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ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之さんから性暴力被害にあったとして慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が7月8日、東京地裁(鈴木昭洋裁判長)で開かれた。

この日は午前10時から午後5時半ごろまで、1日がかりで伊藤さんと山口さんの尋問が実施された。最後に伊藤さんの代理人弁護士と裁判官による山口さんの尋問があった。

山口さんは「(伊藤さんに)帰ってもらっても良かったけど、黙ってほしいというのが先にあった。(状況を)改善しようと、なだめるような気持ちで(性行為に)応じた」と話した。

●伊藤さんの代理人から山口さんに対する質問

(本文中の弁護人は全て伊藤さんの代理人、【】は編集部の補足です)

<山口さんが一時帰国した経緯>

【当時TBSのワシントン支局長だった山口さんが3月下旬、日本に一時帰国したのは、山口さんの『週刊文春』への寄稿を巡り、会社から呼び出されたためだった。山口さんはTBSのニュース番組で放送するために取材をしていたが、放送しないとの決定を受け、承服できずに『週刊文春』に寄稿という形で取材成果を発表したという】

会社の賞罰委員会に呼ばれて帰国したのではなく、その前段階として、顧問弁護士からの調査を受けるために3月30日に一時帰国した。ホテル代は会社の経費だったか覚えていない。航空券はうろ覚えだが、会社が支払ったように思う。(伊藤さんがホテルの冷蔵庫から取って飲んだ)210円のミネラルウォーターは、経費では落ちません。

TBSの支局のインターンの採用は、支局長一人で決められる。前任はインターンを取っていなかったが、私になってから取り始めた。

(4月3日にTBSの顧問弁護士に自宅待機を命じられた事実はあるかと問われ)覚えているが、命じられたのが3日より後か前か覚えていない。

(非常に大きな出来事だと思いますが覚えていないかと問われ)取材成果を報道できないと言われ、(ジャーナリストとしての)義務感で外部の媒体に出した。解任されるとは一切予想すらしていなかった。悪いことをしたと思っていなかった。解任は人事異動の一つであり、処分とは思っていない。

一時帰国前に伊藤さんに「週刊文春を読んでおいて」とメールしているのは、伊藤さんに対し「一時帰国したのはこの記事について調査するため」と示したもの。伊藤さんと会う4月3日段階で解任の可能性があるなら「読んでおいて」というはずがない。

<TBSからの調査について>

TBSからの調査は、呼び出しの主体は人事労政局だったかと思う。聞き取りは会社の顧問弁護士と人事部かコンプライアンスの部署かの社員によって行われた。

1回目は3月30日、賞罰委員会を開くかどうかで呼び出された。聴取は最低2回ないし3回行われた。1日1回で1〜2時間程度開かれた。

重い処分を受けるというのは、予測していなかった。顧問弁護士には、社外活動届提出の事実を伝えている。記者として取材した中身や成果が闇に葬られ、放送しないというのなら「他の媒体に出したい」という記者としての判断で、内規には違反していないと主張した。処分は、ないか、けん責の程度だと思った。

伊藤さんに対して、会う前に「TBSからの聴取で呼び出され帰国する」とは伝えていない。野暮用と伝えた。(社内調査の結果が予測できなかったにせよ、就職希望者の相談を受けるために会食することは適切だと思うかと問われ)不適切だとは思っていない。続投するならば(採用の)主導的立場だった。支局で仕事をしたいと思っている伊藤さんと会うことは不適切とは思っていなかった。

(聴取のことを伝えるべきではないかと問われ)伊藤さんには店で伝え、「賞罰委員会とはなんですか」と聞かれた。また、「『週刊文春』を読んでおいてください」と言っていた。

会社から自宅待機を命じられた時期は覚えていない。帰国する4月4日の時点で言われていたかも覚えていない。(帰国して普通に仕事をしたかと問われ)処分が出るか出ないか検討している段階であり、業務をしないという説明を受けたが、流れてくるニュースは記者としてウォッチしなければと思い、ニュースは見ていた。

デイリーの業務はしておらず、出勤も(業務をしないという)指示を受けたのでしていない。ただこれは会社のルールであり、解任を意味するものではない。(危うい立場で伊藤さんに会っていたのかと問われ)解任は人事異動であり、結果的に受けた処分は出勤停止15日だった。まさか解任はありえないと思っていた。

(自宅待機を命じられてもメールチェックしなければいけなかったのかと問われ)記者の本能だからニュースは継続的に見ないとと思っていた。解任されると思っていなかったから、ニュースを聞き続けないと(状況が)見えなくなると思った。支局長の「出社及ばず」という命令と(メールをチェックすること)は無関係だ。

【山口さんは2015年4月23日付で営業局に異動となった】

(異動後もあなたの立場で就職支援できたのかと問われ)後任に頼むことになるんでしょう。

<伊藤さんと会った理由、どのような話をしたか>

就職に関することのために会った。仕事の内容を伝え、適性や人柄を見ることが目的だった。(事前に伊藤さんにその旨を伝えなかったのかと問われ)就職の話はするに決まっているので、言わずもがな。

伊藤さんと会った際には、ワシントン支局でできる仕事や、無給のインターンかフリーランスか契約プロデューサーとしての採用があること、給料を出すのであればビザが必要であることなどを話した。

英語力は大事なので、英語力がある人はありがたいと思っていた。他方で、ジャーナリストの適性は履歴書レベルでは一定のことしか分からない。会食の席で、TBSがビザ支援の実績があると言ったかどうかは覚えていない。

伊藤さんは自己PRが強い方だと思った。適性を見ている途中でしたし、記者には時には強引さや自己PRが必要なこともある。英語力が高いことと、話し方からジャーナリズムへの強い思いがあると感じた。海外にいたこともあるので、自分のできることをアピールをする方なのだと思った。

伊藤さんの履歴書にはインターンでもいいと書いてあった。私に(採用を決める)決裁権限があることは間違いない。

<伊藤さんと恵比寿で飲食したときのこと>

串カツ屋での注文は全て私。伊藤さんがワインが好きと聞いて、ワインを頼んだ。ワインは一升瓶かグラスか選べたが、伊藤さんがたくさん飲むと言っていたのと、一升瓶のワインが美味しいということで、一升瓶の方を頼んだ。2人で全部は飲みきっておらず、他の方に譲って店を出た。私は一杯だけ飲んだ。

寿司屋は23時過ぎには出ようと思っていたが、何時と決めているわけではなかった。イランの核問題をめぐる枠組み合意についてのオバマの会見が気になっていたので、24時よりも早く帰らなければと思っていた。

【伊藤さんは自身の著書『BlackBox』で寿司屋での聞き込みを終えた捜査員から、「2人で(日本酒を)一升近く飲んだ」と聞き、「驚愕した。本当にそんなに飲んだのだろうか。自分ではとても信じられない」などと記述している】

私は3合未満だったので、伊藤さんは7〜8合飲んだと思う。伊藤さんが店内を歩いているのは見たが、裸足だったかどうかは分からない。(お酒を飲むことを止めなかったのかと問われ)トイレから戻って自分で飲んでいた。

20代後半の女性なので、止めることはしていない。酔っていることはわかるが、呂律は回っていたし、目つきがとろんとしていることもなかったので、どのくらい酔っているかは分からなかった。

伊藤さんは声が大きくなり、「私頑張ります」「英語はネイティブレベルです」と繰り返しおっしゃっていた。少しお酒が回っているのかなと思ったが、極端な泥酔状態ではなかったと思う。

<伊藤さんをホテルまでのタクシーに乗せた理由>

(食事をしていた場所から最寄りの恵比寿駅に送っても大丈夫なくらい伊藤さんは歩けたのではないかと問われ)乗せた段階でどうか、分からなかった。タクシーで嘔吐した段階で、帰らせられないと思った。

タクシーに乗る前は、街路樹に手を寄せて酔ってしまったと話していた。かなり酔っていて一人で帰れるか懸念した。タクシー内でいつごろ吐いたかは覚えていない。相当酔っていたのは確かで、不自然な行動をしかねない懸念があった。

(タクシーの中でホテルに連れて帰る判断をしたのは)駅に戻すと吐瀉物で窒息リスクがあると思った。(部屋に連れ帰っても、もう一度吐くと思わなかったかと問われ)休ませようと思った。当然可能性はあった。

(連れて帰った理由は、酔いを覚ませるためかと問われ)パソコンを使ってやらなければいけない仕事があった。彼女は神奈川県に住んでいると思っており、(遠くまで送る時間が惜しかったため)総合的に送っていく選択肢が消えた。でも一人にはできないので、最終的に連れていく判断をした。

(初めて2人であった女性で、自身の会社への就職を希望しており、会社の用命で帰国しているホテルに連れていくことに躊躇は葛藤はなかったかと問われ)他に選択肢がなかった。タクシーでの会話は記憶にない。(『BlackBox』に書かれている)タクシー運転手の記憶の信ぴょう性には異議がある。伊藤さんが(タクシーの中で)吐いたので、びっくりして動転したので話したことを覚えていない。

伊藤さんは酔っていたけど、すみませんと言ったり、嘔吐したものを避けたりしていたので、意識はあった。別の部屋に止めることは思いつかなかった。

<ホテル到着後について>

(伊藤さんは歩きながらどこに向かうか分かっていたのかと問われ)私の部屋に行くと分かっていると思った。タクシーの中でそう告げた可能性がある。降りた時に別のタクシーに乗せて帰る選択肢は思いつかなかった。自宅がどこかは、神奈川県だと思っていたので聞いていない。

【山口さんは『月刊Hanada』2017年12月号で、伊藤さんがホテルの部屋に入って窓際で嘔吐したあと、トイレに駆け込み2度嘔吐したと記述している】

(助けを呼ぼうとしたかと問われ)していない。(救急車を呼ぶことは考えたかと問われ)思いませんでした。(再度吐いてバスルームにうずくまっていた時、慌てなかったかと問われ)驚きました。唯一心配したのは、吐瀉物で窒息しないかどうか。ただの酔っ払いだと思った。

【山口さんは4月18日、伊藤さんにメールで「ゲロまみれのあなたのブラウスとスラックスを脱がせ、あなたを部屋に移して寝かしました」とメールを送っている】

(伊藤さんのブラウスとスラックスを脱がせて部屋に移して寝かせたのかと問われ)だいたいその通りです。(脱がせる時に抵抗はなかったかと問われ)少し抵抗する気持ちはあった。(スラックスを脱がせた理由はと問われ)異臭だけか吐瀉物がかかっていたか覚えていない。スラックスは洗っていない。

(臭いだけで脱がせるかと問われ)臭いから脱ぐように言います。(臭いだけで)脱がせることは不自然じゃない。

(2時ごろにトイレに立った伊藤さんに対し、家に帰るように言ったかと問われ)覚えていない。(説得して帰れと言わなかったのかと問われ)言っていない。

(「社交辞令的に性行為に応じて来た」という山口さん側の主張の意味を問われ)私としては性行為を強行するつもりもなかった。伊藤さんが(勝手に)水を飲んだり、吐いたりしたことなどで、非常に悪感情になっていたが、私はそれを隠していなかった。迷惑していると分かるように伝えた。

数時間後にワシントンに帰るということもあり、イライラもしていた。伊藤さんは謝って、シクシクと少し鼻をすすって泣くようなことがあり、「(ワシントン支局で働くことについて)私は不合格ですか」と繰り返し繰り返し言った。強く言いすぎたのかなと。帰ってもらっても良かったけど、黙ってほしいというのが先にあった。(状況を)改善しようと、なだめるような気持ちで(性行為に)応じた。

【『BlackBox』によると、山口さんは伊藤さんに対し、5月7日に「あなたが準強姦の主張しても(原文ママあなたが勝つ事はあり得ません。私にはたくさんの証人がいます」とメールしている】

(たくさんの証人は誰かと問われ)私に対してありもしない準強姦について話してきたことで、敵対状況にあり、伊藤さんのアクションを止める意味で言った。この証人が誰かというと、串カツ屋や寿司屋の店主、ホテルの人をイメージしていた。

<伊藤さんの採用について>

(陳述書には「辟易させるほど」「会話も噛み合わない」「手酌で何杯も(飲んだ)」「トイレで眠りこけ」といった表現があるが、およそ採用の余地がなかったのではないかと問われ)お酒を飲んで元気になる人は嫌ではない。全然ダメという結論に達する印象はない。

【『BlackBox』によると、山口さんは伊藤さんに対し、4月14日に「ニューヨークのTBSインターナショナル本社と、あなたを雇用するにはどういうパターンがありうるか検討してます」、4月17日には「あなたの雇用について少し進展がありました。まだやる気があるかどうかだけでも返信して下さい」とメールしている】

(本当に採用する気があったのかと問われ)情報収集する支局員を増やしたいという希望はあった。当時採用を検討していたカメラ助手の男性についても、もう少し電話取材や会見に行って原稿を書くことをトライしてみてと言っていた。このカメラ助手の男性と差し替えはできるか、継続して検討していた。

私としては4月14日以降に私への攻撃がエスカレートする中で、私としては「全く違うのに言うから、どうしたんだろう」と言動を元に戻してほしいと言う意味で送ったことはある。

(あなたからすると意味不明の文句を言う人を採用しようと思ったのかと問われ)レイプがあったと言われて以降は、(揉め事を)処理することにしか集中していなかったが、火消しと言うとあれだけど、事実と違うことを戻す気持ちだった。

懐柔するつもりでメールしたのではないが、このまま伊藤さんがこうしたことを言い続けるのか、私も動転していましたから、伊藤さんを雇用する、しないよりも、問題解決をしたいと言う意図だった。

<事件捜査中の示談申し込みについて>

示談の申し込みをしたのは、前任の代理人弁護士の判断だった。詳細は覚えていないが、犯罪や違法行為をしたつもりはない前提で、病院に行くなどしていたことについて弁償することはやぶさかではないと言う意思で弁護士が示談の旨を打診したのだと思う。

<答弁書の内容を修正したことについて>

(前任の答弁書の内容を修正したのはなぜかと問われ)テレビやネットで伊藤さんが出てくるだけで、非常に抑鬱状態になり、強いストレスを感じていた。事件の詳細に触れると、自分の精神が壊れてしまうのではと精神の危機を感じていた。弁護士と打ち合わせしても、詳細を話すことを忌避することがあった。

送られてきたやりとりもできるだけ触れたくなくて、コミュニケーションが不完全なことがあった。今の代理人弁護士はショックを乗り越えてから(出会い)、性行為に至ることも話せるようになったので、その差異がでた。

(『月刊Hanada』で反論文を出した時期と、答弁書を出した時期が変わらないと問われ)一切の発信手段を失う恐怖があり、(『月刊Hanada』側から)書いてみないかとお声がけを受けて、記者として発信し、書くことで鼓舞しようという意図だった。

伊藤さんは2017年5月29日、検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立てた

(検察審査会に意見書を提出していることを問われ)常にトラウマがあったが、顔や声が見るのが辛かった時期に断片的なことを伝えた。

(陳述書で、答弁書の内容が「山口さんが伊藤さんの手を握って親密な雰囲気となった」という部分が「伊藤さんの方から私の手を握ってきた」と修正された。この期に及んで変更されたのはと問われ)ベッドを座る位置を変えたことをきっかけとして起こったことを、今の代理人弁護士に細かく聞かれた。今回整理をして今の陳述書の状態を思い出して提出した。

<部屋の中でのベッド移動について>

山口さんが宿泊した部屋はツインで、シングルベッドが二つあった

(浴室の隣のベッドをA、窓側をベッドBとして)伊藤さんはベッドAに寝ました。私はベッドBに寝ました。(山口さんがベッドAに行って性行為をしたのかと問われ)はい。

山口さんは4月18日、伊藤さんにメールで「ゲロまみれのあなたのブラウスとスラックスを脱がせ、あなたを部屋に移して寝かしました。私はあなたの髪の毛などについた嘔吐臭が耐えられなかったので別のベッドで寝ました。その後あなたは唐突にトイレに立って、戻って来て私の寝ていたベッドに入って来ました」と送っている

(「伊藤さんを移して寝かせた」というベッドはAかと問われ)そうです。(「部屋に戻ると嘔吐臭に耐えられず、別のベッドで寝ました」というベッドはBかと問われ)はい。(その後「私の寝ていたベッドに入ってきました」というベッドはどれか問われ)ベッドAです。

(山口さんはベッドBに寝ていたのではないかと問われ)メールした当時は伊藤さんからの「妊娠したら働けなくなる」というメールに対し、「(伊藤さんが)酔ったせいでベッドに入ってきた」と責める為に書いたが、(メールの中でのベッドというのは)私が本来寝ていたベッドということだ。

(そう読めますかと問われ)私はそう書いた。

<ホテルを出るときについて>

(伊藤さんはなぜ唐突に出て行ったのか、あなたと同意のもと性交渉をしたのであれば、なぜ伊藤さんは髪にも嘔吐物がついていたのにシャワーも浴びずに帰ったのかと問われ)伊藤さんは、そのまま帰った。シャワーを浴びたらどうかという話にはならなかった。

●裁判官から山口さんに対する質問<伊藤さんの酔い具合について>

(タクシーを降りてから部屋に行くまでに会話はあったか問われ)かなり酔っていて、よろけた時に「大丈夫?」と声をかけた。私の右手だけで支えた。タクシーを降りて一人で歩けたかというと、かなり厳しかった。

(体重は預けられていたか問われ)伊藤さんは千鳥足で、ぐらついた時に、私は左手に荷物を持っていたので、右手で支えた。(曲がり角などはどう歩いたか問われ)無理やり引っ張るといことはなかった。荷物を持っていたので、できる範囲で誘導した。

寿司屋を出た際の酔いの状況は、千鳥足で自分で歩いていた。並木に手をついて休んでいたので、かなり酔いが回っていると思った。その時に自力で自分で帰れるかは微妙だった。同じことを繰り返し行ったのは、トイレから出てきた段階だった。ある程度酔っ払っていると思った。

<伊藤さんをホテルまでのタクシーに乗せた理由>

1つはオバマ関連のニュースで、急いでパソコンを開きたい希望があった。その中で、伊藤さんは自分で帰れず、恵比寿駅で降ろしても寝込んでしまったらと思い、総合的にホテルで休んでもらってと判断した。

(送って行くことは検討したかと問われ)神奈川県とだけ記憶していたので、早くパソコンを開きたかった。また、処分を受けるかどうかの一時帰国のため、タクシー代も会社に請求できなかった。タクシーを往復するのは、時間的にもコスト的にも考えなかった。

(タクシーに乗せた時点でホテルに連れて行くことを検討したかと問われ)どこかで降ろす選択肢もあったが、伊藤さんは嘔吐してどんどん酔っ払った。なんと行ってタクシーを乗せたか覚えていないが、素直に乗った。

<ホテル到着後の伊藤さんの様子について>

(水を飲んだ際に、なんでここにいるのかと行った発言はなかったかと聞かれ)なんとなく覚えている。水を飲んだと言われた。(不合格でしょうかという発言を繰り返し行ったのは、どういう状態だと思ったかと問われ)嘔吐し、勝手に水を飲み、数時間後に帰国することもあり、イライラして強く当たっていた。

私の雰囲気に就職のチャンスがなくなったのかなともう仕向けたのだと思った。最初は会話していたが、だんだん同じことを繰り返して、最後は呪文のように言っていた。(伊藤さんは正常な状態だと思ったかと問われ)酔い具合という意味では酔っている様子ではなく、チャンスを失うことへの執着と見た。

(山口さんは「伊藤さんは嘘の話を作り上げている」と主張しているが、伊藤さんが嘘をつくことについて身に覚えはあるかと問われ)最初、伊藤さんは妊娠するんじゃないかと心配していた。

酔って吐いてしまって、性行為に至ったことは覚えているけど、妊娠を懸念していたと思う。そのあと私がTBSのワシントン支局長を4月下旬に解任されて、就職支援の中で、私が極悪な薬を持ってレイプして、胸や膝に怪我をさせ窒息させようとしたというところまでエスカレートした。その理由はわからないが、私を貶めたいと思ったか、彼女にそういう主張を教唆した人がいるかわからないが、(伊藤さんの)心が変遷して行ったと理解している。

(「今から思えば違った判断があった」と尋問で述べた意味を問われ)たとえどういう経緯でも性行為はすべきでなかった。また、ホテルに連れて行かない選択肢があった。ケチケチしないで、1万円をわたして返してあげるべきで、悔恨の念だ。社会を騒がせたことについても反省している。