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日産Z、12年ぶりの刷新 米と中継

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

日本時間9月16日午前9時半にスタートした新型日産フェアレディZの発表会は、今年で33回目の開催となる全米最大のユーザーイベント「ZCON2020」会場(テネシー州ナッシュビル)と中継をつないでおこなわれた。

なぜ、アメリカなのか?

新型日産フェアレディZプロトタイプのものと思われるヘッドライト。

それは、Zがアメリカ市場で1970年モデルの「ダットサン240Z」として販売が開始され、多数の熱狂的な「Z CAR」(ズィー・カー)ファンを生み出し、海外で最初に成功した日本製スポーツカーとしての地位を確立したからである。

そして今回の新型Zは、デザインやコンセプトなど随所に初代Zへのオマージュがあふれている。

アメリカのZCARオーナーやファンは、新型Zをどう思ったのか? 独自取材で話を聞いてみた。

まずは、Zの専門メディア「ZCarGuide.com」を運営するマーク・ライオンズ氏から。

ライオンズ氏はみずからZオーナーでありZCON 2020にも参加。会場からホットな情報を送ってきてくれた。

米のZ専門メディア運営者は大絶賛

「過去のアイコニックなZのデザインからインスピレーションを受けており、それによって作られたとても美しいデザインです」

「サイドのライン、エンブレム、ボンネットの隆起などみんな大好きな初代Zのシルエットそのままと言ってもいいですね」

新型日産フェアレディZプロトタイプ    日産

「そしてリアのデザインは未来的でありながら、Z32(300ZX)のデザインがうまく融合されていいます」

アメリカには多くの初代Zファンがいますが、多くはこの新しいデザインに気持ちが奮い立つでしょう」

「新型Zのデザインには初代Zの要素が多くみられつつも、必要不可欠であるモダンで未来的な要素も取り入れられています」

「過去のデザインを取り入れながらも古臭さを感じない。これからの日産デザインを象徴してます」

「そして何よりも魅力的なのはMT車の設定があること。事前に情報は出ていたがこれが発表された時、ZCON会場に集まったZオーナーたちは、みんな大興奮でした!」

「ヘッドライトを付けてクラクションを鳴らして祝っていたよ!」

熱狂的なファン、やや厳しい意見も?

10台以上のZを乗り継いできたクルーズ・レコマンタさんは、現在71年型の240Zを所有している。彼は、新型Zをどう見ただろうか?

「240Zはわたしの好きなJDMカーの1つです。日産がZのブランドを存続させようとしていることには非常に期待していますね」

日産フェアレディ240ZG

「しかし、現行のデザインではポジティブな評価が得られるかどうかはわかりません。78年以前のZのデザインを再起させるようなことをするならば少々的外れな点があるように思うのです」

「現在日産が提供している写真を見ると、アグレッシブさとエコノミーの間で行き場を失っているようにも見え、どっちつかずな印象があります」

「わたしの個人的な感想では、もう少しロードスター的なロングノーズだったらよかったと思ういます。またテールライトやZのエンブレムが最新のマスタングに似ている……」

「昔からのZファンは、新しいZのために古いZを手放すことはないでしょう」

「新型Zの見た目は、スープラのようにロングノーズ&ショートデッキのようになるべきでした」

「いっぽうZがスープラに優っていることがあります。それはマニュアル車を用意したことだです」

スープラと比較しながら感想を寄せてくれたオーナーも多かった。彼らの意見も紹介しておこう。

トヨタ・スープラと新型Zを比較した意見

「新型Zはこれぞ日産の、日本のJDMスポーツカーだ。スープラは、日独混血種。新型Zは純粋な日本車だ」

「スープラにはマニュアル車がない。新型Zにはマニュアル車が設定されている。スポーツカーなのだから、これがすべてだ」

トヨタ・スープラ    トヨタ

「スープラはAT車のみで、パーキングブレーキも電動。新型Zは6速MTでサイドブレーキも手動!」

「スープラは日本車じゃなくてBMW製だろ? 欧州の人はみなそう思っている」

「スープラのようなクルマじゃない。新しいデザインに組み込まれたレトロなルックスを求めていたんだ!」

米メディア/オーナーズクラブどう評価?

モータートレンド

「現行の370Zはどれくらい販売されているか考えるのも嫌なくらいアメリカで長く販売されてきた」

「2008年に出て12年も経過しており、一時は後継車が出るのかも怪しまれたが、ついに明らかになった」

日産370Z    日産

「今までにいろんなメーカーがレトロなデザインのスポーツカーを発売しているが、それらの中でも新型Zが最高だと感じる」

「1台のクルマで様々な世代の要素を感じることができる。やはり実車で見るのが最高だ。」

スピードハンターズ

「ベースとなるプラットフォームはZ34と共通だが、中のキャビン、デザインを含めリデザインされている」

「要所要所に過去のデザインが見られてカッコいい。50周年を祝うにふさわしいクルマだ」

ZCar Forum (全米最大規模8万6000人を擁するZオーナーのコミュニティ)

「MTの設定があることは素晴らしい。わたしや他の多くのZcarファンは、真のスポーツカーにはMT車が必要だと感じています」

「4気筒エンジンは許容されません。6気筒でなければ!」

「加速に関してはスープラと同等かそれより速いはずです。取り扱いに関しては、少なくともスープラと同じくらい良いはず」

「新しいZはパフォーマンスの点でスープラと完全に競争力があるはずです」

「スープラの前後のスタイリングはスロットやスクープでかなり煩雑です。スープラよりもスなめらかでスッキリしたZが欲しいですね」

SNSに投稿した米の日本車ファンは

「EV電動化にシフトしている中で、ガソリンエンジンのスポーツカーが出ることは非常に喜ばしい!」

「Z33、Z34とさらに大きくなってずんぐりむっくりしたデザインになった。新型Zは初代の流れをくんでいる」

新型日産フェアレディZプロトタイプ    日産

「コンパクトで美しいボディに400Rのエンジン? だとしたらこれは期待できるぞ!」

「JDMファンからしたら、欧州メーカーの血が入ってない、ピュアな日本のスポーツカー最高!」

「カスタム、チューニングする楽しさが十分に残されている。ロケットバニーのエアロが楽しみ!もう、ミウラ(ロケバニのデザイナー)さんはデザインを始めてるんだろうな!」

「初代Zがもっていた、クラシカルなシルエットに戻るのはとてもうれしい。絶対に楽しいクルマになるはずだ」

「新型Zは海外のクルマ好きが日本製スポーツカーに求める魅力をすべて凝縮したようなクルマだ」

米国在住の元日産エンジニアの声

最後に米国在住の元日産エンジニアからも貴重な意見をいただいた。

「スープラは日独の混血種、Zは日本の匠が造り上げたJDM純血種」

「MTの設定はやはり重要ですね。Zは日本の匠が仕立ててナンボでしょう」

「フラッグシップとなるクルマを新興国や海外の拠点で作らせるメーカーみたいなことは、日産は絶対にしません」

「いろんなことがありましたが、日産はこれからまた盛り上がることでしょう。これからですよ、これから!」

新型フェアレディZの発売は2021年を予定している。

今回の発表ではエンジンについては、V型6気筒ツインターボエンジンとしか公表されなかったが、現存するのはスカイライン400Rなどが搭載するVR30DDTTのみだ。

フルチューンでは500ps超となることも可能なエンジン。Zに搭載されるのはどのようはスペックになるだろうか。