先日9月17日は「敬老の日」だった。身近にいる人生の大先輩に日ごろの感謝の気持ちを伝えた人も多いのではないだろうか。ただ、老を敬らわれる方は、意外と複雑な心境を抱えているかもしれない。

はてな匿名ダイアリーに先日、「敬老の日ギフトを贈ったら親がキレた」というエントリーが寄せられた。高齢者だからといって一方的に労うことは、相手を傷つける可能性があるようだ。(文:宮西瀬名)

自分の両親には「父の日母の日に贈るもんじゃないの?」という声も


投稿者は現在62歳の両親に、敬老の日のギフトとしてお菓子を送ったのだが、善かれと思って贈ったギフトが思わぬ火種となってしまった。母親から父親が「俺はまだ老人ではない」と立腹している、という連絡があったという。

善意を踏みにじられたと怒りが収まらない投稿者は「62歳は立派なお年寄りでしょうが。現実を受け入れようよ。こっちが恥ずかしいよ。マジで面倒臭すぎる」と不満を爆発。

さらに、「私の嫌いなタイプの老人への道を着々と歩んでるじゃねーか。こういう老人を見ると敬老の日をお祝いしたくなくなる」と自身の父親であるにもかかわらず、毒を吐き散らかしていた。

WHOの定義では65歳以上を高齢者としているので、62歳で高齢者扱いは少し早いような気もする。企業でまだ働いている人も多いだろう。一方で60代なら孫がいてもなんらおかしくないわけで、中年というのも違うような気がする。60代前半は扱いが難しいとも言える。

ただ、コメント欄を見てみると、

「父の日母の日に贈るもんじゃないの? 敬老の日に自分の親に贈る人どれくらいいるんだろう」
「親の誕生日と母の日と父の日とあとやるならお歳暮とお中元とお年玉だけで十分では」

といった親を労いたいのであれば「母の日」と「父の日」があると指摘する意見が多い。「年齢はそうであってもオッサンやジジイ呼ばわりされるのは辛いんだよ」といった父親の心情を察してあげる優しい意見も見られた。

敬老の日は「70歳から祝われるもの」というシニアが大半

今回の親子喧嘩は、若者とシニアの間にある、敬老の日に対する認識のギャップが原因と言えそうだ。

マクロミルが20〜30代の若者層と60〜70代のシニア層の合計1000人を対象に実施した敬老の日に関する調査によると、「敬老の日を祝うのに妥当だと思う年齢」について若者に聞くと「何歳から祝われてもいいと思う」(24.4%)が最多。以降、「60〜64歳」(22.2%)、「70〜74歳」(20.8%)となった。祝う側の若者からしたら、祝われる側のシニアの年齢はそんなに気にしていないようだ。

一方、シニア層に「祝われるのに妥当な年齢」を質問すると、「70〜74歳」(31.8%)が最も多かった。次いで「75〜79歳」(22.2%)、「80歳以上」(13.2%)と続き、「何歳から祝われてもいいと思う」は11.6%とあまり回答数は伸びなかった。高齢者からすれば、敬老の日を祝われるべき年齢は70歳からが妥当だと認識している傾向がある。

投稿者の父親は62歳だ。そのため、ギフトを贈られたことにイラッとしてしまったことは頷ける。やはりいくつになっても"老い"を受け入れることはしんどいのだろう。敬老の日はある意味、「あなたはもう高齢者ですよ」と伝えるイベントである。敬老の日を祝う際は、祝われる側の心情をキチンと汲んであげる必要がありそうだ。