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東京都内で働くKさんは徒歩通勤中、電動アシスト自転車に子どもを乗せて爆走するママたちに悩まされている。保育園に子どもを送ろうとする女性が、電動アシスト自転車が歩道を駆け抜けていくのだ。

朝の忙しい時間ということもあり、ママたちは、かなりのスピードで歩道を走っていく。場所によっては人がすれ違うのがやっとという幅の場所もあるのに、歩行者がいても減速せず突っ込んでくることもある。Kさんも、危うくぶつかりそうになったり、後ろから激しくベルを鳴らされた経験が何度もある。

中には、2人の子どもを乗せて走行しているママや、抱っこ紐で乳幼児を抱っこしたり、おんぶしたりしているママもいる。Kさんは、ぶつかって子どもにケガをさせてしまう事態を心配し、通勤ルートを変えることも考えている。ママたちの運転に問題はないのか、道交法に詳しい池田毅弁護士に聞いた。

●東京では、幼児2人を乗せることは解禁されている

そもそも、自転車に子ども2人を乗せることは問題ないのだろうか。

「自転車の乗車定員については、各都道府県の道路交通規則などによって定められているため、各自治体によってルールは少しずつ異なっています。たとえば、東京都では、幼児2人を自転車に乗せることについて、2009年に解禁されました。

自転車は1人乗りが原則で、本来、2人乗り以上は禁止されています。ただし、安全基準を満たす自転車で、16歳以上が運転する場合には、運転手のほか、前後の幼児用座席に1人ずつ6歳未満の幼児を乗せることが可能です」

抱っこひもを使って、抱っこをしながら運転してもいいのか。

「幼児を運転者の体に密着した状態にして運転することが可能かどうかについても、各都道府県の道路交通規則などに規定されています。

たとえば、東京都では、一般の自転車でも、おんぶ紐などで赤ちゃんをおんぶして自転車に乗ることは認められています(抱っこは禁止です)。

東京都では、このようにおんぶした状態で、さらに、一般の自転車の幼児用座席に幼児を乗せることは認められていますが、禁止している県もあるようです」

●歩道は歩行者優先、歩行者をどかすためにベルを鳴らすことは違法

歩行者をどかすために後ろからベルを鳴らすことはどうだろうか。

「自転車のベルは、自動車のクラクションと同じく、道交法上は『警音器』といいます。これは法律上、一定の場所や、危険を防止するためやむを得ない場合以外は、鳴らしてはいけません。

そもそも、歩道は歩行者優先で、自転車はいつでも止まれる速度で徐行しなければなりません。自分の進路を妨害するからといって、歩行者をどかすためにベルを鳴らすことは違法です」

●子どもがケガをした場合の責任は?

Kさんは自転車と接触して、子どもがケガをするような事態を心配しているようだ。そうした場合に、歩行者が賠償責任を負うようなことは考えられるのだろうか。

「歩行者が自転車の直前に飛び出したなどという場合には、歩行者も賠償責任を負う場合は、理論上あり得ます。

ただし、普通に歩いていて、後ろからきた自転車と接触した場合には、歩行者に責任が生じることは、まず考えられません。

歩いている際に多少左右にぶれることはありえますが、よほど極端にふらついていなければ、そのような場合でも、歩行者が責任を問われることは考えにくいところです」

池田弁護士はこのように述べていた。

※冒頭の「電動自転車」の表記は、正確には「電動アシスト自転車」となるので修正しました(3月2日12時55分)

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
池田 毅(いけだ・たけし)弁護士
現在、(公財)日弁連交通事故相談センタ−本部嘱託や、裁判所の公職などを務める。得意案件は交通事故のほか、相続問題、不動産取引、離婚事件、少年事件など。
事務所名:東京つばさ法律事務所
事務所URL:http://tokyotubasa.com