国王杯準決勝第2レグ、バルサはアウェイでマジョルカと引き分け(1−1)決勝進出を決めたが、その立役者となったのがGKピントだ。バルサはホームで2−0と勝っていたことから、その余裕からかゴールチャンスをなかなか作れず、逆にマジョルカに1点を許し、苦しい展開となっていた。さらに悲劇が起こる。後半、カセレスがペナルティーエリア内で相手を倒し、マジョルカはPKを獲得。しかも、カセレスは一発退場を命じられたのだ。

 2−0となればホームでのリードも水の泡。振り出しに戻るどころか、一人少ない状況となりマジョルカが勢い付いてしまう。マジョルカPKのキッカーを任されたのはマルティ。ボールをセットし、主審の笛を待っていた。GKピントのマジックはそこで起こったのだ。ピントはゴールマウスを見つめるマルティに対し、左を指差し飛ぶ方向を指示。「キッカーに考えさせるか、少なくとも疑いを持たせなくてはいけない」と試合後に答えたピント。マルティは、ピントを見て微笑み返していた。

 重要な1点を懸けた心理戦。勝ったのはピントだった。マルティはピントの行為に動揺したのか、蹴ったボールは正面へ。ピントは指示した通り左に飛んだが、残った足でPKを阻止。その後、試合はメッシの登場で大きく流れが変わり、メッシが相手DFのミスを突き1−1となる同点ゴールを決め、バルサが決勝戦進出を決めた。ピントのトリック付きの死守で救われたバルサ。決勝戦もセカンドGKピントがゴールマウスを守ると騒がれている。一気にヒーローとなったピント。ちなみにこのアンダルシア地方出身ピントは、その風貌からかチームメイトから“タオパイパイ”と呼ばれているそうだ。

(スペイン通信)