(写真左上から時計まわりに)川越シェフ、中澤裕子、保阪尚希、いとうまい子、香田晋、千堂あきほ

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 長年の芸能記者歴を誇る記者3名が、芸能人のセカンドキャリアについて緊急座談会を開催。思わぬ形でキャリアを形成している人もいれば、鳴かず飛ばずの果てにフェードアウトした人も……。テレビに頼らないことが運命の分かれ道!? 成功している人はどこが違うのか徹底分析!

【写真】まるで天使!? 直撃取材にも笑顔で答えるいとうまい子はコチラ

【参加メンバー】
A 芸能ニュースからグラビア取材まで、幅広く芸能界に関わってきた編集者
B 某写真誌で長年記者を務め、業界の表も裏も知り尽くしているベテラン
C 週刊女性芸能班の敏腕デスク。記者時代、張り込み&直撃した数は知れず

 今回の座談会のために、編集部では独自に「最近見かけないけど、気になるタレントは?」というテーマで300人にアンケート(アンケートツールFreeasyで12月調べ)を開催。上位25人は次のような結果になりました。

1位(19票)/ローラ
2位(10票)/スギちゃん
3位(8票)/波田陽区
4位(7票)/芹那
5位(4票)/香里奈、楽しんご、中森明菜

8位以下は、
3票/剛力彩芽、西内まりや、にしおかすみこ、ムーディ勝山、山田邦子
2票/加藤晴彦、川越シェフ、神田うの、小泉今日子、コウメ太夫、桜井幸子、つぶやきシロー、中島知子、永野、ひょっこりはん、ヒロシ、森脇健児、ルー大柴

◆   ◆   ◆

トラブル系か、純粋に人気の低迷か

A「アンケート結果だけを見ると、“あの人は今”状態の人が多いけど、中にはセカンドキャリアとして独自の路線を歩んでいる人もいますよね」

B「フェードアウトしてしまった人の傾向を見ると、ローラや香里奈のようなトラブル・ゴシップ系と、波田陽区や芹那といった純粋に人気がなくなった人に分かれているなぁ」

C「香里奈は、あの下着写真が流出してしまって以降、表舞台に出ることに対して抵抗感があるみたいですね」

B「セカンドキャリアに影響を与えるくらいあの写真は強烈だったもんな……」

A「ローラは、もともと女優としてキャリアアップをしたいとうたっていましたよね。映画『バイオハザード:ザ・ファイナル』でハリウッドデビューを飾ったまではよかったけど、その後、事務所トラブルに見舞われてしまった」

B「でも、その後に和解して最近はまたCMや広告では見かけるじゃない? ところが、読者的には“最近見かけない”と映るんだから不思議だよ」

C「ローラは、'16年の電通の資料によると、知名度と好感度がともに高いというデータがあるんですよ。当時のいいイメージが、いまだに広告業界の中では健在なのでしょう」

A「そして、案の定というか、やっぱり名を連ねる中に芸人が多い(笑)」

C「毎年、一発屋としてブレイクする人がいる以上、この手のランキングでは常連と呼べる存在ですね」

B「お笑い系は、『エンタの神様』がレギュラー放送していた時代と比べると、ネタ番組が減少傾向にある。どうしてもバラエティー番組の“ひな壇芸人”としての役割を求められるから、トーク力や一芸に秀でていない限りは厳しいよな」

A「ダンディ坂野なんかは、営業で結構な額を稼いでいるって聞きますよね。必ずしも表舞台に立たなくても、自分の需要がどこにあるか見極めれば、崖っぷちに立たされることはないともいえる」

テレビ露出が少なくなる=消えた?

C「このランキングを見て興味深かったのは、Bさんがおっしゃったように、それなりに露出度がある人も“見かけない”と思われているところ」

B「小泉今日子なんて大河にも出演しているし、活躍してるイメージだけどな」

A「豊原功補との不倫騒動によってマイナスイメージがついてしまいましたよね。世間的には、マイナスなことが起きたから自粛ぎみになっている≒あまり見かけないと思い込んでいるのかも」

B「一方で、中島知子のようにまったく消息を聞かない人もいるなぁ」

A「あくまでネットの目撃情報ですが、大分県のクラブかスナックでホステスをやっていたとか。ブログを更新しているのですが、あまり体調が芳しくないようですね」

C「洗脳報道の果てにヌード写真集を出版したり、セクシービデオの監督をしたり、激動のキャリアを歩んでいるだけに、気になりますね」

B「川越シェフは、“自店の飲料水が800円もして高すぎる!”と大炎上してから見かけないけど、今も料理人なの?」

C「調べたところ、彼は長野に住みながら、池袋にあるコミュニティーカレッジで、毎月イタリアンの講座を受け持っています。あと、昨年末のバラエティー番組に、3年ぶりに出演しましたね」

B「このアンケートを見ると、テレビ番組での露出が少なくなると、“消えた”“見かけない”という印象を強く抱く人が多いことがよくわかるな」

A「剛力彩芽があたかも消えている印象を持たれてるのにはビックリしました。あれだけZOZOの前澤社長と話題になっていたのに」

C「どう考えても剛力は消えてないですよね(笑)」

B「それだけ、いまだにテレビがひとつのバロメーターになってるんだろうな」

A「セカンドキャリアで財を成していたとしても、世間的にはテレビで見ない限りは、そうは映らないというのは気の毒でもありますね(苦笑)」

C「でも、『新しい地図』の草なぎ、稲垣、香取の3人はそれほどテレビに出ていないのに、見かけないというイメージを持たれてない。タッキーだって裏方に回るというセカンドキャリアを歩んでいるけど、そういう印象を持たれていませんよね」

B「たしかに。世間のイメージって、ホント勝手なものなんだよな」

テレビに売り込まなくても発信できる時代に

 最近は、芸能人がユーチューバーとしてデビューするなど、思わぬ形でセカンドキャリア形成につながっている人も増えている。

A「さきほど話が出ていましたが、芸能界はイス取りゲーム。席に座れなかった人は、何かしら手を打たないと生き残れない」

B「芸人のヒロシは、いまやひとりキャンプでユーチューバーとして大人気だよな。テレビでは見かけないけど、実はものすごく人気があって、着実にセカンドキャリアを築いている」

A「面白いのは、ヒロシがその人気にあやかって再びテレビに登場しようとしないところ。マスに合わせることをやめ、好きなことをピンポイントに発信している」

C「頭いいですよね。ひょっこりはんなんかは、確実に今年消えていそうだけど、早稲田大学人間科学部卒業なだけに地頭はいいはず。違う形でセカンドキャリアを築きそうですよね」

B「それこそ芸名がひょっこりはんだから、見かけなくなった後に、ひょっこり出てくるだけで面白い。それを見通して芸名をつけていたのだとしたら、末恐ろしい(笑)」

A「昔はテレビやラジオしか自分を発信する装置がなかった。ところが、今はインターネットを通じて発信する装置が増えた。テレビの露出がバロメーターではあるけど、その人の幸福度に関してはテレビがすべてじゃなくなっていると思いますね」

C「テレビ局に頭を下げて、無理に売り込まなくても、自分たちから発信できる時代ですからね。とはいっても、必ずしもユーチューバーで成功できるわけじゃない。水嶋ヒロは、ユーチューバーで料理を作っていますが、いまいちパッとしない」

A「顔がいいとか知名度で、人を呼び込める時代でもないんだろうね。共感されるとか、関心をひかれるとか、そういうものがないと人を呼び込めない」

 昨今は、『TVer』(テレビ番組の広告つき無料配信サービス)などが登場したことで、いつでもどこでも地方のバラエティー番組を見ることもできるようになった。こういった変化も、芸能人のキャリア形成に大きな影響を及ぼしていると分析する。

A「昔は地方の番組に出演すると、“都落ち”のようなイメージを持たれがちだった。ところが、東京にいてもローカル番組を楽しむことができるから、メディアコンテンツに関しては東京と地方のボーダーがなくなってきていると思いますね」

B「その典型例が、福岡で活躍する中澤裕子や、札幌で活躍する千堂あきほだよな。彼女たちを見て、ローカルタレントとは思わないわけで。東京よりも人が温かいってよく耳にするから、芸能人もストレスを感じないんだろう」

C「女性タレントは、結婚を機に子育てといった視点も出てくる。実際、千堂あきほは旦那の実家が札幌で、そこで出産をしてそのまま移住しました。札幌で子育てをしながら、芸能活動をしているわけで、羨ましく思っている女性タレントは多そうですよね」

B「生活を充実させながらタレント活動もすることを考えると、ママタレントの席を殺伐と争うような東京の現場よりも、地方のほうがよさそうだよなぁ」

A「一般社会で働き方改革が叫ばれているんだから、芸能界にも働き方改革があってもおかしくない(笑)」

C「テレビに出て、好感度を上げていくだけの時代じゃないんでしょうね」

A「収入が減ったとしても、やりたいことをしている人のほうが、むしろ好感度は高いくらい。人気演歌歌手だった香田晋は、長年介護をしていた義理の祖母を亡くしたことをきっかけに僧侶になった。僧侶の務めを果たしながら、地域イベントで歌を披露しているそうです」

C「そういう話を聞くと、素敵なセカンドキャリアだなって感じますね」

A「お金や人気がすべてじゃないことを(元を含む)芸能人が教えてくれるのは、こちらとしても救いがありますよ」

夢中になるものを突き詰めると開花する

 興味のあったことを突き詰めた結果、立派なセカンドキャリアを形成している芸能人も少なくない。今や、テレビに出て好感度を上げるだけが、芸能人のキャリアアップではない!?

A「小阪由佳あらため小阪有花も現在は、保育事業コンサルティングや保育事業向けITソリューションなど、保育の仕事に進んでいますね。うつ病になってしまった後、“自分の好きなことをやっているとよくなっていく”という言葉からも充実度がうかがえます」

B「まさに彼女を見ていると、芸能界がすべてじゃないことがわかるなぁ。確か、高木美保も農業を始めたのはパニック障害の治療を兼ねてましたよね。今では芸能活動が副業と言うまでになって(笑)」

A「意外なセカンドキャリアといえば、お笑いコンビ元『アリtoキリギリス』で俳優としても活躍している石井正則。彼は、“バイテン”と呼ばれる大型カメラを使って、全国に13か所ある国立ハンセン病療養所の撮影をしています」

C「“バイテン”って、昔の人が撮影するような三脚を立てて撮る本格的なカメラですか!?」

A「そうそう。2016年からハンセン病療養所を撮影していて、今年2月から国立ハンセン病資料館で写真展を開催することも決定している」

B「役者のイメージはあったけど、いつの間にか本格的な写真家としてのキャリアも築いていたなんて知らなかったな。いまもどこかで、われわれが知らない間に芸能人たちはキャリアを磨いてるんだろうな……」

C「やっぱり芸能人として売れた人って、それなりに才能があるからこそ売れたと思うんですよ。ですから、夢中になれるものを突き詰めていくと、やはりそっちの世界でも才能が開花するような気がします」

自分の賞味期限は把握すべし

A「なるほど。いとうまい子は、46歳のときに早稲田大学の人間科学部(通信教育課程)に入学し、現在も同大学大学院人間学科研究科博士課程で学び続けている。つい先日も、『2019国際ロボット展』で開発に携わった介護予防ロボット『ロコピョン』を披露しているくらい」

B「芸能人をやりながら博士号を取得するかもしれないんだから、間違いなく才能と努力、どちらも持っているということ。裏を返せば、そういう人が芸能人としても長続きするってわけだ」

C「セカンドキャリアを築ける人は、才能もあって、努力も惜しんでいないってことですね」

A「面白いところでは、サッカー元日本代表の高原直泰。九州リーグ(5部相当)の沖縄SVの代表取締役と監督、選手を兼任しているのですが、それに加えて沖縄産コーヒーの栽培にも挑戦している」

B「スシボンバーからコーヒーボンバーに!? というか、ひとりで何足のわらじをはいているんだ(笑)」

C「コーヒーといえば、俳優として活躍をしていた坂口憲二は、現在、コーヒーの焙煎士になっています。本人に直撃したところ、“芸能界は引退している”と。千葉に立派な焙煎所があって、'19年には赤坂にテイクアウト専門のコーヒーショップをオープンしたみたいです」

B「本人がお店に立つこともあるの?」

C「立つ日もあるみたいです。“もう芸能界を引退したんだから取材に来るな”って突き放すわりには、コーヒーのムック本に登場して特集されている……どっちなんだよ!(笑)」

B「芸能人って1度有名になると名前が立つから、それを利用してセカンドキャリアを築こうとする人たちも多いからな」

A「保阪尚希は自身がプロデュースする通販ブランド『保阪流』で、年商10億円以上を稼ぐ実業家としての顔も持ち合わせている。芸能人という看板を上手に利用した成功例ですよね」

B「羽賀研二のように悪い方向に行ってしまう芸能人もいるけど(苦笑)」

C「顔がよくて、口がうまければ、それなりに結果を残せるから怖いですよね」

A「でも、いまはそういった前時代的なセカンドキャリア以外にもたくさん方法がある」

B「うんうん。昔だったら、知名度と口のうまさを活かして怪しいグレーな仕事をするか……など選択肢が限られていた。ところが、今は好きなことを追求したほうが吉と出るケースが増えてきた」

A「キー局のテレビ番組だけで、芸能人の幸福度を測る時代ではなくなってきたということでしょうね。好きなことを自分で発信できる時代だから、芸能にしがみつくのではなく、興味があることをやってみたほうが、思わぬキャリアアップにつながる可能性が高い」

B「だからこそ、いつ自分の賞味期限が切れるのというシビアな視点が必要だと思うな。特に、東京で活躍している人は、東京の芸能界が飽和状態だから」

C「なんだか話を聞いていると他人事とは思えない(苦笑)。 われわれもそうかもしれない……」

A「そういう意味では、憧れのセカンドキャリアを歩んでいる芸能人が登場してくるのかも。第2の人生を豊かに歩んでいる芸能人が増えることを期待したいですね」