ユーロ2008予選の対イタリア戦(8日)を引き分けで乗り切ったフランス。予選を突破するには、4日後のスコットランド戦が最大のヤマ場となる。

 W杯ドイツ大会決勝戦の再現となった同じB組のイタリア対フランス戦は、ドメネク監督の“問題発言”もあり、因縁含みの一戦となった。話題がこの試合に集中したことは、フランスの次戦の相手、スコットランドのプライドを傷つけたようだ。

 ドメネク監督は「イタリア戦が必ずしも重要なわけではない。むしろスコットランド戦がカギを握る」と語っていたのだが、相手にそのまま通じてはいないらしい。レキップ紙によると、スコットランドのバリー・ファーガソン主将は、「フランス人は傲慢だ。彼らは我々についてはまったく語っていない。たぶん我々がどんな相手かわかっていないのだろう。我々がグラスゴーでの第1戦の後半で、どんなにいいチームか見せつけたのに(結果は1―0でスコットランドの勝利)」と憤慨している。

 こう語る背景には、「フランスが(アウェーの試合で)、タッチラインを割ったボールを戻すのが遅いと文句を言った」ことがあるようだ。ファーガソン主将はこれについて、「馬鹿げている。この反応こそフランスの選手たちがどんなかを物語っている」と怒りを表している。

 さらにファーガソン主将はフランス代表のメンバーについて、「非常に高いレベルの選手たちではあるが、それはただの名前に過ぎない。名前に気をとられるべきでない。自分はそうしないし、チームメイトのほとんどもそんなことは気にしていないと思う」と語った。「彼らがキャリアの中で成し遂げたことは尊敬するが、一度ピッチに立てば、彼らが誰であるかなんて関係ない」と苛立ちをあらわにしたという。

 なおレキップ紙は、この発言を引用しつつ、ファーガソンがグラスゴー・レンジャーズで昨シーズン途中まで監督を務めていたフランス人のポール・ル・グエン(現パリ・サンジェルマン監督)と確執があったことを指摘している。ル・グエン監督にキャプテンを下ろされたファーガソンは、クラブの会長に「自分をとるのか、監督をとるのか」と迫り、クラブは地元出身で生え抜きのファーガソンの言い分を聞き入れ、ル・グエン監督を解任したとも言われる。

 一方でチームメイトのダレン・フレッチャー(マンチェスター・ユナイテッド)は、ドメネク監督による「スコットランド優位」の発言を聞き漏らしてはいなかった。しかしこれにも不快を感じている。「馬鹿げている。フランスとイタリアがいて、ウクライナがいる、こんなグループでどうして我々が優位なんだ?」と疑問を表し、これはプレッシャーを与えるための陽動発言だと指摘する。「彼らは我々に雪辱する気でいるだろうが、怖くなんかない。なぜなら、(第1戦で勝っている)我々は必ずしも勝たなくてもいいからだ」とプレッシャーを否定した。

 フランスというチームは、何かと話題になったイタリア戦を終えても、場外戦からは逃れられないらしい。これもグループ首位の宿命と余裕をもって考えればいいのだが、“絶対”の安心感がないだけにメディアもファンも、こうした発言に敏感になるようだ。少なくともメディアはそういう緊張感を作り出している。