<7月末に10年半ぶりの利下げを行ったFRBだが、早くも追加緩和圧力が高まっている。アメリカの金融政策は米経済、世界経済のみならず、日本の株式市場にも大きな影響を与える。日本株にどう影響するのか、改めて整理する>

アメリカの金利と日本株の関係

株式市場では、中央銀行が決定する金融政策、特に政策金利が株価に影響を与えるといわれています。しかも、日本だけでなくアメリカの金融政策も日本の株価に影響を及ぼすというのです。

■アメリカの金融政策の仕組み

アメリカには、FRB(The Federal Reserve Board)という中央銀行制度の最高意思決定機関があります。日本語で「連邦準備理事会」と呼ばれるこの機関は、日本でいうところの日本銀行の役割を果たしています。

このFRBが開催するFOMC(連邦公開市場委員会:Federal Open Market Committee)という会合で、アメリカの金融政策が決定されます。この会合は年に8回開催され、景況判断と、それに合わせた政策金利の上げ下げなどの方針が発表されます。

アメリカにおける政策金利となるのはFF金利(フェデラル・ファンド・レート)で、アメリカが利上げをしたとか、ゼロ金利政策を導入したとニュースで耳にした場合は、FOMCによってFF金利が変動したということです。

ちなみにFF金利とは、アメリカの銀行が連邦中央銀行に預けている準備金にかかる金利で、短期の指標金利となります。現在日本の政策金利となっている「無担保コール翌日物」レートに相当するものだと考えていいでしょう。

■アメリカの金融政策が日本株に影響を及ぼす理由

なぜアメリカの金融政策が日本の株価に影響を及ぼすのかといえば、日本株は次の3つの要素に影響されるからです。

・アメリカの株価
・為替
・外国人投資家

これらはいずれもアメリカの金融政策に連動しています。そのため、日本でもFOMCの動向が常にニュースになり、利上げか利下げかをめぐって様々な憶測が飛び交うことになります。

●アメリカの株価

アメリカの株価が、どうして日本の株価に影響するのでしょうか? それは、アメリカと日本の経済的な結びつきが大きいためです。日本経済は他国との貿易に依存している傾向にありますが、なかでも、アメリカとの関係は切っても切れません。

そのため、アメリカが金融政策によって利上げ/利下げを行い、それによってアメリカ株が下落/上昇すると、日本株もそれに連動して動く傾向にあります。特にアメリカの株価が下落したときには影響を受けやすく、反対に、アメリカ株が上昇したときの連動性は低いといわれています。

山本将弘 ※株の窓口より転載