阿部寛の『まだ結婚できない男』に隠された、スタッフ渾身のバナナの存在
阿部寛主演の人気ドラマ13年ぶり続編『まだ結婚できない男』(フジテレビ系 火曜夜9時〜)が、終盤を迎える。偏屈で独善的、皮肉屋の53歳独身男は結婚できるのか? 最終話直前の見どころと撮影エピソード、気になる結末をプロデューサーに直撃!
【写真】'05年ドラマ『ドラゴン桜』で教師を演じた阿部寛と懐かしの生徒たち
2006年放送の『結婚できない男』の続編が、いよいよクライマックスを迎える。
主演の阿部寛が演じる桑野信介は、腕のいい建築家だが、プライドが高く、偏屈な皮肉屋。結婚には“メリットがない”と、独身を満喫している。前作から13年、偏屈さが増した53歳の桑野の日常をコミカルに描いている。脚本は尾崎将也のオリジナル。
桑野の心境に変化をもたらす新たな女性たちは、吉田羊、稲森いずみ、深川麻衣が演じている。
前作へのオマージュが随所に
「桑野信介は、日本の連続ドラマ史上、類を見ないキャラクター。尾崎さんが脚本を書き、阿部さんが演じないと絶対に成立しない人物だと思っています。
阿部さんは、撮影開始当初から、自然と役に入られたように感じました。演じるうえでの役作りはもちろんですが、何気ない仕草や動きといった、細かなところまで大事にされていて、13年前の引き出しを開けているような感覚でした。
前作をお楽しみいただいていた視聴者には“桑野、待ってました”と喜んでいただけているのを感じ、ホッとしました。今回初めて、ご覧になる方の反応も心配でしたが、“噂どおり面白い!”“新鮮”との声が多く寄せられ、うれしく思っています」
と、制作する関西テレビの米田孝プロデューサー。
前作同様、面白いものにするため、随所にこだわって制作している。
「桑野が住んでいるマンションの部屋のセットを再現しました。前作で使った図面を探し出して設計し、ライトやダイニングテーブルも同じものを入手したりと、大変でした。
阿部さんは、撮影の合間に小道具などをチェックして、“これを使って、どれだけ遊んでやろうか”と考えていることもしばしば。その姿は、阿部さんではなく桑野そのもの。品定めしているときの眼差(まなざ)しは、完全に“桑野目線”です(笑)。
初回に、まどかが好きと言ったバナナにもこだわっています。桑野は、まどかの事務所を訪ねるときに手土産にしているのですが、それ以外でもモンキーバナナ、熟れすぎたバナナなど“バナナボーイ”と呼ばれるスタッフが、探し回って見つけてくるんです(笑)」(米田P、以下同)。
第9話(12月3日放送)には、スタッフ渾身(こんしん)の房になった青バナナが登場するので、お楽しみに。
物語は「桑野的ハッピーエンド」へ
撮影は快調で、吉田と稲森との共演では、こんなエピソードも。
「初共演の阿部さんと吉田さんは、桑野とまどかの距離感が縮まっているのにリンクしている感じです。桑野ファンという吉田さんは、まどかのきつい物言いに、ご自身の心とのズレを感じているようです(笑)。
稲森さんは、桑野の動きがことごとくツボにハマっていて、撮影中は必死で笑いをこらえ、カットがかかった瞬間に吹き出すことも多いです(笑)」
第9話では、前作のお好み焼きデートをオマージュしたという、もんじゃ焼きデートシーンも。そのシーンでは、笑いをこらえつつも肩が揺れている稲森の後ろ姿が収められているそうで、ご注目を。
そして、終盤を迎えて最大の関心は、桑野が結婚できるのか?
「桑野、まどか(吉田)、有希江(稲森)が三角関係の雰囲気になります。
未婚の男女の日常を描いてますが、社会に一石を投じるような作品でもありません。そして、桑野はスーパーヒーローでも、極悪人でもない、ちょっと変わった市井(しせい)の人です。こう感じてほしい、こう展開するから笑ってほしい、泣いてほしいという押しつけは一切なしで制作しています。
生き方には多様性があり、桑野が幸せだと感じられる、桑野的ハッピーエンドにしたいと思っています。桑野の幸せを、ぜひ見届けてください」
棟梁にビックリ展開!?
桑野が建築現場で職人かたぎの大工の棟梁(不破万作)とケンカするシーンがたびたび登場しているが、この先、棟梁に驚きの展開が!
「キーパーソンとかではありません。カギは全く握ってないです(笑)。おもしろポイントですね。最終話(12月10日放送)で“そうきたか”という話になります。画力がものすごいです!」(米田P)