今、買うべき投資、金融商品
なぜ定期預金は「地銀ネット支店」にすべきか

■インフレに強い株や金ETFも視野に

長引く超低金利を反映し、日本人の資金運用はむずかしい局面にあります。さらに、2018年秋以降、株価も落ち着きませんでした。日経平均株価の終値で見ると、10月2日に2万4270円の高値を付けた後、12月25日には2万円の大台を割り込みました。その後反転し、2万円に回復したものの、先行きの不透明感はどうしてもぬぐえません。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Sean_Kuma)

いずれにしても、こうした状況から新規株式への投資は低調です。そうかといって、割安な株価水準では売却もしたくない。結果として現状のまま保有を継続しているという投資家が多いのではないでしょうか。

そこで勧めたいのが「地方銀行ネット支店定期預金1年もの」です。多くの地銀がインターネット専用の支店を設けており、このネット支店専用の定期預金に高めの金利を付けています。窓口への来店は一切不要で、全国どこに住んでいても利用できます。

代表的なものとして、愛媛銀行の四国八十八カ所支店と香川銀行のセルフうどん支店があります。両行とも1年定期の金利は0.20%。さらに両行とも、1人100万円限度で預けられる1年定期を別途取り扱っていて、愛媛の「100万円限定だんだん定期預金」、香川の「超金利トッピング定期預金」はいずれも0.27%の金利が適用されます。

あるいは「個人向け社債」という手もあります。19年4月にソフトバンクグループは、5000億円の普通社債を発行しました。償還期限は25年4月の6年もので、利率は1%台。購入単位は100万円ですが、過去に発行された個人向け社債はいずれも利率が高かったので、応募が殺到したぐらいでした。他の会社の個人向け社債も含め、検討する余地はあるでしょう。

以前から株式や外貨建て商品に投資している人には、ひとつの選択肢として「インバース型ETF(上場投資信託)」の検討を勧めます。これは、証券取引所に上場されている投資信託で、株式と同じように売買できます。その価格が日経平均株価やTOPIXの日々の変動率の逆の動き、マイナス1倍となるように運用されています。これを買っておけば株価が値下がりしても、逆に値上がりするので、リスクをヘッジでき、資産全体の損失を抑えられます。

現在は緩やかなインフレ局面ですが、中長期的な視点で見ると、消費者物価が本格的に上昇するときが来るかもしれません。そうしたリスクをヘッジしたいのであれば、昔からインフレに強いとされてきた資産、すなわち株式や不動産、金といった実物資産を持ってください。

■5000円程度から投資可能な銘柄

このうち金は、地政学リスクにも強い資産です。投資形態を選ぶなら「金ETF」が有力です。5000円程度から投資可能な銘柄もあり、現物取引よりも手数料が安く、保管料もかからないので、スタートしやすいという側面があります。

とはいえ、手元資産も投資経験も少ないという場合、金融庁が国民の安定的な資産形成促進のために導入した「つみたてNISA」があります。NISAというのは「少額投資非課税制度」のことで、年間40万円の積み立てに限られますが、投資から20年間は非課税のまま運用を継続することができます。無理のない範囲で購入することをお勧めします。

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目黒政明
ファイナンシャルプランナー
1959年生まれ。慶應義塾大学卒業後、大和証券、独立系FP会社を経て、特定の金融機関に属さない独立系FP集団「生活設計塾クルー」を設立、代表に。得意分野は金融資産運用設計(資産運用アドバイス)。

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(ファイナンシャルプランナー 目黒 政明 構成=岡村繁雄 写真=iStock.com)