もうすぐ最終回!ドラマ『コウノドリ』

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 出産というテーマを題材に、妊婦と産科医、そして周囲の家族との人間模様を描き、多くの感動を呼んだドラマ『コウノドリ』。最終回直前、もう一度聞きたいあの名台詞、名シーンを振り返る。

患者に寄り添うサクラの言葉

 第1話では、綾野剛演じる「鴻鳥サクラ」と、星野源演じる「四宮春樹」の、対照的な個性と患者への思いが言葉として向けられた。

 夫婦ともに耳が不自由な早見マナ(志田未来)は《迷惑をかけたくない》と、出産そのものよりも、周りに迷惑がかかるであろう産後の育児への恐怖心を募らせていた。するとサクラは筆談を交えて、

「《迷惑かけてもいいじゃない!》わかるよ。不安だよね。でも1人じゃない。僕たちはいつでもここにいるから。だから一緒に頑張りましょう」

 患者に寄り添う姿勢を何よりも大事にするのがサクラ。

 一方で、心臓疾患を抱えた赤ちゃんを出産した佐野彩加(高橋メアリージュン)は、退院後の生活に不安を訴える。そんな妻に「大丈夫だよ。オレも手伝うから」と、声をかける夫の康孝(ナオト・インティライミ)だったが、

「何言っているんだ。“手伝う”じゃないだろ。アンタの子どもだよ」

 育児を母親に任せがちな世の中の父親に言い放った四宮。この言葉には、女性たちから「よくぞ言ってくれた」と称賛の声が相次いだとか。

 新生児科部長の今橋貴之(大森南朋)のフォローが光った第2話。

 子宮頸部腺がんを患った久保佐和子(土村芳)は、治療のために出産時期を迷った末、夫の慎吾(福士誠治)とともにサクラがすすめた28週での早産を選ぶ。産後、NICU(新生児集中治療室)に入院する赤ちゃんと初めて対面する夫婦に、今橋は、

「ちょっと早く生まれちゃったけど、赤ちゃんがご家族と生きていくために、この誕生日を選んだんです」

 生まれた日は、それぞれに特別な意味がある。持病を抱える山崎麗子(川栄李奈)が、身体にかかる負担が少ない無痛分娩をすすめられた第3話。

「痛みのない出産は愛情不足になる」という周囲の声に流されて、麗子は出産直前に無痛分娩をやめると言いだす。それでもサクラは、母子ともに最適な出産だと説得した。

「それが赤ちゃんとの新しい生活につながっていくと思います。出産は終わりじゃない。始まりですから」

 麗子の夫・友和(喜矢武豊)も妻の不安を取り除いた。

「痛みがなければ愛情が生まれないって言うなら、俺たち男はどうやって父親になればいいんだよ」

 同じく第3話で、またも康孝が四宮に怒られた。育児と仕事復帰の狭間で悩んでいた彩加は産後うつになり自殺未遂を起こすも、四宮に説得されて踏みとどまる。駆けつけた康孝は彩加に、

「言ってよ。“夫婦は2人で1つ”って、お義母さんも言ってたじゃない」

「なんだそれ。“人間は2人で1つ”になんかなれない。死ぬまで1人だよ。たとえ夫婦でも別々の人間だからこそお互いを尊重し合える。それで初めて助け合えるんだよ」

 四宮節に、またもシュンとする康孝を見かねた今橋が「自分もダメな父親です」と、ナイスフォロー。

「子どもにばかり目が行きがちですけど、お母さんは誰にも“頑張ったね”とほめてもらえない」

胸に響くベテラン助産師の言葉

 第4話では、第1子を帝王切開で出産した秋野蓮(安めぐみ)が、第2子では難しいとされる自然分娩を望んでいた。陣痛の痛みに苦しみながら我慢するも、サクラや家族の説得もあって帝王切開に切り替えて出産する。

「赤ちゃんもこんなに頑張ってくれたお母さんに感謝しています。どう産んだかよりも、どう思って産もうとしたか、その思いは赤ちゃんに伝わっています。美奈ちゃん(長女)にとっても、それに赤ちゃんにとっても、秋野さんは世界一のお母さんです」

 ちょっとスカッとした(?)やりとりも第4話で。NICUに赤ちゃんを残して旅行に出かけていた青木朋子(木下優樹菜)夫婦は、「先生たちいらっしゃるから大丈夫かなって」と悪びれず病院任せ。さすがに新生児科医の白川領(坂口健太郎)が注意。

「ここは託児所じゃありません。僕たちはベビーシッターでもありません。一博くんは早くここを出て自分のお家に帰れるよう頑張っています。ご両親からの愛情を楽しみにして、日々戦っていましたよ。もう家族なんです」

 切迫早産で入院していた西山瑞希(篠原ゆき子)が、32週でお腹の中で赤ちゃんを亡くし、分娩をした悲しい第5話。助産師の小松留美子(吉田羊)は、受け入れられない瑞希に子宮内胎児死亡は戸籍に残せない現実を伝える。

「だからね、抱っこでもいいし、沐浴をしてあげてもいい。搾ったおっぱいをあげてもいいし、写真をいっぱい撮ってあげてもいい。手形や足形をとってもいいし、髪の毛や爪を切って残してあげてもいい。

 あかりちゃんと一緒に過ごせる間に、あかりちゃんのためにしてあげたいと思うこと、もしあったら、うちらは何でも協力するから」

 ベテラン助産師らしい寄り添う言葉だった。

 第6話は、産科医として早くひとり立ちしたい下屋加江(松岡茉優)の挫折と成長が描かれた。

 下屋が仲よくなった同い年の妊婦・神谷カエ(福田麻由子)は、甲状腺の疾患により出産前に亡くなってしまう。自分のせいだと思い落ち込んでいた彼女に、サクラは先輩としての言葉をかけた。

「患者さんを亡くしてしまったこと、乗り越えることはできない。僕の胸にもいろんな後悔が残っている。あのときもっと早く気づいていれば、もっと早く勇気を出していれば救えたんじゃないか。

 その後悔を乗り越えることはできない。忘れることもできない。悔しいこともうれしいこともひとつひとつ、胸の中に積み重ねて僕たちは医者として進んでいくしかない」

 下屋は産科医として成長するため、“全身管理”を勉強すべく救命科に異動する。

 第7話では、子宮腺筋症が発見された小松が、将来、がんになる前に子宮全摘手術をすすめられる。母親になる道を閉ざすか葛藤する小松は、慣れない救命科でしごかれている下屋と、シングルマザーとして苦闘する倉崎恵美(松本若菜)の相談に乗った。

「そうしたら、もう少し自分を認めてあげましょうか。1日の終わりに“よく頑張りました”って自分に声をかけてあげてください」

 日々を頑張る女性みんなが励まされた言葉だ。

 最後に、第8話でのサクラの名シーンを。仮死状態で生まれて治療を受ける赤ちゃんの母・風間真帆(芦名星)が、健康で元気に出産できなかった自分を責めていた。

「今度、赤ちゃんに会うときはこう声をかけてあげてください。“すごいね、頑張ってるね”。つながれているたくさんの管は赤ちゃんが今、一生懸命、頑張っている証です。お母さんが引け目に思うことは何ひとつないし、むしろ頑張り屋さんの赤ちゃんを、誇りに思ってください」

 いよいよ最終回が間近に迫ってきた『コウノドリ』。最後にどんな「奇跡のことば」を運んでくれるのだろうか。