初回からタブーに踏み込んだ「響け!ユーフォニアム2」
熱血吹奏楽アニメ「響け!ユーフォニアム2」がスタート。
見逃した人はニコニコ動画とAbemaTVの見逃し放送で見られます。
府大会も優勝したし、明るいスタートかなーと思ったら、しょっぱなから部活動内のパンドラの箱を開いて、みんながイヤーな顔になる展開。
これでこそ「ユーフォ」。いいぞー、どんどんぶちまけて。
1年生の黄前久美子たちの学校、北宇治高校吹奏楽部が京都府大会で優勝したところからスタート。
学校に帰ってきてからは、休日でも個人練習をしようとするくらい熱心。一期1話のエンジョイ傾向の部活動を思い出すと、ウソのよう。
と、ここまでは明るい前向きムード。
さあ練習だと動き始めたところに、退部した2年生のフルート奏者傘木希美がやってくる。
部に戻りたいと言う。
上級生は一気に空気が険悪に。
3年生の副部長田中あすかは頑として彼女を受け入れない。
不安を抱えたまま1年生はそれぞれ、花火大会へ。
久美子と、友人の高坂麗奈は、2人で花火を見ながら部でのモヤモヤを話し合う。
自分たちのこれからを考える。手をつなぐ。
過去に青春の一瞬を失った痛み(先輩部員たち)と、今青春が輝いてワクワクしている感情(1年生)が、入り交じる。
今の2年生は、1年生の時に「同学年の半分くらいが一斉に抜けた」というめちゃくちゃな事件を起こしている。
タブー扱いされ、皆が忘れようとしていた出来事だ。
特に影響が出ているのは、オーボエ奏者の2年生鎧塚みぞれ。
普段クールで表情を変えない彼女も、希美のことを聞くと急に顔を曇らせ、吐き気まで催す。
「辞めるってことは逃げることだと思う。それが嫌な先輩からか、同級生からか、それとも自分からかはわからないけれど、とにかく逃げたの。私だったら絶対逃げない。嫌ならねじ伏せればいい」
麗奈の発言。
希美の選択への断罪ではない。彼女自身の信念を述べているだけだ。
花火大会で2人が語るシーン。
うまい具合に1話の「金賞の喜び」「気の引き締め」「2年生の事件のモヤモヤ」という忙しい流れを総括している。
群像劇形式を取りながら、その中心で影響を受けて育つ久美子と麗奈の物語を描こうという姿勢。
「十五少年漂流記」スタイルだ。
2期は特に2年生中心の話が多い(原作通りなら)。
語り部にあたる久美子が部のタブーをどう咀嚼するかが、一番の見どころになっていくはず。
1話を一時間スペシャルにして一気に話を進めたのは、どうしても花火大会まで持って行きたかったからだろう。
そこまでいけば、黄前久美子は「性格悪い」(by高坂麗奈)という言葉の意味を確認できる、3ステップがそろうからだ。
部内では基本、真面目でいい子。
緑輝や葉月などの一年生の友達には少々気を許すが、それでもまだおとなしい。
このあたりは部での練習風景と、登下校、コンビニ買い食いシーンで比較できる。
これが麗奈相手になると、一気に口調が砕ける。
久美子は麗奈の隙をちょいちょい突く。
顧問の滝先生が好きな麗奈を茶化す。花火大会に誘ってくれた時に「もしかして麗奈照れてる?」と言ってニヤニヤする。
麗奈にだけは、ずばずばツッコミを入れる。そして自分の悩みは、真っ先に打ち明ける。
家族と、幼馴染の同級生・塚本秀一相手になると、ただのわがままっ子にチェンジ。テンションがものすごく低くなる。
母親に「おかえり、コンクール金賞おめでとう!」といわれて返事は「ん」。
注意されるとふてくされて「はいはい」。
反抗期だー。
中学時代。麗奈がコンテストで次の大会に行けず号泣していたところ、ぽろっと久美子が失言。「本気で全国行けると思ってたの?」
本人には悪気がない。
原作者は「受け身で何を考えているかわからない人間なので、書きづらかった」とインタビューで答えている(「響け!ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌」より)。
久美子の自覚のない腹黒さと、ひねくれた無邪気さ。なかなか食えない子だ。
麗奈は自分の感情をぶつけても揺れない彼女のタフさをわかっているから、一緒にいて気が楽なのだろう。
部長の小笠原晴香先輩。
トラブル続きの部を支えていた彼女の負担は尋常じゃない。現2年生が大量に辞めていった中で、荷を負ったのは彼女。一期でも、滝先生への不満をあげはじめた部員をまとめるため、10話では必死だった。
今回コンクールに出ていないサブメンバー「チームもなか」が大会終了後に、一生懸命練習した「学園天国」を、自分たちのために演奏してくれた。
みんながものすごくうまくなっているのを聞いて、耐えきれず泣いてしまう。
いい光景だ。
ところがその場面、ギャグとして処理されている。
感極まっちゃってるのは彼女だけ。
かなり俯瞰して捉えられている。
普段から一歩引いた位置から見ている副部長のあすかは、部に及ぼす影響だけを考えて、掛け声をかけてあっさり締めた。
久美子はあすかを、苦笑しながら見ている。
彼女はあすかが明るくしている時、だいたい本心じゃないのをうっすら悟っている部分があるのも含め、ちょっと意味深。
加えて副顧問の松本先生。軍曹とも呼ばれるおっかない先生。チームもなかの指導をしていた。
彼女は演奏を聞いてテンションが上がり、思わず腕を振り上げて部員と叫んだ後、ばつが悪そうな顔をしている。
個々にスポットを当てつつも、できるだけフラットに、一人の感情に流されすぎないよう描いている。
他にもパーカッションの橋本先生がやってきた時、部員それぞれがバラバラなことを考えているのが見えて面白い。久美子の幼馴染・秀一の視線は、ぜひ見て欲しい。
1話も演奏シーンの音へのこだわり半端じゃないので「(チューバのバルブの音がすごい丁寧!)」今後音楽面はかなり楽しみ。1話のアバンを見た限り3巻ラスト(原作の最後)までやるみたいだけど果たして……?
今夜放映の2話は、早速水着回。
麗奈は、大きいです。
(たまごまご)
見逃した人はニコニコ動画とAbemaTVの見逃し放送で見られます。
府大会も優勝したし、明るいスタートかなーと思ったら、しょっぱなから部活動内のパンドラの箱を開いて、みんながイヤーな顔になる展開。
これでこそ「ユーフォ」。いいぞー、どんどんぶちまけて。
第一話はこんな話
1年生の黄前久美子たちの学校、北宇治高校吹奏楽部が京都府大会で優勝したところからスタート。
学校に帰ってきてからは、休日でも個人練習をしようとするくらい熱心。一期1話のエンジョイ傾向の部活動を思い出すと、ウソのよう。
と、ここまでは明るい前向きムード。
部に戻りたいと言う。
上級生は一気に空気が険悪に。
3年生の副部長田中あすかは頑として彼女を受け入れない。
不安を抱えたまま1年生はそれぞれ、花火大会へ。
久美子と、友人の高坂麗奈は、2人で花火を見ながら部でのモヤモヤを話し合う。
自分たちのこれからを考える。手をつなぐ。
過去に青春の一瞬を失った痛み(先輩部員たち)と、今青春が輝いてワクワクしている感情(1年生)が、入り交じる。
辞めるってことは逃げること
今の2年生は、1年生の時に「同学年の半分くらいが一斉に抜けた」というめちゃくちゃな事件を起こしている。
タブー扱いされ、皆が忘れようとしていた出来事だ。
特に影響が出ているのは、オーボエ奏者の2年生鎧塚みぞれ。
普段クールで表情を変えない彼女も、希美のことを聞くと急に顔を曇らせ、吐き気まで催す。
「辞めるってことは逃げることだと思う。それが嫌な先輩からか、同級生からか、それとも自分からかはわからないけれど、とにかく逃げたの。私だったら絶対逃げない。嫌ならねじ伏せればいい」
麗奈の発言。
希美の選択への断罪ではない。彼女自身の信念を述べているだけだ。
花火大会で2人が語るシーン。
うまい具合に1話の「金賞の喜び」「気の引き締め」「2年生の事件のモヤモヤ」という忙しい流れを総括している。
群像劇形式を取りながら、その中心で影響を受けて育つ久美子と麗奈の物語を描こうという姿勢。
「十五少年漂流記」スタイルだ。
2期は特に2年生中心の話が多い(原作通りなら)。
語り部にあたる久美子が部のタブーをどう咀嚼するかが、一番の見どころになっていくはず。
性格が悪いヒロイン・黄前久美子
1話を一時間スペシャルにして一気に話を進めたのは、どうしても花火大会まで持って行きたかったからだろう。
そこまでいけば、黄前久美子は「性格悪い」(by高坂麗奈)という言葉の意味を確認できる、3ステップがそろうからだ。
部内では基本、真面目でいい子。
緑輝や葉月などの一年生の友達には少々気を許すが、それでもまだおとなしい。
このあたりは部での練習風景と、登下校、コンビニ買い食いシーンで比較できる。
これが麗奈相手になると、一気に口調が砕ける。
久美子は麗奈の隙をちょいちょい突く。
顧問の滝先生が好きな麗奈を茶化す。花火大会に誘ってくれた時に「もしかして麗奈照れてる?」と言ってニヤニヤする。
麗奈にだけは、ずばずばツッコミを入れる。そして自分の悩みは、真っ先に打ち明ける。
家族と、幼馴染の同級生・塚本秀一相手になると、ただのわがままっ子にチェンジ。テンションがものすごく低くなる。
母親に「おかえり、コンクール金賞おめでとう!」といわれて返事は「ん」。
注意されるとふてくされて「はいはい」。
反抗期だー。
中学時代。麗奈がコンテストで次の大会に行けず号泣していたところ、ぽろっと久美子が失言。「本気で全国行けると思ってたの?」
本人には悪気がない。
原作者は「受け身で何を考えているかわからない人間なので、書きづらかった」とインタビューで答えている(「響け!ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌」より)。
久美子の自覚のない腹黒さと、ひねくれた無邪気さ。なかなか食えない子だ。
麗奈は自分の感情をぶつけても揺れない彼女のタフさをわかっているから、一緒にいて気が楽なのだろう。
泣いた部長、泣かない部員
部長の小笠原晴香先輩。
トラブル続きの部を支えていた彼女の負担は尋常じゃない。現2年生が大量に辞めていった中で、荷を負ったのは彼女。一期でも、滝先生への不満をあげはじめた部員をまとめるため、10話では必死だった。
今回コンクールに出ていないサブメンバー「チームもなか」が大会終了後に、一生懸命練習した「学園天国」を、自分たちのために演奏してくれた。
みんながものすごくうまくなっているのを聞いて、耐えきれず泣いてしまう。
いい光景だ。
ところがその場面、ギャグとして処理されている。
感極まっちゃってるのは彼女だけ。
かなり俯瞰して捉えられている。
普段から一歩引いた位置から見ている副部長のあすかは、部に及ぼす影響だけを考えて、掛け声をかけてあっさり締めた。
久美子はあすかを、苦笑しながら見ている。
彼女はあすかが明るくしている時、だいたい本心じゃないのをうっすら悟っている部分があるのも含め、ちょっと意味深。
加えて副顧問の松本先生。軍曹とも呼ばれるおっかない先生。チームもなかの指導をしていた。
彼女は演奏を聞いてテンションが上がり、思わず腕を振り上げて部員と叫んだ後、ばつが悪そうな顔をしている。
個々にスポットを当てつつも、できるだけフラットに、一人の感情に流されすぎないよう描いている。
他にもパーカッションの橋本先生がやってきた時、部員それぞれがバラバラなことを考えているのが見えて面白い。久美子の幼馴染・秀一の視線は、ぜひ見て欲しい。
1話も演奏シーンの音へのこだわり半端じゃないので「(チューバのバルブの音がすごい丁寧!)」今後音楽面はかなり楽しみ。1話のアバンを見た限り3巻ラスト(原作の最後)までやるみたいだけど果たして……?
今夜放映の2話は、早速水着回。
麗奈は、大きいです。
(たまごまご)