毎日のチェックがモノを言う!記録をつけることの重要性
殖栗 正登のベースボールトレーニング&リコンディショニングの11月特集特別編!前回はトレーニングの組み立て方と効果的な走り方についてお話をうかがいました。今回は、さらに効果を高めるための秘訣を教えていただきます。それは、記録をつけることの大切さ。
トレーニング、それとコンディショニングにおいて記録をつけるというのは非常に意味のあることです。ここをないがしろにしてはトレーニングの効果もわかりにくいですし、自分の好不調もわからず試合に負ける、あるいはケガをするという悪い結果にもつながります。
先日、大躍進が話題となったラグビー日本代表も起床時にその日の体調を細かくチェックしていました。ハードなトレーニングが話題になりましたが、それに耐えられるような体作りは、数値をチェックすることから始まるという、科学的な裏打ちがされたものなのです。数値を測り、記録するという重要性を四国アイランドリーグplus、徳島インディゴソックスの殖栗 正登トレーナーが教えてくれました。
簡単な数値を記録し自分の状態を知ろう野球ノートに記録しよう!科学的な裏打ち、という話が出ましたが難しいことはありません。簡単に真似できるものがほとんどです。まず朝起きたらチェックしてほしいのは、体調、体重、体脂肪、心拍数、それと睡眠時間。
体脂肪はわかればで大丈夫です。体重と同時に測れる体重計も出ていますので、体重計を買い替えるのであれば候補に入れてみてください。睡眠時間は、一般的には6〜8時間が理想と言われていますが、アスリートとしては10時間欲しいところです。若い球児であればなおさらです。学校や勉強との兼ね合いもあるので難しいとは思いますが、8時間は取れるようにしたいですね。
これらの数値を野球日記をつけているのであれば、そこに記録しておくのが良いでしょう。その場合、トレーニング内容と食事回数も記録してください。食事の理想は朝昼晩と、補食の全部で5回。それぞれの食事内容と、補食としての午前と午後のプロテインはしっかりとれたか、です。
中でも心拍数は体調をみる上で非常にわかりやすい指標になります。ちなみに測り方は、10秒で何回脈があったかを測って6倍する、という方法が簡単です。基本的に寝起きに1分間で60回程度。そこから5〜8回よりも回数が多ければ、一般的に調子としては悪いとみて良い。下も同様です。高い状態が続くようであればしっかりと休めていないなど、疲れが溜まる状態ですので、休息をとったりリフレッシュなどをして体調をよくすることに努めましょう。
[page_break:球速と直結!登板前の投手が確認すべきタイムとは?]球速と直結!登板前の投手が確認すべきタイムとは?ダッシュのタイムはスピードと直結する(イメージ)
では、ここからはランメニューのタイム計測の意義についてお話します。まず、投手にとって30mダッシュのタイムは大事にしたい数字の一つです。登板前日の練習でタイムが出なければ、もうその日はダッシュの途中だろうが何だろうが休んだ方がいい。そして、球速が出ないのだという前提で投球を組み立てるという対策を立てて下さい。どうしてそんなことが言えるのか?もちろん、それには理由があります。
瞬間的に爆発的なパワーを出すための筋肉を速筋といいます。球速を出せるか、バッターであればスイングスピードを出せるかはこの筋肉の状態によります。そしてこの状態を図る指標というのは、実は未だに無いに等しいのです。でもこの30mダッシュのタイムで状態をつかむことが簡単に出来るんです。
速筋の状態がわかるとどうなるかというと、球速が出せるかどうかがわかります。スピードと30mダッシュのパフォーマンスは直結するのです。ダッシュのタイムが普段より遅いということは、速筋に疲労が出ているということ。それを回復させるには、休息をとる必要があります。ダッシュを今の時期から始めることで、普段の自分をシーズンまでに確認しておくことが出来ます。トレーニングメニューとしてはもちろん、バロメーターの一つとしても是非取り入れてください。
投手に限らず、しっかりと目的を持った選手は短距離だろうが中長距離だろうが、走った後に必ずトレーナーやコーチにタイムを確認しています。数値は嘘をつかない指標です。自分の状態やトレーニングの効果を客観的に把握するために必要不可欠と言えます。
何も全てのタイムを記録しないで良い。逆に分かり辛くなるので、ベストのタイムを記録しておけば良いと思います。それか、何本か走るのであれば「ラストを測る」と決めておくのも良いですね。そうすれば、その1本に向けて仕上げていくという練習にもなります。
調子を測るツールとなると同時に、そこが良ければ自信が付くという精神的な裏付けにもなります。悪ければ悪いと気付き、対策を取ることもできます。怖いのは体調や調子が悪いことに気付かずケガをしてしまうことです。
そのタイムを貼り出しておいたりして、みんなが見られる状態にしておくのも良いでしょう。お互い張り合いにもなりますし、アイツ調子がおかしいんじゃないか?ということも気付きやすくなります。このあたりをマネージャーや指導者もしっかり把握してあげることで、チーム力は底上げできるはずです。
[page_break:スイングトレーサーの測定・記録を今後のトレーニングに生かす!]スイングトレーサーの測定・記録を今後のトレーニングに生かす!スイングトレーサーでの測定の様子(徳島インディゴソックス)
徳島インディゴソックスでは、年に2回フィジカルテストを行い、測定と記録とフィードバックを行っています。そこではスイング速度も測定、記録していますが、今年はスイングトレーサーを使い、より細かくスイング測定をしました。スイングトレーサーは以下の8項目を測定できるすぐれものです。
(1)スイング時間(2)へッドスピード(3)インパクトスピード(4)インパクト加速度(5)ローリング(6)回転半径(7)ヘッド角度(8)スイング軌道
NPB選手と比較してその差を確認したり、また自分のスイングの弱点を確認できます。(関連記事:実際に体験したレポート記事)
このように特殊な測定機器を使うことで、より選手に説得力のある指導が行えます。選手もスイング速度が遅いならパワートレーニングを、ヘッド角度が下がりすぎるならばバットを軽く、ローリング、回転半径等はテクニックトレーニングで素振り、T打撃、ロングT打撃、実打と意識して進めていくと良いでしょう。
このようにスイングトレーサー等の測定機器や体力測定で測定、記録、フィードバック、トレーニングを繰り返していくことが、より選手を納得させることができ、限られた時の中で、無駄を省いて成長を促すことが可能となります。
2回に渡り、トレーニングの効果をさらに高める方法をお伝えしてきましたがいかがだったでしょうか?できるところから取り入れ、この冬のトレーニングを有意義なものにしてください。頑張りましょう!
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