショットと、グリーン周りもそうだと思うんですけど、マネジメント力ですね」。3日目のスタートの10番パー4では、セカンドショットをグリーン左手前の池に入れ、ダブルパーの「8」を叩いた。これは左奥のピンに対してラフから狙った2打目と、ドロップエリアからフルショットしたボールが強烈なバックスピンでグリーンの1番手前まで戻ってきてしまった4打目が招いた傷だった。状況判断やマネジメント力には課題が残る。
米国4試合では、予選通過とトップ10を目標にしていたチームシブコ。「トップ10入りはできなかったですけど、最低限というか、予選を通過することはできた。これから帰って、日本ツアーを戦って、また全米女子オープンの時に来るのですが、それまでにどれだけレベルアップできるか。正直そんなに時間はないですし、できる限りのことはやろうと思っています」と青木コーチはいう。
渋野の次戦は、10月30日開幕の「樋口久子 三菱電機レディス」。日本で4試合に出場した後、今季最後の海外メジャー、12月の「全米女子オープン」に挑む。チームシブコの活躍に期待したい。
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