ある日、突然サイトが消える!? —ドメイン名の不思議な世界

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ドメイン名とは?
某まとめサイトの一件で「ある日、突然サイトが消える!? そんなことあるわけないじゃん」って思った人もいるかも? しかし、ドメイン名の登録の更新を忘れてしまう(止める)と、本当に該当のサイトにアクセスすることはできなくなる。

ドメイン名が登録されていない」と、物理的なサーバにサイトのデータが存在していても、インターネット上でアクセスできない状態となる。つまり、ユーザーはサイトを見られなくなるのだ。
仕組みを説明しよう。サーバをインターネット上で「○○という名前で公開する」とする、その名前が「ドメイン名」である。誰がどのドメイン(名)をどのIPアドレスで管理・公開するか、その情報がデータベースに登録されることで、初めてサイトはインターネットに存在することになるのだ。

ドメイン登録がなくなってしまうと、サイトは物理的にあってもユーザーからは見られない、幽霊のような状態になるというわけだ。

ドメインを管理するのは?
では、誰がドメインを管理しているのか? 実はドメインを管理する団体がある。ICANN(これは簡単にいうと、インターネット上の資源を管理する国際的な非営利団体)から認定され、各ドメイン情報の管理業務を行っている。これがいわゆる「レジストラ」と呼ばれるものだ。たとえば、お名前.comやムームドメインなどが「レジストラ」に当たる。

ちょっと紛らわしいのが「レジストリ」だ。
「レジストリ」は、ドメイン自体を管理する。ドメインの種類は「.com」、「.net」、「.jp」、「.tv」などがある。いくつか聞いたことがあるだろう。
たとえば「.com」や「.net」は、「gTLD」と言われる共通の(一般)ドメインだ。世界中の誰でも登録でき、ICANNから委託されたVeriSignが「レジストリ」として管理している。

一方「.jp」や「.tv」は、「ccTLD」で国別のドメインだ。
たとえば「.jp」は日本の国別ドメインで、JPRSが管理している。
国別ドメインは、各国が管理するドメインなので国によってその運用は異なる。登録に制限がある場合もある。

「.tv」はツバル国(南太平洋の小さな諸島で構成される国)に割り当てられたccTLDだが、
早い時期から誰でも登録できるccTLDとして知られおり、そのワードの妙もあり日本でも人気が高いドメインの1つ。ちなみにツバル国は、「.tv」の使用権をカリフォルニアのベンチャー企業dotTV社に売却し、その利益を元に189番目の国家として国連加盟を果たしたそうである。

実際は、レジストリもエンドユーザー向けにドメイン登録の販売業務を行ったりする。また、レジストラの下にも代理店としてドメイン登録販売を行う業者がぶら下がっていたり、なかなか構造が見えにくいのが現状だ。業者によってドメイン名の値段が違う背景には、こうした状況がある。競合が多いこともあり、1件あたりの使用料を下げて扱う量を増やすなど、それぞれの業者にいろいろな考え方がある。

また、使用する側もさまざまな立場や考え方でドメイン登録することになる。たとえば、「.jp」は他のgTLDやccTLDに比べて使用料が高く、手続きも多い(使用にあたっての制限があるため)。しかし、「.jp」の信頼性が高いイメージを使いたければ、価格が高くても「.jp」を取得する。また、逆に法人や企業であれば、関係のない第三社に名乗られては困るので、取得可能なgTLDまで含めて取得している場合もあるだろう。

ドメイン名の登録が切れると...
冒頭の話題に戻ろう。では、登録が切れるとどうなるか?
レジストリが管理するデータベースから登録のきれたドメインが削除される。つまり、インターネット上でアクセスできなくなる、表示されなくなる。実際には、しばらく(40日ほど)凍結され、その期間内に更新することで元に戻す(表示すること)ができる。しかし、凍結期間を過ぎると、そのドメイン名は公けに登録可能な状態に切り替わるので、誰でも取ることができるようになる。もちろん、そこで第三者に取得されてしまえば、そのドメインはもう自分では使えなくなる。

業者にもよるが、たいていはそうならないように、事前にリマインダーを通知してくれる。筆者が利用しているサービスでは3ヶ月前から1月に一度、最終月には10日に一度も通知が来る。そして、1日でも過ぎると本当にアクセスできなくなる。

ちなみに、一度ドメイン名の登録者として情報が登録された場合、名義変更やレジストラの変更(移管)はちょっと面倒だ。特に名義変更は、公証人による認証が必要だったりする。たとえば、結婚で姓が変わったので登録情報を修正したい場合でも名義変更になるので注意しよう。


大内孝子