15. 未完 「口笛」披露後、サニーが帰り、またステージ上はメンバー4人のみに。桜井さんは「僕たちは完成されないバンドだ。でも常に何かにトライして失敗する、発展途上でありたい。」と語り、そんな想いを歌にしたのがこの曲だ。
常にトライしたいと言う想いの通り、これまでにないような新しい曲調になっている。ロック色が強く、ピアノの主張が強い小林武史サウンドとは一線を画すものだ。

メンバーインタビュー 「未完」終了後、映画ではメンバーのインタビューが入る。田原さんが映画のタイトル「REFLECTION」の由来をこのインタビューで語った。田原さんが話すにはライブ中の写真に映った光の反射が奏でる音と客の想いを可視化したもののように自身が感じたことが由来らしい。
インタビューの最後に田原さんは
「やりたいことは山のありますよ、僕らの場合。憧れはあり続ける」
と力強く語った。普段あんまり喋らず、寡黙な田原さんがここまでミスチルについての想いを熱く語っていたことは珍しく、かなり印象的だ。

16. 独り言 Wアンコール(ちなみにミスチルのライブでWアンコールは異例)に迎えられメンバー4人で演奏した。4人が前に出てファンのより近く歌う形であり、新しいことに挑戦してもミスチルはファンとの距離は近いままなのだと感じる。
また、本来はドラムのJENがタンバリンとハーモニカを担当し、2001年のツアーで「独り言」を披露した時とまったく同じ形での演奏となる。この曲でファンクラブ限定ライブは終了となった。

最後にエンドロールのクレジットを確認すると、小林武史はスペシャルサンクスに留まっており、企画と制作は株式会社エンジン(小林から独立したミスチル所属の会社)、そして「Produced By Mr.Children」と書かれていた。今回の映画も小林武史が関与することなく、メンバーが中心となって制作されたことが分かる。
ところで、ミスチルはこの映画で伝えたかったのだろう。それは「これからも走り続ける、新たなMr.Childrenを見せる」ということではないだろうか。実際にファンクラブ限定ライブで披露された新曲でも"新しいミスチル"を感じる曲が何曲もあった。ここ10年ほどのミスチルは小林武史の影響が大きく曲やライブに表れ、ピアノの主張が強いものが多かった。しかし、今後は小林武史のプロデュースから外れたことで、かつてミスチルが90年代に見せたようなロック色が強く、バンドサウンドが前面に出た曲が増えるのではないだろうか。そもそも本来の桜井さんは「worlds end」や「過去と未来と交信する男」などロックやダークな印象が強い曲を高く自己評価している人物である。
6月にはニューアルバム「REFLECTION」も発売されるミスチル。今後の活躍がますます楽しみだ。
(さのゆう)