「歯ぎしり」といえば、イビキ、寝言と肩を並べるくらい、となりで寝ている人にとっては迷惑なもの。「ギシギシ」「ギリギリ」といったアノ音は、県の迷惑防止条例に抵触してもいいんじゃないか? と思うほどに不快だ。しかも本人には自覚がない場合が多い・・・。やれやれ困ったものである。

 そんな中、岡山大大学院の医歯薬学総合研究科が、画期的な装置を開発したという。その名も歯ぎしりセンサー「バイトストリップ」だ。

 顎口腔機能制御学の水口一助手が、米国南カリフォルニア大やイスラエルの医療機器メーカーと共同開発したのは小指大の小型センサー。「物を噛む筋肉の活動量を計ることで、歯ぎしりの回数を計測する」(水口氏)のだとか。人は頬の筋肉を動かす(=歯ぎしりする)とき、体内に微弱な電圧を生じさせる。その電圧を感知するICチップをセンサーに組み込むことで、この測定が可能になったそうだ。

 センサーは6時間の測定を行う。その6時間で、歯ぎしりの頻度を、●無し(40回未満)●小(40〜74回)●中(75〜124回)●大(125回以上)の4段階に分類するのだが、聞けば、医学会でもまだ「一晩で何回以上の歯ぎしりをするのが危険!」といったデータはないそうだ。このセンサーにより客観的データを計ることで、歯学の進歩が見られるかも知れない。

 あごの関節症や肩こり、歯槽膿漏(しそうのうろう)を悪くする原因になるなど、周囲のみならず、本人にとっても歯ぎしりは注意するべき。今回、インターネット経由での「バイトストリップ」の商品化、販売も検討されているという。定価は3800円程度の予定だ。これを機に、アナタと隣で寝ている人の歯ぎしり回数を計ってみてはいかがだろうか。客観的データを知ることで、当人も歯医者に行く気が湧いてくれるかもしれない。(文/verb)