柔術世界王者ルーカス・レプリと日沖発。「良い時間を過ごせた」という日沖だが、少し悔しさが顔ににじみ出ている??

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水垣偉弥、日沖発、漆谷康宏、久米鷹介、伊藤健一=チーム・カルバーシティ(仮称)の5人は柔術アリアンシの総本山で、20日午後6時半のトレーニングのクラスに参加した。。

この日はベラトールFC、青木真也×エディ・アルバレス戦をホテルでTV観戦するために、1時間少し汗を流すにとどまったが、日沖発は2007年ムンジアル黒帯レーヴィ級王者ルーカス・レプリとスパーリングを行い、世界の神髄を肌で知った。

ディープハーフガードからスイープのテクニックに四苦八苦する日本からの出稽古チームのなかで、流れるように動く日沖。時間がなかった状況で、柔術でも黒帯の彼の相手に、ホメロ・ジャカレ・カバウカンチはスパーの相手にルーカス・レプリを指名。

オモプラッタから肩を極められたのを皮切りに、もう一つの世界のトップを肌で知った。出稽古紀行8分間のスパーで、良いところを徹底して潰された日沖、普段から道着有りを嗜む彼にアリアンシでのトレーニング、柔術とMMAに関して尋ねた。

――ルーカス・レプリとのスパーリングが実現しました。

「強かったです……。ヒザ立ちで始まり、向こうが引き込まなかったので、こちらから引き込んで崩しにいったのですが、バランスが良くて、崩れなかったですね。仕掛けを必ず潰してくる感じでした。力も強かったし、攻めのタイミングもよく、上手さと強さを加えて、頭をアゴで潰してきたり、妥協しない部分も凄かったです」

――日本では道着で練習をしていて、極められるということはありますか。

「極められることはないですけど、道着でトップクラスとやっていないですし、競技柔術で勝つ練習は力をいれていないので」

――日沖選手にとって、道着の練習というのは、どのような位置づけにあるのですか?

「別モノといえば別モノです。でも、今日のようにその道のトップの人と練習できることは凄く良い経験になります。細かい技術のディティールは、柔術の技術はやはりMMAファイターとは比較にならないです。

キャリアの浅い選手なら、知らずに勢いでいけるほうが良いという面もありますが、長い目で見ると柔術を知ることは必要だと思います。あと、ジャカレさんが体を使って指導をしているのに驚きました。口を出すだけになっても致しかたない年齢なのに、ビックリしました。

技の指導をしてもらったときの、力などもとても60歳だとは思えなかったです」

――柔術でスイープと呼ばれるもの、ガードワークにしても、MMAと柔術では使用する状況が違います。

「今日、練習したディープ・ハーフからの仕掛けでも、MMAで使える技だと思います。ただ、顔面をさらけ出すリスクを冒す必要があるのか、特にエルボーありだと危険なポジションですし。使うにしてもアジャストは必要になります。

ただ、MMAに使う技術としてパンチならボクシング、寝技なら柔術が一番だと思っているので、そこで使われている技術は知っているべきだと思います。使う、使わないは別にしても」

――道着有りの練習は、時間のあるファイターの専売特許なのではないでしょうか。

「でも、息抜きとして道着有りを練習することは、時間の制限がある人でも可能だと思います。スポーツって、クロス・トレーニングをするじゃないですか。MMA選手にとって、一番良いクロス・トレーニングは柔術が最適だと思います。週に6日、2部練習をしている選手が、6日目の最後、疲労がたまったのでプールに行くとか、ジョグだけにするなら、型稽古で良いから柔術にするほうが、体にも頭にも良いんじゃないでしょうか」

――そういうリフレッシュの意味合いがあるトレーニングで、MMAファイターとして世界を取った柔術家に極められると、どんな気持ちになるのですか。

「悔しいです。本当に悔しいッスね。それは……、それにMMAのトレーニングに関してストレスを感じるわけじゃないですし、悔しさを含めて楽しいです。その悔しさがルーカス・レプリに敗れた悔しさっていうのは、良いストレスの感じ方だと思います(笑)」

■北米出稽古紀行
北岡悟@ヘンゾ・グレイシー柔術
久米鷹介@ATTアトランタ
伊藤健一@Cooler
日沖発@アリアンシ柔術
漆谷康宏@ATTアトランタ