阪神・能見篤史(左)と西武・内海哲也【写真:荒川祐史、安藤かなみ】

写真拡大

金田正一は勝利数に続き4490奪三振で歴代1位

 奪三振数も、他の多くの投手成績と同様、登板数、イニング数に比例する数字だ。昭和の時代の大投手の数字が上位に来るが、近年、投手の奪三振率は上昇しているので、平成の投手が見劣りするとは言い切れない。

○NPB通算奪三振10傑()は実働期間 K9は9イニング当たりの奪三振数

1 金田正一 4490奪三振(1950-1969) K9/7.31
2 米田哲也 3388奪三振(1956-1977) K9/5.94
3 小山正明 3159奪三振(1953-1973) K9/5.80
4 鈴木啓示 3061奪三振(1966-1985) K9/5.99
5 江夏豊 2987奪三振(1967-1984) K9/8.41
6 梶本隆夫 2945奪三振(1954-1973) K9/6.30
7 工藤公康 2859奪三振(1982-2010) K9/7.71
8 稲尾和久 2574奪三振(1956-1969) K9/6.44
9 三浦大輔 2481奪三振(1992-2016) K9/6.82
10 村田兆治 2363奪三振(1968-1990) K9/6.38

 勝利数歴代1位、400勝投手の金田正一が1位、2位、350勝の米田哲也が2位。上位には昭和の時代の大投手が並んでいるが、7位には工藤公康、9位には三浦大輔と平成になってから活躍した投手も食い込んでいる。1969年のリーグ平均K9は、パが4.88、セが5.96だった。2018年にはパが7.12、セが7.52まで上がっている。

 この間に、NPBの投手はフォーク、チェンジアップなど三振を奪うことのできる変化球を多投するようになった。また長打狙いの打撃をする打者も増えたことから、三振数が増える傾向が続いてきた。

○現役通算奪三振10傑

1 涌井秀章(ロ) 1601奪三振(2005-2018) K9/6.51
2 岸孝之(楽) 1591奪三振(2007-2018) K9/7.71
3 金子弌大(日) 1566奪三振(2006-2018) K9/7.72
4 石川雅規(ヤ) 1524奪三振(2002-2018) K9/5.14
5 和田毅(ソ) 1520奪三振(2003-2017) K9/8.27
6 内海哲也(西) 1496奪三振(2004-2018) K9/6.84
7 能見篤史(神) 1436奪三振(2005-2018) K9/7.84
8 メッセンジャー(神) 1420奪三振(2010-2018) K9/8.37
9 松坂大輔(中) 1408奪三振(1999-2018) K9/8.69
10 上原浩治(巨) 1400奪三振(1999-2018) K9/7.96

 現役ではロッテ、涌井が1601奪三振で1位。通算10傑でK9が7.0を超える投手は、金田、江夏、工藤の3人だけ。すべて左投手だ。昔は左腕のほうが奪三振率が高いとされた。しかし現役では楽天の岸、日ハム金子、ソフトバンク和田、阪神の能見、メッセンジャー、中日の松坂、巨人の上原と7人が7.0以上。しかも5人が右投手。左腕右腕の別なく、奪三振率は上昇している。

メジャーで活躍するダルビッシュ、田中、大谷らは高い奪三振率を誇る

 実は現役で最も奪三振率が高いグループは、アメリカにいる。MLBで活躍するNPB出身先発投手の、NPB時代の奪三振記録は以下のようになっている。

ダルビッシュ有(カブス) 1250奪三振/1268.1回(2005-2011) K9/8.87
田中将大(ヤンキース) 1238奪三振/1315回(2007-2013) K9/8.47
前田健太(ドジャース) 1233奪三振/1509.2回(2008-2015) K9/7.35
大谷翔平(エンゼルス) 624奪三振/543回(2013-2017) K9/10.34
菊地雄星(マリナーズ) 903奪三振/1010.2回(2011-2018) K9/8.04

 大谷翔平の10.34を筆頭に、前田健太を除く4人が8.0を超えている。奪三振率が高い投手は、日米問わず魅力的であり、MLBに移籍するチャンスが増えるのだ。ちなみに1000奪三振以上のK9史上1位は、現役の阪神、藤川球児の11.66(1122奪三振/866回)だ。

 NPBでは1000奪三振から500刻みで表彰している。今季達成が期待できる奪三振記録は、以下の通り。

○1500奪三振 (過去55人)

内海哲也(西) 1496奪三振 あと4奪三振
能見篤史(神) 1436奪三振 あと64奪三振
メッセンジャー(神) 1420奪三振 あと80奪三振
松坂大輔(中) 1408奪三振 あと92奪三振
上原浩治(巨) 1400奪三振 あと100奪三振
中田賢一(ソ) 1337奪三振 あと163奪三振

 オープン戦好調の今季から西武の内海は、今季初登板で達成する可能性がある。阪神、メッセンジャーが1500奪三振を記録すると、外国人ではスタルヒン(1960奪三振)以来2人目となる。中日の松坂は、昨年、51奪三振。残り92奪三振はやや厳しいか。ちなみに日米通算では2128奪三振になる。

○1000奪三振 (過去147人)

館山昌平(ヤ) 995奪三振 あと5奪三振
菅野智之(巨) 963奪三振 あと37奪三振
西勇輝(神) 940奪三振 あと60奪三振
五十嵐亮太(ヤ) 887奪三振 あと113奪三振
山口俊(巨) 865奪三振 あと135奪三振
寺原隼人(ヤ) 852奪三振 あと148奪三振
山井大介(中) 824奪三振 あと176奪三振
吉見一起(中) 818奪三振 あと182奪三振
藤浪晋太郎(神) 806奪三振 あと194奪三振

 松坂世代のヤクルト、館山は昨年13奪三振。今季早々にも達成したいところ。巨人の菅野にとっては、通過点に過ぎないだろう。阪神の藤浪は、2015年には221奪三振で三振王のタイトルを取っている。完全復活すれば、この数字も不可能ではないはずだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)