「トップ下・本田」の致命的な問題点 スイス戦の“最少・最多データ”が示す課題とは?
スイス戦でトップ下に入った本田、後半31分に香川と交代するまで76分間プレー
日本代表は現地時間8日の国際親善試合スイス戦で0-2と敗れた。
4-2-3-1システムを採用した日本は、トップ下に本田圭佑を起用。後半31分に香川真司と交代するまで76分間プレーしたが、データから「トップ下・本田」の課題が浮き彫りになっている。
西野朗新監督の初陣となった5月30日のガーナ戦(0-2)では3-4-2-1、3-4-1-2、4-4-2など3システムをテスト。そしてスイス戦では90分を通して4-2-3-1をチェックしている。1トップに大迫勇也が起用され、2列目中央に本田、左に宇佐美貴史、右に原口元気。2ボランチに長谷部誠と大島僚太、4バックは左から長友佑都、槙野智章、吉田麻也、酒井高徳の並びで、GKに川島永嗣が入った。
スイス戦での日本は、最終ラインを自陣中央のあたりまで押し上げつつ、1トップ大迫との距離をコンパクトに保ち、守備ブロック内に入ってくるボールの奪取を狙った。回数は多くないものの、前線からのプレッシングと中盤でのボール奪取から良い形で攻撃も繰り出している。
PKを含む2失点の日本だが、守備組織が崩壊したわけではなく、一定の強度を維持した。だが、データ分析会社「InStat」社によると、攻守において「トップ下・本田」の問題点が浮かび上がっている。
負傷交代の大迫を下回った「守備のチャレンジ回数」
一つ目が「守備のチャレンジ」だ。守備における1対1の競り合いで、マイボールにするためのボールの奪い合い全般を意味する。先発メンバーを対象に見ると、最多は槙野の8回。吉田が7回で続き、5回が長友と原口、4回が酒井高と長谷部、3回が宇佐美、2回が大島と大迫、そして最少の1回が本田となっている。
本田は76分間のプレーでわずか1回となっており、前半40分に負傷交代した大迫を下回っている。これが意味するところは守備における貢献度の低さであり、ボール奪取を狙う局面に関与できていないということだ。
実際のプレーに目を向けても、大迫のプレッシングを合図に後続が連動して動く際、本田の寄せが遅れ気味になる場面も少なくなかった。そうなれば、当然ボールの出し手や受け手に対するプレッシャーが弱くなり、日本の守備は後手を踏むことになる。
大迫の交代を受けて、武藤と本田が前線からチェイシングする形となったなか、ハーフタイムには修正の話し合いをしていたという。試合後に西野監督は「武藤と本田とのディフェンスの入り方というのも、微妙にタイミングとかポジショニングとかが変わっていくところをハーフタイムに二人で調整していた」と明かしている。
一人際立った「ボールロスト数」 2位酒井高や原口の約2倍に
一方の攻撃面、「トップ下・本田」の課題となるのがボールロスト(自陣)の多さだ。先発メンバーの回数を見ると、宇佐美が1回で最少となっており、2回で長友と槙野、3回で大迫、4回で吉田と大島、5回で長谷部、6回で酒井高と原口と続く。そして最多が本田の11回で、一人ボールロストの多さが際立っている。
トップ下というポジション柄、相手から強烈なプレッシャーを受けるだけに、ボールロストが増える傾向にあるのは事実だ。しかし、実際の試合では相手がさほど寄せていない場面でもトラップミスからボールを失うなど正確性を欠くプレーも見られた。そうしたプレーが増加するほど、攻撃のプレースピードや脅威度は低下する一方、カウンターを食らうリスクは増大するだけに、攻守において致命傷になりかねない。
「サブにライバルの真司が控えていて、結果を残さないと真司にポジションを取られる」
スイス戦で様々な課題を残した本田。試合後には香川の名前を出して危機感を強めていたが、果たして西野監督はこのまま「トップ下・本田」を継続起用するのだろうか。
データ提供元:Instat
(大木 勇(Football ZONE web編集部) / Isamu Oki)