ホテル一萬里(株)(TDB企業コード:330016485、資本金1000万円、長野県佐久市中込3150-1、代表沖津博之氏)は、5月22日、東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は小笹勝章弁護士(東京都中央区銀座3-11-18、笠井総合法律事務所、電話03-3546-2033)。債権届出期間は6月26日まで、財産状況報告集会期日は9月7日午後3時。

 当社は、1967年(昭和42年)7月にホテル経営を目的に北佐久郡軽井沢町において設立したもので、89年7月に本店を現所へ移転、同年12月に「佐久一萬里温泉ホテルゴールデンセンチュリー」を新築し、以後地上11階・地下1階、客室150室・約350名収容の天然温泉付きホテルの経営を中心に事業を展開していた。宿泊や日帰り温泉需要に加え、披露宴、パーティー、飲食、会議など幅広い需要に対応、佐久市内では最大級の宴会機能を有するなど地元では高い知名度を持ち、2002年5月期には年収入高約13億6500万円を計上、2003年には介護付有料老人ホームの経営にも着手するなど業容を拡大していた(同施設はその後売却)。

 しかし、近年は競合の激化や単価の下落などから業績が下降線をたどり、年収入高は2018年5月期に約8億3700万円、翌2019年5月期には約7億6400万円へと後退、収益面も厳しい推移を続けていた。また、従前の設備投資負担も重荷となる中、取引金融機関が貸出債権をサービサーに譲渡するなど厳しい状況が拡大。この間、外部コンサルタントを導入するなどして再建策を模索する一方、債権者から協力を仰ぎながら事業を継続してきたが、今年に入り新型コロナウイルスの感染拡大の影響も重なり環境が一層悪化、5月4日をもって事業を停止し、5月21日に稲山惠久弁護士・石田亮弁護士(東京都千代田区二番町11-10、麹町総合法律事務所、電話03-3288-0481)を代理人として自己破産を申請していた。

 負債は債権者約729名に対し約35億2000万円。長野県内で新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた倒産(法的整理または事業停止)は当社を含め5件(5月27日現在)。2020年1月以降、県内で発生した倒産として負債は最大。