富島vs日向学院
サヨナラ打を放つ9番・�眄ァ壁拇隋�
今大会は、今春選抜大会に出場した日南学園が不在のため、第1シードに座った富島。追われる立場であったが、あくまで「挑戦者」の気持ちを持ち続け、順当に駒を進めた。
一方、ノーシードから旋風を起こし、勢いそのままに頂点まで達するか？OBからも期待がかかる日向学院。初顔合わせの決勝戦は初回、富島が犠飛で先制する。さらに富島は、5回に9番�眄イ�放った左前安打の打球処理を、左翼手がもたつく間に2点目をあげると、同回二死から、内野安打間に3点目をあげた。
早いうちに追いつきたい日向学院は6回、9番曽我の中前適時打で1点を返す。しかし、富島は8回に内野ゴロ間に1点をもぎ取り、富島4対1日向学院。
そして、最終回。7回からマウンドにあがった富島のエース吉田が、ここにきて四球を連発！9回表二死満塁、1ボール2ストライク。富島はピンチだが、まだ3点差あり、ピッチャー・吉田有利のカウント。吉田が奪三振で優勝を決めるか？と思われたが、日向学院4番松元が変化球に対応して、レフト線際にしぶとく打球を運んだ。左翼手が打球を追う間に、日向学院の三走・曽我、二走・鈴木が生還！一走・梶も勢いよく三塁を回り、ホームを突くスライディング！砂煙が舞い上がるクロスプレーは、セーフの判定。松元の3点適時二「塁打で、日向学院が土壇場にして試合をふりだしに戻した！
ただ、裏の攻撃を残す富島。先頭の6番・日�睥覆�右前安打で出塁すると、一死二、三塁から9番�眄イ�中堅手左へ打球を放った。日向学院の中村が精一杯のダイビングキャッチを試みるも、届かず。9回サヨナラゲームで富島が優勝。九州大会出場を掴んだ。
優勝した富島
昨秋、前回大会で準優勝の富島（宮崎2位代表）は、鹿児島市で開催された九州大会に「初出場」するも、平成27年10月25日、「鹿児島実11対1富島」。5回コールドの初戦敗退だった。
（筆者には懐かしさを感じた野球場での試合だったが）両翼93ｍ、バッターボックスからベンチ・スタンドまでは近く、ファールグラウンドは狭いコンパクトな鴨池市民球場。超満員にぎっしりとつまった観客席は、三塁側に伝統校・鹿児島実の大応援団。バックネット裏から一塁側の富島応援席に至るまで、伝統校を応援する鹿児島の多くの高校野球ファン。外野芝生席には他出場チームの選手・引率者らが入った。まだ夏のような暑さが残り、高校野球熱を存分に感じるなかでの試合だった。
それらは、普段、宮崎で、大きな野球場を使って試合をする富島ナインには、経験したこともない環境ばかりだった。加えて、鹿児島実（鹿児島1位）の強さ、基本に忠実なキビキビした動きや礼儀を肌で感じ、九州の大きな壁・強豪校を知ることになった。富島の�霤津亟篤弔蓮◆屐丙鮟�九州大会は）アウェーを感じるなかで、しかも相手は鹿児島実。完全にのまれてしまった。それも私の責任だった。」と、振りかえった。
それから一冬を越えた富島ナインは、その時の悔しさを大きな力に変えていた。「（疋田主将）グラウンドのスコアボードに『鹿児島実11対1富島』のスコアを貼りつけている。」「（吉田投手）鹿児島実の開会式の行進はすごかった。深くて綺麗にそろった鹿児島実の礼を見習い、チームに取り入れている。」「（木村捕手）鹿児島実のベンチからの声の大きさにびっくりした。鹿児島実のような強豪校になりたいと思った。真似することから始めている。」
元々、宮崎県内チームの中では1番と言っていいほど、気持ちの良い挨拶と礼節が全選手に浸透していた富島ナインだったが、選手の言葉通り、さらに成長した姿が、今春、随所に伝わってきた。そのような面においても、今大会、紙一重の戦いをものに出来て、頂点になるべくしてなったチームと言えるだろう。
これまでも、�霤津亟篤弔僚�任後、「初」ものづくしである富島ナインの軌跡を綴ってきたが、ついに、九州大会県予選で「初優勝」を飾った！今チームこそは、夏の選手権宮崎大会で「初優勝（＝甲子園初出場）」するためにも、まず、今春、九州の壁をひとつでも多く乗り越えたいところだ。「九州大会初勝利」に期待がかかる！
（写真・文＝三角 竜之）
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