担当M(以下M):ワールドカップの組み合わせが決まりました。

ラモス瑠偉(以下R):今年の組み合わせで死のグループがあるとしたら、日本が入っているE組ですよ。コメンテータとして冷静に考えたら3連敗、95パーセントの確率で。しかも1点も取れないと思う。日本はまだ2002年のワールドカップ以外では勝っていないんですよ。それにワールドカップ最終予選、最後のオーストラリア戦に勝てないチームがワールドカップで勝てるわけがない。でもまだ本大会まで半年あるからここからが勝負。岡田監督が今年のこと、どこまで反省してるか大事になると思います。そうは言っても、本当は監督の采配なんて20パーセントぐらいの影響しかないんですよ。勝敗のうち80パーセントはピッチに立っている選手のせい。選手たちが勝ちたいかどうかですよ。

M:今年のビーチサッカーワールドカップも強豪3カ国に囲まれて3連勝しましたね。

R:どこまで勝ちたい、勝てると思うかでしたね。選手たちが勝負を真剣に考えればいいんですよ。今の日本代表も5、6人は真剣に考えてるし、それがチーム全員に広がれば勝てる。勝とうという気持ちが盛り上がってきた上で、これからチーム作りに必要なことがある。どうしても本番が近づくと選手たちは緊張するから、そこで落ち着かせるベテランが必要ですよ。本山(雅志・鹿島)なんかいいと思いますけどね。90分走るし守備もしっかりするようになったし、彼はリズムもムードも変えることができる。

M:戦略的にはどう挑むべきでしょうか。

R:まず初戦で負けないことですよ。引き分けならオッケー。間違いない。その意味でも、僕は 3-5-2 にしてカメルーン戦に臨むべきだと思いますね。エトォをしっかり中澤(佑二・横浜FM)がマークして、あとのセンターバックは(田中マルクス)闘莉王と岩政(大樹・鹿島)で。エトォは止められないって散々言われているから、中澤が「じゃあ止めてやろうじゃないか、この野郎」って本気で思えばいいんです。そして守備を安定させた上で、両サイドが走ることで攻撃の形をつくるのがいいと思いますね。それで2戦目から4バックに戻す。オランダ戦で大切なのは大敗しないこと。負ける可能性は高いけど、大量失点して自信をなくすとその後に悪い影響が出ますからね。それで3戦目に何とか勝利したい、というのが僕が立てる戦略です。カメルーン戦が1-1、オランダ戦が1-2、デンマーク戦が1-0か2-1というのが狙いですね。

M:ということは……。

R:そう考えると1勝1分1敗。これはコメンテータじゃなくて、ファンとしての僕の願いですよ。

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ラモス瑠偉ラモス瑠偉プロフィール
1957年2月9日、リオデジャネイロ(ブラジル)生まれ。
1989年11月、日本に帰化し、1990年北京アジア大会、
1992年アジアカップ、1993年ワールドカップ予選などで日本代表の中盤をリードした。
竹を割ったような性格で、厳しく文句も言うけれど、一方で面倒見の良さでも知られている。

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リストランテ・カリオカ