1960年代に活躍し、音楽シーンに多大なる影響をあたえたロックバンド「ザ・ビートルズ」。彼らが初めて日本のファンの前に姿を見せたのは、今から50年前の6月29日。世界最高の人気グループの来日とあって、当時の様子は今でも伝説的に語られています。今回はそんなビートルズの来日秘話をご紹介。5日間の滞在期間、ステージ以外で彼ら4人はいったい何をしていたのでしょうか。


※写真は1964年2月7日、ニューヨークのケネディ空港に降り立つビートルズ



今から50年前の1966年6月29日。
イギリスから日本に、スーパースターがやってきました。
警官3万人を動員した超厳戒態勢の中、羽田空港に到着したザ・ビートルズという4人の青年たち。
彼らは日本中を熱狂の渦へと巻きこみます。

ビートルズの来日で思い浮かぶのは、飛行機のタラップから降りてくる法被（ハッピ）姿の4人の映像ではないでしょうか。
あの到着は実は夜明け前で、厳戒態勢だったためファンの姿はほとんどありませんでした。
ビートルズ一行は国賓扱いで、入国審査や手荷物検査などを受けることなく、タラップ近くのクルマに乗り込み、パトカーの先導ですぐ東京永田町のホテルへ向かったのです。

あの印象的な法被は、JALが特別に考えた日本流のおもてなしでした。
飛行機の中でスタッフが勧めたところジョン・レノンが気に入り、ほかの3人にも「これを着て飛行機を降りよう」と提案してくれたそう。

ホテルの中でも着物を着流し、そこに書いてある漢字に興味津々。
「寿（ことぶき）」という紋をポールが「これはどんな意味？」と聞き、「ハッピー」という意味だと言うととても喜んでいたそうです。
「今、日本で流行っているのは？」という質問に、マンガ「おそ松くん」の「シェー!!」だと答えれば、着物を着たまま、みんなでシェー!!のポーズを練習。
ビートルズのシェー!!姿の写真は、とても有名ですよね。

外出が許されなかった彼らは、5日間のほとんどの時間をホテルの中で過ごしました。
そこで夢中になっていたのは、絵を描くこと。
大きな和紙の四隅からそれぞれのメンバーが墨や絵の具で描き始め、空き時間を使って完成させていく……。
ビートルズの広報担当者、トニー・バーロウは、ジョンがここまで何かに集中したのを見たのは、後にも先にもこれだけだったと語っています。

自由にならないたった5日間の滞在。
それでも4人は日本の最大限のおもてなしを楽しんで帰っていきました。
たくさんのお土産と、日本の流行も仕入れて……。

スーパースターでありながら、普通の青年でもあったビートルズ。
初めての来日は、彼らの人生にどんなふうに刻まれたのでしょうか。

文／岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「ビートルズ、舞台裏の素顔」として、6月30日に放送しました。

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＜番組概要＞
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