菅野にとって浪人生活がハンデになることは再三指摘されてきた。だが、先の球界関係者はこう明かす。

「菅野はこの1年間、実戦登板ができなかった分、それ以外でやれることは貪欲にやってきた。その1つがメジャーの視察で、現地では東海大のネットワークを駆使して、新たな練習法にも行き着き、脱力投法を覚えたというんです。全ての投球で力投しない分、もともと低めに行っていたコントロールにさらに磨きがかかった。本人は『いつでも150キロ出ますが、150キロ使わないで勝てます』と豪語している」

 伯父・原監督が指揮を執る一軍で、開幕からフル回転という理想的な展開も見えてきた。

「内海、杉内がWBC出場でシーズン開幕に向けての調整が遅れ、澤村のリリーフ構想が実現すれば、オープン戦の結果しだいでは菅野の開幕投手も見えてくる」(美山氏)

 一方、菅野を巡ってチーム内に不協和音が生じる心配も出ているという。

「今、球団から報道陣に菅野が原監督の甥であることを報じないよう非公式にお願いが出されている。他ならぬ監督も、『特別扱いしない』とか『実力主義です』とかあえて口にするのですが、それがかえって過剰に意識しているように見えます。昨オフに巨人は東野や金刃を放出し、澤村にもリリーフ転向が示唆されている。球団内から一部で『菅野のために枠を空けたんじゃないか』との声が噴出しているんです」

 菅野が期待どおりの活躍をすれば、全ては丸く収まるのだろうが‥‥。

 そんな巨人が順調に一昨年、菅野を獲得していれば、昨年のドラフトで指名していたと言われるのが、亜細亜大で通算35勝、東都リーグ記録の22完封を達成し、抜群の実績でソフトバンク入りした東浜巨(22)だ。

「最大の武器は“間”ですね。セットポジションから常に自分の間で投げ、ベースギリギリのコントロールで勝負する落ちる球、抜く球を持っています。3年時には右肘痛に悩まされましたが、すでに不安はないようです」(美山氏)

 その右肘痛も、東浜にはプラスだったようだ。

「無理をせずに投げられるポイントをつかんだようです。『僕は自分の投げ方をわかっている』と話していて、教えたがりの評論家からアドバイスされても聞く耳を持たないですから、壊される心配もありません」(ソフトバンク関係者)

 野村氏も東浜に、BIG4最大の評価を与える。

「大学であれだけ完封を重ね、まず完成度が高い。そしてコントロールがよく、大崩れもしなさそうです。ケガさえしなければ、昨年の広島・野村ぐらいの成績(9勝11敗、防御率1・98)はすでに計算できると思います」

 いずれもメディアから「10年に一人の逸材」と評されるルーキーBIG4。だが、専門家たちの現時点での“真の評価”は「東浜が頭一つリード」のようだ。