韓国のテレビ放送局KBS1TVで22日、特別生放送の「日本大地震被害支援の希望音楽会」が放送された。韓国では、同放送で歌手のチョ・ヨンナム(66)氏が詩人尹東柱(ユン・ドンジュ)の「序詩」を歌ったことや、募金のため多数のアイドルたちが出演したことを問題視する内容の非難が集まった。

 韓国メディアによると、「希望音楽会」にはチョ・ヨンナム氏とぺティ・キム氏、イ・ミジャ氏の合同公演とともにFTアイルランド、シエンブルー、ビースト、4minuteなどのアイドルたちも出演。問題となったのはチョ氏が尹東柱の「序詩」を歌詞とした歌をうたったが、歌詞が原作と違う内容ということだ。チョ氏はMBCのトーク番組に出演した際も同曲を歌い、批判されたことがあるという。

 尹東柱は韓国で「民族詩人」として知られている。1942年に日本へ留学した尹東柱は朝鮮民族の独立を呼びかけ、民族意識の鼓吹(こすい)や民族運動の煽動(せんどう)の罪で逮捕され、45年2月に福岡刑務所で獄死した。

 一方、KBS視聴者掲示板では放送後、「希望音楽会」とチョ氏の歌に対する視聴者たちの非難が殺到した。「日本を支援する慈善公演でこのような歌をうたうことは、独立直前に日本刑務所で獄死した尹東柱詩人の名誉を汚すこと」、「チョ・ヨンナムは国民の前で謝罪しなさい」などの書き込みが多数寄せられた。

 視聴者たちはまた、今回の放送に出演した韓国の人気アイドルたちが75分間にわたる募金電話の受付をしたことについても批判した。視聴者たちはKBSが募金のためアイドルたちを利用したと主張し、同件に対する反発やKBSが公営放送としての責任を問うべきなどの反応をみせた。

 韓国の有名な歌手・著作家であるチョ氏は、KBSのトーク番組「チョ・ヨンナムに会った人」で高い視聴率を記録するなど人気を得ていた。しかし、05年に出版した『殴り殺される覚悟で書いた親日宣言』は韓国で物議を巻き起こし、チョ氏は親日派と非難されるようになった。(編集担当:永井武)



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