【MLB】打者・大谷の攻略法はあるのか…元外野手がパワーに驚嘆「成層圏まで達する」
内外角を問わず広角に打ち分ける打撃に称賛の嵐
ニ刀流の大活躍でメジャーで鮮烈なインパクトを残しているエンゼルスの大谷翔平。規定打席には達していないが、特にOPS(出塁率+長打率)は1.044という超エリート級の数字を叩き出し、レッドソックスのムーキー・ベッツ外野手(1.201)、マニー・マチャド内野手(1.112)、同僚のマイク・トラウト外野手(1.109)、クリス・ブライアント(1.047)に次ぐ、メジャー5傑入りも果たそうという勢いだ。内角攻めも外角攻めもモノともせず広角に打ち分ける23歳に、米メディアでは「この男は全ての観点から野球を支配している。いかにアウトを取ればいいのか?」と、異例の大谷対策を特集している。
投打で圧巻のパフォーマンスを見せている大谷。限定的な起用ながら、打者としてもすでにホームラン5号を記録するなど、衝撃のパワーでアメリカを震撼させている。その打者・大谷を徹底解剖したのは、地元テレビ局「FOXスポーツ」だった。「私が打者としての分析をしてみましょう」と、解説に名乗りを上げたのは、ヤンキースなどで活躍した外野手ニック・スウィッシャー氏だ。
「彼は選球眼の高い打者です。ストライクゾーンの外角のボールはわずか35パーセントしか手を出しません。内角のボールが65パーセントになります。彼はプレートギリギリまでボールを見極めます。彼は打席で何をしたいか完璧に把握しています。そして、一旦自分の狙い球が来れば、絶対に仕留めます。身長6フィート4(約193センチ)、205〜210パウンド(約93?95キロ)。しっかりと腕が伸びた状態で捉えられれば、彼は成層圏までボールを運ぶことができます。それがこの場面でやってのけたことです」
10日(日本時間11日)の本拠地ツインズ戦前までのデータと今季序盤のアスレチックス戦でのホームランシーンの動画を用いながら、大谷が持つ規格外のパワーを解説。なんと地上11キロを超える高さに位置する成層圏まで打球が到達する可能性があると称えている。
そして、ストライクゾーンを9分割にしたグラフを用いて、大谷は高めをほとんど振っていないデータを紹介。「これを継続すれば、今季は恐ろしいことになるでしょう。今年、彼が成功を収めている最大の理由は、高めのボールを振っていないことです」とスウィッシャー氏は説明。そして、スプリングトレーニング中に切り替えた打撃フォームについても解説した。
元新人王左腕が見る大谷攻略法とは?
大谷は右足を大きく引き上げるのをやめ、ほぼノーステップで早めにタイミングを取れる状態に変えた。スウィッシャー氏は、この変化による効果について「前足を地面につけたままにすることで、頭が上下せずにいられる」と指摘。「自宅で見てる子供たちもヒットを打ちたければ、頭は動かさない。頭が動いてしまえば、野球は難しくなりますよ」と大谷を例に野球少年にアドバイスを送った。
圧巻の打撃を見せる二刀流は止められるのか? 投手の立場からの意見を求められた2003年新人王左腕ドントレル・ウィリス氏は、大谷攻略法をこう展開した。
「左投げとしては、自信のあるボールで内角を攻めて打ちづらくさせたい。ですが(内角は)彼のパワーゾーンのようです。私は彼のベルトの高さにシンカーを投げて、さらに内角を攻めます。彼を打席で動かしたい。内角を意識付けさせて、外角低めに沈むスライダーです」
元左腕は、大谷のストライクゾーン外角低めの打率が.286であることに触れながら「打率.286は悪くありません」と断りを入れたが、「高めに焦ってはいけません」と外角高めの危険性を指摘。自らの対戦経験から体の大きなパワーヒッターは外角高めを得意としているとし「危険なエリアなんです。だから、低めを狙ったほうがいい」と力説した。
ヤンキース戦ではの開幕投手ルイス・セベリーノが内角に投じた時速157キロ速球を完璧に捉えた大谷。そのシーンを振り返りながら苦笑いしたウィリス氏は、左腕であればさらに内角に動くツーシームを投げて大谷の体を動かしながら、外角低めを振らせる戦法を提案したが、いずれにせよ、大谷を打ち取るには投手はほぼ完璧な制球を持って攻めなければならなそうだ。(Full-Count編集部)