日本代表を率いる森保監督【写真:Getty Images】

写真拡大 (全2枚)

チリ戦で日本が0-4大敗、森保采配を巡りチリ人とブラジル人記者の間で意見が真っ二つ

 森保一監督率いる日本代表は、現地時間17日のコパ・アメリカ(南米選手権)グループリーグ初戦でチリ戦に0-4と大敗した。

 大会2連覇中の南米王者に屈服する形となったが、現地取材していた対戦国チリ人記者とブラジル人記者は“森保采配”を巡って意見が真っ二つ。「あの判断が理解できなかった」「特に不思議とは思わなかった」と賛否両論となった。

 今大会の日本は東京五輪世代の若手を中心にメンバーを組み、チリ戦ではスタメン6人が代表デビュー。一方のチリはMFアルトゥーロ・ビダル(バルセロナ)やFWアレクシス・サンチェス(マンチェスター・ユナイテッド)らが先発するなど、本気モードで襲い掛かってきた。

 序盤は互角に近い攻防を繰り広げたが、同41分にCKからMFエリック・プルガル(ボローニャ)に先制ゴールを献上。後半に入ると徐々に地力の差がピッチ上に反映され、FWエドゥアルド・バルガス(UANLティグレス)に2得点、FWサンチェスに1得点を許し、0-4の大敗を喫した。

 この試合を取材していたスペインの大手紙「AS」のチリ版で記者を務めるパブロ・ヴェラ・オヘダ氏、ブラジルメディア「グローボ・エスポルチ」の記者マルセロ・リマ・ブラガ氏は、森保監督の“ある采配”を巡って意見が割れている。

対戦国チリ人記者の見解は…「久保と並んで中島は間違いなくチリの脅威となっていた」

 そのシーンとは、今大会10番を背負ったMF中島翔哉(アル・ドゥハイル)の交代だ。4-2-3-1の左サイドハーフで先発した中島は要所で鋭いドリブルを披露するなど日本の攻撃をけん引。守備のバランスが崩れる場面も散見したが、森保監督は後半21分に中島を下げ、MF安部裕葵(鹿島アントラーズ)を送り込んだ。

 その安部は決定機に絡むプレーを見せるなど攻撃を活性化させたが、中島を下げた指揮官の判断について、チリ人のオヘダ氏は次のような見解を示す。

「あの交代は奇妙に思ったよ。なぜなら、久保(建英)と並んで中島は間違いなくチリの脅威となっていたからだ。特に前半の序盤は止めるのが困難なプレーヤーだった。森保監督がどうして交代を決断したのかは分からないけど、僕には指揮官のあの判断が理解できなかった」

 対照的に“通常の交代”と見ているのが、ブラジル人のブラガ氏だ。「交代に踏み切った本当の理由は分からないけど、体力的な問題があったのだろう。そういう意味では、通常の交代というか、特に不思議な交代とは思わなかった」と語る。

 さらに中島が交代した時点での状況にも触れ、「中島が交代した時点で…確か0-2で日本が負けていた。それに時間も後半の半ばだったから、指揮官としては何かを変えないといけないと考えたと思う」と理解を示す。

脅威となった一方、守備のバランスに乱れ 日本の10番アタッカーが諸刃の剣に

 森保監督の“中島交代”を巡って両氏の見解は割れた。中島が「脅威となっていた」のは事実である一方、0-2という劣勢のなかで何かを変えるための「通常の交代」という意見にも頷ける。

 中島は積極的に仕掛けてチリの選手を翻弄し、前線に残ってカウンターに備える場面も多く散見。攻撃に重きを置いていた一方、守備のバランスに乱れが生じる局面もあり、チームにとっては10番アタッカーが諸刃の剣となっていたのも確かだ。その意味で、両氏の意見はともに的を射ていると言える。

 中島の交代後、日本はゴールチャンスを生み出すなど反撃ムードを漂わせたが、結果的に終盤の連続失点で0-4と大敗した。20日にウルグアイ、24日にエクアドルと対戦する森保ジャパンだが、指揮官がどのような采配を振るうのか注目が集まる。(Football ZONE web編集部・大木 勇 / Isamu Oki)