生産終了後10年間はパーツの確保に困らないが……

 クルマの寿命をどう考えるかはなかなか難しい問題だが、ここ数年は確実に使用年数は伸びている。

 一般財団法人 自動車検査登録情報協会の資料を見ると、

「平成30年3月末の乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は13.24年となり、前年に比べ0.33年長期化し、3年連続の増加で過去最高となった」

 とある。

 10年前の平成20年に比べると1.57年延びていて、長寿化の傾向は続いている。

 巷では、10年10万kmがクルマの寿命のひとつの目安とされてきたが、メーカーの保証期間も「新車から5年もしくは10万km」(特別保証)がついていることからも、10万km以上が当たり前の時代になってきたようだ。

 以前、国産のスポーツモデルの開発責任者とお話したとき、「このクルマの寿命は、どれぐらいを想定しているのか」と訊ねたところ、「乗り方次第、メンテナンス次第ですから、何年何万kmとは言えません。自分としては、皆さんに愛され続けて、ずっと乗ってもらえるクルマであってほしいと考えています」と答えてもらったことがある。

 現実的にはその車種が生産終了となったあと、重要保安部品や主な補修パーツは10年間メーカーから供給される保証がある。しかし、その後は徐々に製造廃止や欠品となり維持が難しくなっていくので、車体の生産中止後10年というのはひとつの目安になるだろう。

 ただ、人気車種に関しては、15年後や20年後でも補修パーツや代替えパーツが入手できる場合がある。その車種専門店といえるようなガレージがあればパーツのストックも豊富で、より長期間乗り続けられる可能性が高くなる。

10年10万kmを超えるとパーツの劣化などが目立ってくる

 そうした趣味性の強いクルマや、いわゆる名車の類であれば、ある程度お金はかかってもメンテナンスやリコンディション、レストアをしながら乗り続ける価値があるだろう。しかし、もっと一般的なクルマだと、やはり6回目、7回目の車検を通すかどうかが悩みどころ。

 10年10万kmを超えるとゴムやパッキン、樹脂パーツの劣化が目立つほか、オイル漏れなども気になってくるからだ。

 またエンジンやミッション、エアコンなどにトラブルが出ると修理に大きな出費が必要になる。市場で中古車の買い取り価格がゼロになっているようなクルマだと、10万円か20万円、あるいはそれ以上の修理費を負担するのは考えもの。

 たとえ修理したとしても、他の場所も寿命が近い場合も多い。格別な思い入れがなく、10年10万kmを越えたクルマで、20万円以上の修理費が必要なトラブルが出た場合は買い替えを検討するのがオススメだ。

 また高齢者などは、乗り慣れたいまのクルマの方が安全と思うかもしれないが、自動ブレーキなどの安全装備・運転支援はぜひとも欲しいところ。これらの安全装備が普及し始めたのはこの4年ぐらいのことなので、それ以前に生産されたクルマに乗っている高齢者は、なるべく早く安全装備付きのクルマに乗り換えることを考えてほしい。