森山良子が語る『涙そうそう』タイトルを聞いて涙ボロボロに
歌手の森山良子が、2月20日放送の『トーキングフルーツ』(フジテレビ系)に出演し、自身が作詞した曲『涙そうそう』について語った。
『涙そうそう』は森山によって発表された後、2001年に歌手の夏川りみがカバーし大ヒット。夏川はこの曲で2002年に紅白歌合戦に出場し、日本レコード大賞の金賞を受賞している。
番組で、司会の古舘伊知郎が「1つ上のお兄様が、23のときに亡くなった。そして(その後)『涙そうそう』という名曲を生むにいたった。宿命を感じるんですよね」と、早逝した兄についての話題を促す。
森山は「そうですね。兄が亡くなったことは私の人生にとっては本当に大きなことで。あれ以上のことはなかったと思います。毎日のように彼を想い、なぜあのとき私の兄が突然亡くなったんだろうと。そのときはただ悲しむだけだったんですけど、『(後に)もしかしたら何か意味があるんじゃないかな』と思うようになりました」と応じた。
名曲が誕生したきっかけを森山はこう明かす。
「BEGINがメロディーを書いてくれて『涙そうそう』っていうタイトルがついていたんです。『どういう意味?』って言ったら『涙がポロポロあふれてくる様子』って聞いて、そのままボロボロ涙が流れてきて。兄への想いと重なってそのままの気持ち(で作詞した)。
亡くなったすぐ後だったら、感情の方が先に出て整理のつかないような詩になっていたと思う。20年ちょっと経っていた時期でしたので、自分の中で感傷的にならない言葉を選ぶ時間もあったのだと」
2002年1月25日付けの日本経済新聞のインタビューで、森山は兄・晋さんが亡くなったときのことついてこう語っている。
「バスケットボールの選手だった兄は大学卒業後、二十三歳の時に心不全で亡くなりました。兄が亡くなったのは、私が一時歌手を辞めたことなどで家族全員に心配をかけていたころでした。医師は当時、心不全の原因として『大学を卒業して急激に運動量が落ちたため』と説明したけれど、私のやるせない思いは、以後もずっと消えませんでした」
森山は幼いころ、よく兄と一緒にメンコやベーゴマ遊びをしていたいう。彼女は19歳で歌手デビューしているが、苦しいときに愚痴を言う相手はいつも兄だった。
『涙そうそう』が大ヒットしたことについて、森山は2003年4月7日付けの読売新聞のインタビューで、「兄と妹の小さな物語が友人との思い出や、恋人との思い出に置き換えられて歌われている。たくさんの人にこの歌が愛され、天国にいる兄貴は幸せ者です」と明かしている。
『トーキングフルーツ』では、『涙そうそう』が誕生したことは「私にとっても救いのような出来事だった」と振り返っていた。亡くなった兄への想いがいまも彼女を支えている。