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 最初に両チームの置かれた状況を整理する。グループリーグの突破が既に決まっている日本。ホンジュラスに負けた場合は、2位抜けになる。その場合は決勝トーナメントでブラジルと対戦する組み合わせになる。なので、メダルを狙うならば、それは避けたいところである。勝つか引き分けで1位抜けが決まる。

 ホンジュラスはまだグループリーグの突破が決まっていない。突破の確定条件は勝利か引き分けか。ブラジルとやりたくない!を希望する場合は、日本に勝たなくてはいけない。ただし、無理矢理に勝ちに行って敗戦しようものなら、グループリーグの突破が怪しくなるという状況。地味に複雑怪奇である。

 ──日本は大幅にメンバーを交代して、試合に臨みました。このメンバー変更による試合内容への影響はどう感じましたか?

 一番気になったのはボランチでしょうか。山村と山口蛍が駄目だったなんてことをいうつもりはありません。モロッコ戦で見られたようなボランチのポジションの選手がポジショニングを変化させることで、相手のプレスを剥がすことをまったくやりませんでした。

 選手が変われば、サッカーの内容も変化する。これは間違いない事実です。よっぽど訓練されていない限り、誰が出てもたいして変わらないね、という状況にはなりません。クラブチームでも難しいのですから、代表チームでそれをやるのは至難の業だと思います。

 ただし、セットプレーやビルドアップはある程度決まった形で行われます。なので、この部分に関しては、人が入れ替わっても、それなりに似たような形で行われるべきなのではないかと思います。もちろん、そういった型が選手によって変わり、チームが機能するなら問題ありません。でも、前半に限って言えば、日本のビルドアップが上手くいっていた印象はありません。

 ──ホンジュラスがハイプレスをしてきたので、そういうポジショニングの変化をする時間がなかったのかなと見たのですが。

 それもあるかと思います。ハイプレスにたいして、無理矢理にビルドアップで勝負して手に入るメリットとカウンターをくらうデメリットを考えれば、引き分けでOKの日本が必要以上にデメリットが起こるだろうプレーを選択する必要はないですからね。ただ、それは繋げないから蹴るという意味にもなるので、まあちょっと切ないですね。

 気になるのは権田です。止める能力でこの試合でも仕事を遂行したわけですが、やはりビルドアップで関わるのはまだまだ怪しいです。あれでも繋ぐようになったかもしれないですが、彼くらいの年代のキーパーなら繋ぐ能力を標準装備して育成されるべきだったのではないかと感じます。

 ──宇佐美と齋藤学についてはどういう印象でしたか??

 彼らのいい形でボールを届けられない次点で評価をどうこうするのはかわいそうかなと思います。また、ホンジュラスの選手たちはフィジカルに優れ、一対一が攻守の安定していたので、余計にドリブルでどうこうする選手にはきつかっただろうなと思います。

 だったら、次にどうするんだい??という話になるんですけど、その次のアイディアがあまり見られなかったのが残念でした。大津や清武はポジショニングと判断力で勝負できるのですが、宇佐美とエヒメッシはそういう部分で成長しないときついかもしれません。

 ただ、宇佐美はこの試合で結果を出したいという意欲が強かったと思うので、自分の長所で何度も勝負するのは理解できます。ただ、その勝負の効率が悪かったとなれば、本人も納得するしかないのではないかと。

 守備の面ではそこまであからさまにサボることなく、しっかりと帰陣していた印象があります。ただし、一対一で軽くかわされる場面がちょっと多かったかなと。あれでは後方に下がってもその意味が薄れてしまうので、今後の起用は厳しいかなと感じました。

 ──後半は日本がボールを支配して攻撃を仕掛ける場面が増えましたが、その要因はなんでしょうか??

 ホンジュラスはハイプレスから自陣に撤退する場面が増えました。ただし、前線の選手はハイプレスを行う場面もあったので、行き違いがあったのかもしれません。なので、システムが4-4-0-2のようになりました。よって、その0の部分で山村と山口蛍が存在感を増したという後半戦になります。さすがにあれだけスペースがあれば、いろいろできますね。

 で、この流れに拍車をかけたのが清武です。言うまでもないですが。後半は日本のほうがペースを掴んだと思いますが、いわゆる決定機までは届きませんでした。日本は引き分けでもOKだったから、そこまで攻撃にリスクを冒さなかったからだと言えそうですが、試合に出た選手たちは後半に限って言えば、かなり勝ちにいった印象を受けました。ま、セットプレーでは上がりませんでしたが。

 ──結果はスコアレスドローでホンジュラスと仲良く突破を決めたわけですが、この先の予測みたいなものをしてもらいましょうか

 次の相手はエジプトです。ただ、エジプトの印象はまるでないので、なんとも言えません。コンフェデで見た時のボールを保持するのが上手いなーと記憶しているので、そういうチームなんじゃないかなと予想しています。

 日本にとって、幸運なのはボールを持たせることに徹するチームと試合をしていないことです。世界の流れがボールを持とうなので、そういうチームは少なくなっているのかもしれませんが。モロッコ戦とホンジュラス戦を見る限り、ボールを保持したときは怪しいです。それなりに落ち着くかもしれませんが、ボールを持てているわりに、チャンスを作れていない印象です。

 そうなると、カウンターをくらう可能性が高いわけですが、そこをオーバーエイジ組みと権田でどこまで食い止められるかでしょうね。ただ、そういう展開になるよりは、しっかり守ってさあどうするという展開になりそうです。そうなると、ここまでの成功体験からの火事場のバカ力が発揮されそうな日本のほうが有利かなと思います。

 ■独り言

 前線の守備隊を休ませられたので、日本はコンディションで相手を上をいけるかもしれない。ただし、後方の守備隊はほぼ休んでないので、やはり彼らがどれだけ頑張れるかがカギを握ってきそうである。