【MLB】エンゼルス、大谷獲得に沸くも…今後の「難題」を指摘する米メディアも
大争奪戦を制して大谷獲得も…「骨の折れる仕事は始まったばかり」
日本ハムからポスティングシステム(入札制度)でのメジャー挑戦を目指していた大谷翔平投手が、エンゼルスへの入団を決めた。メディアが選定する若手有望株のランキングでは、早くも投手部門で1位に登場。米国では大きな盛り上がりを見せているが、一方でエンゼルスにはこの先に「難題」も待ち構えていると、米メディアが指摘してる。
ESPNは「エンゼルスに難題:ショウヘイ・オオタニの今後の流れ」と題した特集記事を掲載。その中で「獲得競争を持ちこたえたことで、エンゼルスは満足を得ることができるだろう。しかしいくつかの点において、この骨の折れる仕事は始まったばかりだ。以下はオオタニと彼の新球団が乗り越えなければならない障害である」として、項目別に大谷獲得後の懸念点を記している。
投打両面で圧倒的な能力を見せつけてきたことから、米国内でも「日本のベーブ・ルース」と呼ばれている大谷。ただ、その期待値は異常なまでに高まっており、注目度も抜群。日米のメディアが殺到することも予想される。
記事では「期待をコントロールする」という項目で、イチロー獲得時にマリナーズのGMだったパット・ギリック氏の「我々は彼を成功させるために、あらゆる手を尽くしたかった。日本からやってきて、彼は適応できるのだろうかという疑念があった。日本の球場はより小さく、そしてレベルも異なっていた。人々はレベルの高いトリプルAだと考えていた」というコメントを紹介。「彼は開拓者のようだった」として、結果的にイチローが重圧をもろともせずに圧倒的な成績を収めたことを回顧している。
「オオタニは異なった道を開拓しようとしている。彼は並外れた注目を浴びるだろう。彼が素晴らしい二刀流の能力を有しているためである」
大谷は日本時代から注目を浴びることには慣れているはずだが、エンゼルスがある程度のコントロールをすることは当然、必要となる。その点では、2010年に松井秀喜氏が所属していたことは、球団としてもプラス材料になるかもしれない。松井氏は2009年にワールドシリーズMVPに輝き、ヤンキースを契約満了となってエンゼルスと契約。その時もアナハイムには多くのメディアが集まっていた。
クラブハウスで同僚から反感を買う可能性も…
記事では、この次に「メディア襲来」という項目を設け、マリナーズでイチロー、アスレチックスで松井氏の監督だったボブ・メルビン氏(現アスレチックス監督)の「一群がひとりの選手を取材するんだ。辛抱強く、すべての質問に答え、そしてすべての質問がこのひとりの選手に関することであると理解しなければならない。彼らは毎試合、何かを書かなければいけないんだ。4打数0安打で何も起こらなくとも、彼らには書くべきネタがある」というコメントも掲載。だからこそ、球団として、これに慣れていることは大きい。
ただ、イチローや松井氏、ダルビッシュ有投手、田中将大投手といった日本出身の注目選手とチームメートになったことのないプレーヤーはどうか。メジャーでは、メディアがクラブハウスに入ることができる。試合後などに、活躍した選手がロッカーの前で取材対応をすれば、メディアの大きな輪ができて、隣の選手は取材が終わるまでロッカーを使えないことも。これが毎日続き、しかも大谷が活躍できていなければ、チームメートから反感を買う可能性もあると、記者は指摘している。
「クラブハウスにおける親和性への影響」という項目では、日本で長年野球記者を務めるジョン・E・ギブソン氏が同メディアの取材に対してメールで回答しており、「オオタニの隣のロッカーの選手は、もしオオタニがチームに貢献することを何もせず、リポーターやテレビカメラの一団が道を開けるのを毎日20〜30分待たなければいけないとしたら、徐々に反感や軽蔑の念が生まれるだろうね」としている。一方で、同記者は「彼は決意の固い男だと、私は思う。彼は競争を恐れない。失敗もね。彼は少し異なった道を行くように思える」とも指摘。強い意志で海を渡る大谷が正当な競争の中で力を見せつけ、存在感を示していけば、問題はない。
この他、記事では「文化への適応」「トレーニング、メディカルスタッフの必要性」「臨機応変になることが必要」「新しいものすべてに対応する」といった、これまでの日本人選手が乗り越えてきた「難題」も挙げられている。現地時間9日午後3時(日本時間10日午前8時)に本拠地エンゼル・スタジアムで行われる入団会見から早速、日米メディアが殺到することは確実。大谷が「障害」を跳ね返し、“伝説“となることに期待が高まっている。(Full-Count編集部)