東京・阿佐ヶ谷駅前で、現金輸送車から6900万円が盗まれる事件があった。現金輸送車のドアがこじ開けられることもなく、鍵はかけられたまま、忽然と現金が消えていた。本当にこんなことができるか、謎だらけだ。

窓が破られたり、鍵がこじ開けられたりした形跡なし

   警視庁などによれば、事件が発生したのは2008年12月13日午前10時8分〜10時54分ごろまでのあいだ。午前11時10分ごろ、「駐車中の現金輸送車から現金が盗まれた」と警備員から通報があった。輸送車から現金約6900万円が入ったボストンバッグなど4つのバッグがなくなっていた。

   輸送車はワゴンタイプで、日月警備保障(東京・千代田区)のものだった。この日現金輸送車に乗っていた2人の警備員が、阿佐谷北の中杉通りの路上駐車場に輸送車を止め、約100メートル離れたゆうちょ銀行のATM(現金自動預払機)の現金の回収や補充をしているさなかの事件だった。窓が破られていたり、鍵がこじ開けられたといった形跡はなく、警備員は「間違いなく鍵はかけた」と話しているという。鍵がかけられたままなのに、どうして6900万円は消えたのか?

「11時頃の阿佐ヶ谷駅前なんて、いつだって人がかなりいる。盗んだならわかりそうなものだけど」

と話すのは阿佐谷在住の会社員。事件当日、現場は人通りもあったと予想できるが、現在までに目立った目撃情報もないのだという。

   さらに謎は深まる。一部報道によれば、現金輸送車の鍵は、運転席、サイドドア、トランクでそれぞれ別々だという、さらに運転席と現金が積んであった場所には間仕切りがあり、運転席の合い鍵を持っていただけでは、現金は盗めない。

合い鍵を持っていただけで盗むのは難しい?

   ある警備会社の担当者はJ-CASTニュースに対し、

「合い鍵を持っていただけで盗むのは難しい。各社のセキュリティーシステムによるだろうが、現金輸送車の運転席側でロックを外さないとトランクが開かないといった構造になっているはず」

と話す。とすると、内部の事情に詳しい何者かが絡んでいる可能性が高そうだ。

   また、警備会社の業界団体のある関係者は「2人が現金輸送車から離れるということはあるが、お金を数えるなどで多少の時間はかかるにしても、車から離れている時間が45分というのは、個人的には長い印象がある」とも指摘する。

   今回被害にあった警備会社の日月警備保障だが、2003年にも現金輸送車から現金約1億5000万円が盗まれる事件があった。このときは社員が事件に関与した可能性があるとして捜査が進んでいた。J-CASTニュースでは同社の輸送車の管理について取材を試みたが、「担当者が終日外出している」ということだった。

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