自分にご褒美な気分のときに行きたい、最高のとんかつ4選!
サクッと食べられて、それでいて贅沢な気分になれるとんかつは、ひとりごはんに最高だ。
麻布十番、銀座、目黒と落ち着いた大人なエリアで、一度は経験しておきたい4軒を厳選してご紹介する。
麻布十番で肉の専門店が手掛ける“あっさり”とんかつはヒレがおすすめ!
『とんかつ都』の「特ヒレかつ」
この店に来ると“とんかつは重い”という概念が覆える。
肉の専門店が母体という強みを生かし、動物性の原料を含まない餌で育てた群馬産のこだわり豚「山峰」を使う。
おすすめだというメープルシロップをつけていただく。(¥2,950)
きめ細かい生パン粉をまとわせ、なたね油で揚げるからとても軽やか。香りのいい肉はしっとりして上品な旨みを滲ませる。
割烹店のようなカウンターもひとりで食べる贅沢ごはんにぴったりで、肉を切り出してから揚げるまでのすべてを魅せる演出も料理を待つ時間のお楽しみだ。
カウンターメインなので、ひとりでも気兼ねなく入れる
麻布十番の仙台坂を下った場所にお店はある
銀座の老舗でいただく、心が落ち着く安定の味わい
『とん㐂』の「ロースかつ定食」
銀座で44年、美味しさとリーズナブルな価格で今なお愛され続ける『とん㐂』。
名物は「カツ丼」だが「ロースかつ定食」¥1,730も不動の人気メニューだ。
30年前から、豚肉は今でこそ有名になった“平田牧場三元豚”一筋。
熱伝導率の高い銅の揚げ鍋を使い、高温のラードで香ばしく揚げる。
銀座ながらこじんまりとして入りやすい。銀座に行きつけを作れたならばひとりご飯も充実するはず。
絶妙な火入れの厚切りとんかつを塩で
『とんかつ檍』の「特上ロースかつ定食」
国内だけでなく海外でも知られる蒲田の『とんかつ檍』が銀座に進出。
店の人気は「特上ロースかつ定食」¥2,000。
週末は1時間待ちというが、行列の理由は分厚くても驚くほど柔らかい肉質にある。
銀座8丁目のビルの地下にあり。最近は外国人のゲストも多いという
肉が固くならないレアな火入れを可能にしているのは、無菌状態で育つ林SPF豚。
旨みが濃く、脂に甘みがあるのが特徴だ。
とくに肉本来の旨みを邪魔しない塩で味わいたい。
続いては目黒の超人気老舗とんかつ店を徹底取材!
日本が誇るとんかつの名店は、ご褒美とんかつに最適なお店だった
『とんき』
目黒駅から徒歩2分。ここに多くの人を魅了するとんかつ店がある。
それが、言わずと知れた『とんき』だ。なぜ、人は何度もこの店に通うのか。
その裏側には徹底したこだわりと美学があった。
ザクザクッと歯ごたえのある厚く香ばしい衣のとんかつと、壮麗なコの字カウンターに心躍らせた経験がある人も多いだろう。
戦前に創業されておよそ80年、今なお人々を魅了してやまないその理由は、この店だけが持つ特別な空気感にある。
店のオープンは16時。清潔なのれんが掲げられ、開店と同時に人々がなだれ込み、一瞬で席が埋まっていく。
客層を見ると外国人やグループ客に加え、ひとり客の多さに気づく。
開店前の様子。等間隔で並べられたソース。この丁寧さが全ての仕事に貫かれている
揚げ場の床もこの綺麗さ。営業が終わる間近の22時前後になると、店内を掃除する様子も見ることができる
彼らは席に座れば、スマホを見るより先に、カウンター内をのぞいたり、周囲を見回し、楽しげな表情を浮かべている。
そう、この店はひとりごはんにこそ最適なのだ。
磨き込まれた檜のカウンターに隅々まで掃除の行き届いた店内。
とんかつ店でありながら、揚げ場の床でさえ、徹底して磨き抜かれている。
「串かつ」1人前2本\800。まずはこれでお酒を一杯、というツウが多い
さて、注文。まずはビールかお酒を。ここにピーナッツや昆布などが付いてくるのも嬉しく、飲んでいると新聞を渡してくれる気配りも。
贅沢にいくなら串かつをアテに。
メインのとんかつが登場すると、さらに忙しくなる。
キャベツが減れば、即座におかわりを勧められ、ご飯の様子を見計らって、また声がけしてくれる。
そのタイミングの絶妙なことといったら!
渡される新聞はしっかりホッチキスで止められている。こういう気遣いもまた嬉しい
切り場の前の席では、とんかつを切る音が聞こえてくる。この臨場感もまた楽しい
そして、無駄なく動くスタッフの仕事ぶり、オーダーをとる小気味のいい間合い。
これほどまでに、見惚れることができる店もない。
では、中で何が行われているのか。まず、カウンター内にいるスタッフは8〜10名。
ここに出ているのは皆10年強のキャリアがある猛者で、50年働いているベテランも珍しくない。
揚げる、切る、皿を並べるなど、各自の仕事は分担制。花型は中央でとんかつを切る役。
リズムよく、迷いなく、とんかつが切られていく様は、ある種の気持ち良さも覚える。
「ロースかつ定食」¥1,900。ごはん、キャベツはおかわり自由。豚汁は1回までおかわり可能
肝心のとんかつは小麦粉と卵を3回つけ、目の細かいパン粉をまぶして、約20分揚げる。
こんがりと色づいたカリカリの衣、肉汁が滲む豚肉はソースがよく似合う。
すべてにおいて、熟練。それほど隙のない仕事ぶりでありながら、スタッフの誰にもピリピリした気配がない。
そこには、ただ自然なリズムが流れているだけ。もはや、神々しささえ感じる空間だ。
ひとりで訪れ、あらゆる要素に目を凝らす。それでこそ、『とんき』の魅力を味わい尽くせるというものだ。