「着衣の上半身」を撮って逮捕。知っておきたい「盗撮」のボーダーライン
9月4日、23時40分過ぎ、JR常磐線の車内で会社員の男(46歳)が、隣席で寝ていた女性(24歳)の上半身をケータイのカメラで撮影したとして、千葉県警松戸署に現行犯逮捕された。容疑は県迷惑防止条例違反(盗撮)。同署によると、男は「かわいかったので撮った」と盗撮行為を認めたものの、撮影した写真には、女性の胸の谷間や下着などは写っていなかったという。
このニュースを受け、ネット上では「着衣の上半身を撮影し逮捕!?」と驚きの声が飛び交った。また、複数の大手新聞社が容疑者の実名や勤務先を報じたことから、「罪に対して罰が重すぎる」と容疑者に同情する声も聞かれた。
しかし、アトム東京法律事務所の岡野武志弁護士は「千葉県の迷惑防止条例に該当する可能性が高く、捜査の必要から逮捕は妥当」と語る。同条例には「女子を著(いちじる)しくしゅう恥させ、又は女子に不安を覚えさせるような卑(ひ)わいな言動をしてはならない。男子に対するこれらの行為も、同様とする」とある。つまり、今回の件は、容疑者が女性を著しく羞恥(しゅうち)、つまり、ものすごく恥ずかしい思いをさせたと判断されたわけだ。
こうした盗撮に関する条例は、文言は少しずつ違えど、各都道府県に存在する。スナップ写真撮影が趣味の40代男性がこう漏らす。
「撮られた側の胸三寸で決まるら怖い話。われわれスナッパー(スナップ写真愛好家)は、自然体を撮りたいので、見知らぬ人でも無断で撮ることがほとんど。それが犯罪行為になる可能性があるなら、もう撮影なんてできない」
彼らスナッパーに限らず、気軽に風景や人物を撮ることは多くの人がしていること。仮に自分のスナップ撮影に対し、「勝手に撮るな!」と被害を訴えられたら、即逮捕で実名報道までされる!?
「逮捕の可能性はないとは言えないが、撮影行為にわいせつ性がなければ問題ない。あくまで性犯罪を前提とした、社会通念上の性的な道義観念に照らして判断されるものですから」(前出・岡野氏)
ただ、パンチラなど写真に下着が写り込むなどしていても、“偶然”であれば罪には問われないとか。なんとも基準がわかりづらいが、見知らぬ第三者を撮影する際は注意が必要だ。
(取材/木場隆仁)
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