「ずば抜けて人脈が広い人」は何が違うのか
信頼は長い年月をかけて育んでいくものです(写真 : A_Team / PIXTA)
こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。人脈が大切――、耳にタコができるくらい聞く言葉かと思います。
どんな仕事にも取引先があり、評価するのは人ですから、特に社会人にとっては、職業生活のすべてを左右してしまうくらい重要なもの。加えて、さまざまな人との交流は、仕事の幅や機会を増やすことはもとより、新しい考え方やモノの見方との出会いでもあります。おカネで買うことは難しい貴重な人脈をたくさん持っている人は何が違うのかをお伝えしたいと思います。
人脈づくりと聞いて真っ先に、異(同)業種交流会などを思い浮かべる方もいるかと思います。このような集まりがよくないわけではありませんが、名刺交換をしただけで人脈づくりをしていると思ったら大きな間違いです。それでは、単なる名刺コレクターになってしまいます。それに、すべての人と今後付き合っていくことは物理的にも不可能です。顔の広さも大切ですが、人脈の広さは、人数の多さではなく、質がものを言います。質とは、信頼です。信頼は長い年月をかけて育んでいくものなので、昨日今日の浅い付き合いの間柄では生まれません。
第三者の情報や評価のほうが影響は大きい
まずは、当たり前のことですが、今ある身近な人間関係を大切にするということです。身近であるということは、お互いのこともよく知っているということ。そのうえで、得られる信頼は、より強いものになります。
人は、承認によって自己肯定感を高め、承認し合える相手との関係性を構築していきます。承認には、“直接承認”と言われる「私はあなたを評価している」という直接的な表現と、「○○部長が、君のことを評価していたよ」という第三者を介す“間接承認”があります。
人との関係構築に、直接承認を使うことが多いかと思いますが、実は、直接承認よりも効果的なのは、間接承認なのです。承認してくれている相手が、その人だけでなく、ほかにもいることで影響力は強くなります。さらに、悪口は広まりやすいですが、称賛は拡散しにくい傾向がありますので、それをあえて伝えてくれることで、希少価値が増します。この原理で、自分のよさを、自分で売り込むよりも、第三者に売り込んでもらったほうが、はるかに影響力が強いのをおわかりいただけるかと思います。よって、そう思ってもらえるだけの関係性を普段から構築していくことが大切になります。
新たに出会う人とも、浅く広くではなく、自分が心惹かれる、信頼を構築したいと思えるような「この人は」と思う人と、深くつながることが大切です。単に肩書や有名人を選ぶ必要はありません。きっとたくさんの人脈につながるだろうという安易な思いだと、かえって表面的な付き合いになりがちです。
百聞は一見に如かず、直接会って話す
SNSが主流になってきても、しょせん現実とは違います。実際に会った後や、もともと交流のある人とSNSでつながるのは、有益かと思いますが、単にSNS上だけのつながりでは、人脈とは言えません。
仕事を頼みたいのは、「知っている人」ではなく、「会ったことがあり、なおかつ信頼のおける人」だからです。経営者の皆様からよく耳にすることがあります。
「大事な案件ほど、ネットで探して仕事を頼もうとは思わない」「部下に、仕事を依頼できる人を探すように命じたら、ネットで調べ始めてダメだと思った」
ある程度の情報を得たり、全体像を把握する程度のことなら、ネット情報でも事足りるかもしれませんが、実際には、「人となり」がわかる人にしか仕事は依頼しないというのが現実です。そこで、実際に会う機会をつくることが必要になります。
それを実現するためには、仕事関連に限らず、イベントや会合など、声が掛かったら、まず出かけてみることをお勧めします。一度参加すると、誘った側も再度誘いやすくなります。さらに、そこに参加していた人からほかの集まりに誘われるという連鎖反応を生みます。百聞は一見に如かず、まずは直接会って言葉を交わす、という機会をつくりましょう。
“単純接触効果“と言われ、何度も会っていると親近感がわくという法則があります。CMでも、何度も何度も目にしているうちに、その商品に興味を持つようになったり、それほど可愛くないなと思っていた新人アイドルを何度もいろんな媒体で目にしているうちに可愛く思えてくるというような現象です。
時間にも限りがあるので、イベントなどに最初から最後までいる必要はありません。数多く、顔を出すことのほうが効果的です。そのほうがインパクトを与えやすくなります。もし、また会いたいと思えば、その場で、個人的に会う約束を取り付ければよいわけです。パーティなどの場で盛り上がるよりも、そのあと、個人的に話をすることで一気に話が進むことはよくあります。
自分の言動にも意識を向ける
総じて、ずば抜けて人脈が広い人の特徴は、以下の2つを兼ね備えています。
1. 即レス、即実行
メールなどの返信も迅速で、「いつか」や「機会があれば」という言葉でなく、具体的な日程を提示し、具体的な行動にすぐ移ります。即判断することを習慣にすることで、自分自身の取捨選択の精度も増していきます。また、連絡やメールは迅速であればあるほど、簡単なもので済みます。時間を空けてしまうと、相手を待たせた分、丁寧な対応や、情報が求められるので、自分自身の仕事を増やしてしまうことにつながります。
2. 適度な距離感(人当たりがよく、礼儀正しい)
信頼のおける対等な関係性を保つには、一定の距離感が必要です。ちょっと関係が深まったからといってフレンドリーになるのは、禁物です。人間関係の距離感は、依存度の高さに関係します。人間関係は、依存関係でもあるので、これ自体が問題ではありませんが、依存度が高いと攻撃性が強まる傾向があるので、家族でもないのに近づきすぎると、トラブルを招きやすくなります。
新しい出会いは、新しい考え方を取り込むことで、視野を広げるまたとないチャンスです。今まではあきらめるしかなかったようなことでも、新たな出会いから学んだ行動により、状況を改善し、夢を実現できる可能性も出てきます。
そのためにも、自分の殻に閉じこもるだけでなく、どんどん人脈を広げて新たな考え方に出会うことが大切なのです。そして、出会った後は、数でなく質を大切にしてください。
大物だから人脈ができるのではなく、人脈があるから大成できるのです。情報は人が運んできます。多くのビジネスチャンスを手に入れるには、生きた人脈がものを言います。また、仕事だけにとどまらず、豊かな人脈は、あなたの人生そのものを豊かにしてくれると思います。皆様の有意義な人脈づくりの一助になりますように。