兵庫工業高等学校(兵庫)
■兵庫県内でも有数の伝統校 兵庫県神戸市にある兵庫県立兵庫工業高等学校は1902年に創立。100年以上の歴史を持ち「県工」の名で親しまれている。現在は建築科、機械工学科、電気工学科、総合理化学科、都市環境工学科、デザイン科、電子工学科、情報技術科を設置し多様な学習ができる環境を整えている。野球部は50年と58年のセンバツ大会に出場し1勝。昨秋は神戸地区大会のブロック予選を1位で勝ち上がり、兵庫大会では3回戦で関西学院に敗れたもののベスト16入りした。
■兵庫工野球部の紹介 野球部は2年生29名、1年生15名の計44名。「学校のグラウンドを他の部活動と共用で使用しており内野部分は週3回しか使えないため、小スペースでもできる練習を工夫してやっています。また、朝は全面使用できるので、そこでフリーバッティングなどを行っています」と藤江 颯生主将。新チームの結成時には「一戦必勝をテーマとし一つ一つの試合で勝ちにこだわる。そして、『このチームで絶対、甲子園に行く!』と決意しました」という。
■秋季大会を振り返って 兵庫大会出場が懸かった神戸地区Aブロック準決勝の神港橘戦が記憶に強く残っているという藤江主将。「チャンスで一本が出ずに劣勢のなか、耐えてチャンスをうかがっていました。そして、バントで作った好機をものにして逆転。最終回の守備では同点のランナーを一塁に置き、自分の送球ミスでランナーが本塁へ突入しましたが、仲間のカバーリングのおかげでタッチアウト。ゲームセットとなり兵庫大会への出場が決定しました。今までは、大事な場面で崩れていたチームが、最後の最後まで耐えて勝ちきることができ、チームが大きく成長した試合です」と収穫を手にしている。
■新チームを引っ張ってきた選手は? チームのエースとしてピッチングで試合の流れを作った小山 敦也投手。チームが打ってほしい場面で結果を残し連打のスタート役となった森田 翔選手が活躍。また、藤江主将は萩原 海人投手と立花 俊選手に期待。「萩原は制球力を身に付けて変化球の切れが出てくれば、ピッチングでも活躍してくれそう。立花はチームの4番としてチャンスに強くなれば最高です」。さらに、走塁で相手チームにプレッシャーをかけられる俊足の長 凌矢選手にも注目だ。
■この冬の意気込み! 「1年生も、2年生も関係なくレギュラーを取るぞという気持ちで互いに競い合い個々のレベルをグンと上げていきたい」と藤江主将。「強いチームに勝っていくためにどんなピッチャーにも対応していけるような攻撃力を身に付け、さらに自分たちの課題であるメンタル面も成長させ、土台をしっかりと作ってチーム力を上げていきたい」と高い意識を持ち、このオフシーズンを全力で駆け抜ける所存だ。
他チームにも誇れるのは本気の仲間づくりをしているところティーバッティングを行う選手ここからは、正井 雄登副主将と前田 優学生コーチのお二人にお話を伺いました!
Q.秋の大会や練習試合が終わって見つけた課題を教えてください。
正井:秋はベスト16で終わってしまい、練習試合でも思うような結果が出ませんでした。そこでチーム内で話し合い、出した答えが「意識の差」。野球に対する気持ち、情熱、本気度が強豪校の選手と大きく違っていると感じたので、普段の練習や生活から変えていかないといけないと思っています。前田:課題は選手層の薄さです。練習試合ではA、Bの2チームに分かれて試合経験を積んでいて、Aチームは試合に勝てる力を持ちつつありますが、Bチームはまだまだそのレベルまでに至っていません。ですから、誰がAチームに来ても、どんな強い高校が相手でも戦力になるように個々の能力を上げることが課題です。
Q.このオフシーズンの目標、強化したいことを教えてください
正井:このオフシーズンでは下半身強化に特化して練習したいです。打撃、守備、走塁とどのプレーも下半身が基本になるので重点的に取り組みたいと思います。前田:やはり個々の能力を上げていってほしいです。プレーヤーのみんなはこの冬、とてもしんどくて辛い練習が続きます。学生コーチの自分は心が痛みますが心を鬼にし、いじめていじめてみんなが最高の状態でシーズンを迎えられるようにしたいです。嫌われるのも自分の仕事。嫌われたっていいので、とにかくみんなを少しでも成長させられるようにしたいです。
Q. 応援する方々へアピールしたいセールスポイントは?
正井:常に全力でプレーしている姿を見てほしい。試合が終わる最後の一球まで必死にやり抜いてプレーすることが応援してくれる方たちへの礼儀だと思います。前田:応援していただいている方々に自分を見てほしいというところはありません。ただ、甲子園でプレーしたいという夢を託したチームメイト、自分の全力を注ぎ、身を削って成長させたみんなを見てあげてください。みんな輝いています。みんなが自分の誇りです。
Q.チームの好きなところや、他のチームに負けていないところはどこですか?
正井:一人ひとりの野球に対する思いが強いところが好きです。それがチーム内の競争につながり、チームの成長へとつながっていると思います。本気の仲間づくりをしているところが他のチームにも誇れる部分です。前田:他のチームに負けていないところは野球ができる環境です。施設はいたって普通ですが、周りを見ればチームで一番熱いと言える先生や、すごく協力的でフレンドリーな父母のみなさんがいます。だから、「少しでも恩返しを!」という感謝の気持ちも芽生え、頑張ることができるんだと思います。
Q. このオフシーズン、「自分はここまで成長するぞ!」という熱い意気込みをお願いします!
正井:秋までの弱い自分を超えるまで成長します!前田:オフシーズンは時間との勝負、自分との勝負、チームメイトとの勝負、たくさん勝負しなければいけません。そういう成長の糧に自分がなれたらいいなと思います。「これからも目が離せない!」と感じてもらえるように、このオフシーズンはチームも自分自身も日々、精進していきたいです!
正井選手、前田学生コーチ、ありがとうございました!
できなかったことができるようになった自分を見るためにランニングを行う選手松岡 亨監督にお話を伺いました!
Q. 新チームが始まってから、どのようなテーマをもってチーム作りをされて来たのでしょうか?
今年のチームのテーマは「一戦必勝」。目の前の一球を大切にし、その積み重ねが目の前の勝利につながり、大きくは甲子園につながるということを意識させています。つまり、「この1打席、この1アウトで結果を出す最大の努力をしよう」ということからスタートしました。そのなかでも特に強調しているのは「結果を出すための正しい努力の仕方」「やり抜く力(GRIT)」を育成することです。「何事も普段の取り組みが試合で表れる」と常に選手たちには言っていますし、自己満足の練習になっていないか。目標と照らし合わせて自分の立ち位置を理解しているか。できるまでやろうとしているか。無計画な行動をしていないか。常に自問自答しなさいと指導しています。
Q. 昨秋の大会を振り返り、冬の強化ポイントを教えてください。
秋季地区大会では神戸地区第一代表、秋季県大会では60年ぶりベスト16という成績が残せたことには一定の手応えを感じています。選手たちも、どのように努力をすれば結果が出せるのかある程度イメージできたのではないかと思います。しかし、同時に自分たちの目標である甲子園へ行くために倒さなければいけない相手との力の差も痛感しました。走る、振るといったスピード。スローイングの精度や失投を見逃さないための準備。攻撃のバリエーション。バッテリーの力。外野手の守備範囲など挙げるとたくさん出てきてしまいますが、選手一人ひとりが自覚することができ、どうすれば追いつき追い越せるのか。追い越すためにはどのような練習をすべきなのかを考えることができました。 そして、冬のテーマには「基礎体力の向上」「野球偏差値を上げる」「メンタルの強化」を掲げました。野球にとって大切な振る力、投げる力、走る力等の個人の技術力向上はもちろんですが、戦術、連携、考え方といった頭を使って野球を考える力も冬の間に培っていきたいです。また、普段の生活を見直し、そこから「ぶれない」「芯がある」「勝負強い」自分も作っていきたいと思います。
Q. 厳しい冬の練習に挑んでいる選手たちにメッセージをお願いします!
「頑張ったけど、できなかった」はありません。なぜなら「できるまでやる」からです。できなかったことができるようになった自分を見たくありませんか? あきらめずに野球をやり抜こう!!
松岡監督、そして兵庫工高校野球部の皆様ありがとうございました!
今年も大好評!【冬が僕らを強くする 特設ページ】各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!