韓国きっての実力派俳優として名を馳せるソン・ガンホ。そんな彼が出演したおすすめ映画を10本まとめてご紹介。

ソン・ガンホ プロフィール

ソン・ガンホは、1967年1月17日生まれ、大韓民国出身。1991年に演劇の世界で俳優デビューし、『豚が井戸に落ちた日』(96)で映画初出演を果たす。『シュリ』(99)が日本を含む世界各国で大ヒット、初主演作の『反則王』(00)では覆面レスラーを演じた。同年の『JSA』で世界に名を知らしめ、話題作への出演を重ねていく。

ポン・ジュノ監督と初タッグを組んだ『殺人の追憶』(03)、続く『グエムル -漢江の怪物-』(06)で実力派俳優としての確固たる地位を築く。以降も『乾き』(09)、『密偵』(16)、『タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜』(16)など主演作を重ねる。2020年1月、『パラサイト 半地下の家族』が公開予定。

韓国のみならず各国で人気を誇り、国際的にも高い評価を受ける名俳優の一人である。

『シュリ』(1999)

のちに『ブラザーフッド』などを手掛けるカン・ジェギュ監督作品。ハン・ソッキュ、キム・ユンジン出演。ソン・ガンホは、主人公の相棒であるイ・ジャンギルを演じた。

要人捜査の捜査を進める韓国諜報員ユ・ジュンウォンと相棒のイ・ジャンギル。情報入手のために会うはずだった武器密売人が射殺され、北朝鮮の女性工作員が関与していることに気づく。そんな中、液体爆弾CTXが強奪される事件が起こる。結ばれない恋を描き、見る人の涙を誘ったラブサスペンス。

『JSA』(2000)

のちに『親切なクムジャさん』『オールド・ボーイ』『お嬢さん』など多数のヒット作を手掛けるパク・チャヌク監督作品。ソン・ガンホは主演を務めた。イ・ビョンホン、イ・ヨンエらが出演。

朝鮮半島を南北に分断する共同警備区域(JSA)で射殺事件が発生。両国の兵士から事情聴取を行うが、双方の供述は真逆であった。やがて、信じがたいある事実が明らかになる。南北の兵士たちの熱い真情を描いたヒューマンドラマ。

本作の高い演技が評価されたソン・ガンホは、第38回大鐘賞 最優秀主演男優賞を受賞した。

『復讐者に憐れみを』(2002)

『オールド・ボーイ』などのパク・チャヌク監督の「復讐3部作」の第1作目。出演はソン・ガンホ、シン・ハギュン、ペ・ドゥナ。

ろうあ者の青年リュは、腎臓病の姉のために臓器売買の闇取引の場を訪れるが、全財産と自分の臓器をだまし取られてしまう。リュは、恋人のヨンミの誘いにより、金持ちの娘を誘拐して身代金を得ようとするが、思わぬ展開が待ち受けていた。

主演を務めたソン・ガンホが演じたのは、娘を誘拐される会社社長のドンジン。壮絶な復讐劇を繰り広げる人間の憎悪と苦悩を熱演し、強烈な存在感を示した。

『親切なクムジャさん』(2005)

『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』に続く、パク・チャヌク監督の「復讐3部作」の最終作。出演はイ・ヨンエ、チェ・ミンシク、クォン・イェヨン。ソン・ガンホは友情出演を果たす。

誘拐犯として13年間服役中のクムジャ。実は、娘を人質に取られて無実の罪を着せられていた。刑務所内で誰にでも優しく接し、悩み相談に乗る彼女は“親切なクムジャさん”と呼ばれるように。しかしその顔の裏で、事件の真犯人への復讐を誓っていた。

カメオ出演を果たしたソン・ガンホは、出番は少ないながらも存在感を放ち、映画ファンの間で話題となった。

『殺人の追憶』(2003)

ポン・ジュノ監督と主演のソン・ガンホが初タッグを組んだ作品。キム・サンギョン、パク・ヘイルらが出演。

1986年、韓国の農村で若い女性の変死体が発見された。地元のパク・トゥマン刑事とソウル市警のソ・テユンは何かと対立しながらも共に捜査を進め、やがてある容疑者にたどり着く。実際の事件を原案とした衝撃のサスペンスドラマ。

主演のソン・ガンホは惨殺事件を追う刑事を熱演し、韓国のアカデミー賞と評される第40回大鐘賞主演男優賞のほか、多数の賞に輝いた。

『密偵』(2016)

『箪笥<たんす>』キム・ジウン監督作品。主演を務めたソン・ガンホは、『クワイエット・ファミリー』、『反則王』、『グッド・バッド・ウィアード』に続き4度目のキム・ジウン作品となる。コン・ユ、ハン・ジミン、シン・ソンロクらのほか、日本から鶴見辰吾らが出演。

1920年代、日本統治時代の朝鮮半島。朝鮮人の日本警察官イ・ジョンチュルは、独立運動団体「義烈団(ウィヨルダン)」の監視を命じられ、リーダーのキム・ウジンに接触する。義烈団と日本警察の熾烈な情報戦が展開する中、義烈団は京城に爆弾を運ぶ計画を進めていた。

朝鮮人でありながら日本警察に所属するという難役に挑んだソン・ガンホは、日本語の台詞も披露。日本と朝鮮の息詰まる情報戦の一端を担う、見事な演技をみせた。

『グエムル -漢江の怪物-』(2006)

ポン・ジュノ監督作品。ソン・ガンホ主演、ピョン・ヒボンパク・ヘイルペ・ドゥナらが出演。

ソウルを流れる漢江に、突如謎の巨大怪物が出現。次々と人々が襲われ、河川敷小さな売店を営む男性カンドゥの娘・ヒョンソも怪物にさらわれて姿を消す。カンドゥ一家は病原菌への感染が疑われ病院に隔離されていたが、娘を探すために病院から脱出して怪物を探す。VFXも見どころのパニックムービー。

ソン・ガンホが演じるカンドゥは、最初は頼りなく情けない父親だが、娘のために変化していく。父の強い愛が胸を打つ。

『シークレット・サンシャイン』(2007)

『ペパーミント・キャンディー』、『オアシス』のイ・チャンドン監督作品。出演はチョン・ドヨン、ソン・ガンホ。

事故で夫を亡くしたシネは、息子とともに夫の故郷に引っ越して新たな生活を始める。ピアノ教室も開講し、息子と2人の生活は慎ましくも穏やかにみえた。しかし、ある事件がシネを襲う。

ソン・ガンホが演じるのは、自動車修理工場で働くキム・ジョンチャン。夫を亡くしたシネ(チョン・ドヨン)の悲しみを優しく受け止めようとする不器用な男性を好演している。

『タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜』(2016)

『高地戦』『義兄弟 SECRET REUNION』などのチャン・フン監督作品。出演はソン・ガンホ、トーマス・クレッチマン、ユ・ヘジン。

男手一つで娘を育てながらソウルでタクシー運転手をしているマンソプは、大金につられてドイツ人記者を光州まで送り届ける。一刻も早くソウルに戻りたいマンソプをよそに、記者は地元のタクシー運転手や大学生の力を借りて取材を進めていく。1980年の光州事件で起きた実話をベースに製作された感動のヒューマンドラマ。

主演のソン・ガンホが演じたのは、最初は平凡なタクシー運転手で、情けなさすら感じられる父親。光州の実情を目の当たりにし、徐々に変わっていくさまを見事に演じ、好評を博した。

『パラサイト 半地下の家族』(2019)

第72回カンヌ国際映画祭にて韓国映画史上初のパルム・ドールに輝いた、ポン・ジュノ監督の待望の最新作。主演のソン・ガンホは、本作がポン・ジュノ監督の4度目のタッグとなる。出演はイ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク。

家族全員が失業中で貧しい生活を送るキム一家。ある日、長男のギウは、裕福なパク家の家庭教師の面接を受けるために豪邸を訪れる。さらに妹もパク家に足を踏み入れ、ある計画を企てる。富裕層と貧困層の交わりが生み出す予測不能の展開に目が離せない。

主演のソン・ガンホは、善人だが失業中で甲斐性のない父親、キム・ギテクを演じている。

【文・ココネコ】

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