HPOクリエーション 松井 義治 代表取締役

 良い会社とはどのような会社でしょうか。日本経営品質賞(JQA)の観点からいえば、継続的にビジネスが成長している、顧客満足度が伸びている、従業員満足度も高く、コンプライアンスを遵守している会社です。会社をより良くしようと、多くの日本の企業は製品やサービスの改善、TQ活動を行い、また、ISO9000や14000の認証を受けるなどして業績の維持強化を図っています。

 ところが90年代前半以降、日本の労働生産性はOECD35カ国の22番目付近をずっと維持し、伸びていません。そして、日本の一番の課題は、世界の最下位グループの下のほうにいるという社員の低いエンゲージメント(会社や仕事への愛着心と決意)です。調査機関ギャラップ社の研究調査で判明しているように、エンゲージメントと生産性は直結しています。つまり、制度やプロセスを変えても、エンゲージメントが上がらなければ、生産性は伸びません。

 私共のミッションは「元気で生産性の高い組織を創る」ことです。私自身、前職でフォーチュン500に入る4社の外資系企業で働き、特に最初の2社から、業界トップを走る会社の成功要因を学び実践する機会を得ました。もちろん他社の成功事例をそのまま当てはめても成功することはありませんが、組織力強化の基本原則とアプローチを理解し、カスタマイズして導入すれば必ず成功します。私も95年以降、人事/組織開発の長として様々な組織変革を日本、アジア、グローバルで成功させてきました。

 会社の強さは、その文化で決まります。企業文化を強化するのはリーダーの仕事です。それを着実に支援するのは人事の仕事です。本書は、人事の方以外に経営陣と部門長の方々に向けたものです。社員のベクトルを合わせ一枚岩にする活動、社員の自発性と能力の高め方、リーダーの在り方とリーダー開発の方法、効果的な採用のポイントなどを理解しながら、企業文化の強化策を学んで頂けます。

 本書から3つだけ実践計画を見つけ、是非とも皆さんの社内で導入し、元気で生産性の高い組織創りをご一緒していただけますと幸甚です。