タレントの磯野貴理子さんがテレビのレギュラー番組で離婚することを公表したことが、世間を大きく騒がせています。芸能人の結婚離婚報告はさほど珍しいものでもありませんし、磯野貴理子さんは異性のファンの目を気にせざるを得ないアイドル歌手でもありません。ご自身も活躍している55歳の充分すぎる大人ですから、結婚しようが離婚しようがご本人の自由だといえます。しかも、今回2度目の離婚です。それなのになぜこれほどまでに注目を集めているかというと、離婚に至った理由が衝撃的だったからにほかなりません。24歳年下の(元)旦那さんから離婚を切り出され、理由を教えて欲しいと待っていたら、「自分の子供が欲しいから別れたい」と言われたんだそうです。

そのニュースがネットで流れてきたとき、失礼ながら元旦那さんが浮気かなんかをした相手に子供ができたのかと思いました。だって、この世に存在しないものを理由に、今目の前にいる愛する人を捨てられます? 

子供“なんて”授かりものです。そりゃ、女性55歳は医学の進歩によりたとえ出産できたとしても仕事と育児・子育ての両立はそうとうな負担となるでしょう。周囲でも「今から授かっても育てる自信がない」と38歳を前に子をもつことを断念した人だっているくらいです。なので、磯野貴理子さんは元旦那さんから離婚理由を聞かされたとき「自然なことだよね」と言ったそうですが、それが「子供を持ちたいと思う気持ちが芽生えるのは人として当然だよね」ではなく、「子供が欲しいなら、私はムリなんで離婚ってカタチが順当だよね」というのであれば、まだ救われるのですが……。きっと、公表したときの会話の文脈から読み取るに、前者なのでしょう。磯野貴理子さんは、24歳下の夫のわがままを許したのでしょう。

7年前、元旦那さんが磯野貴理子さんと結婚したのは24歳。まだまだ青年といえる年齢です。結婚したい気持ちはあっても子供のことなんて考えていなかった、いや、むしろいらないとすら思っていたかもしれません。でも、一般の男性が30歳を超えたあたりからそろそろ父親になりたいだのと思って結婚を視野にいれるようになるように、元旦那さんも31歳になって、気が変わったのかもしれません。まぁ、理解の範疇です。自然なことかどうかは別として、子供を持ちたいと思うのは本人の自由ですし。でも、自分が子供を持てるかどうかは話が別ですよね。

離婚したって子供が持てないことも

WHO(世界保健機構)が行なった調査では、不妊症の原因は男性のみが24%、女性のみが41%、男女ともにが24%、原因不明11%と報告されています。つまり不妊症の原因となるのは男性が48%、女性が65%です。離婚して子供が持てる確率って思ったほど高いわけじゃありませんし、そもそも自分がどうかっていうのって、調べたんですかね。離婚したって子供が持てないことも大いにあります。しかも今後、この元旦那さんと付き合ったりする人は、自分の子供が欲しいという望みを叶えられる人じゃないといけないってことになりますよね。次の相手としても、そうとうなプレッシャーではないでしょうか。「子供産むのが大前提」っていう札を突きつけられた状態で、恋って始められるものなんでしょうか。

元旦那さんの発言を、高齢結婚の女性に対して残酷・ひどすぎると非難する人も多いですが、高齢結婚女性だけの問題ではないと思います。「子供をもつ予定はないけれど結婚はしたい」という人にとっても人ごとではありませんし、望んだけれど授からないというケースもあるでしょう。そのときに、相手を変えれば授かれる(と思っている)相手に離婚したいと告げられたら?自然なことだからしょうがないですか? 

結婚年齢が上がるとともに、出産年齢も上がります。医療技術が発達してきているとはいえ、機能としてリミットがあるのも事実です。今後、子供をもたない夫婦も増えていくかもしれません。一方で、家族をつくることが結婚の目的であり、家族とは子供を含めたものという考えは根強く、かつ現在の日本のマジョリティーであることは間違いありません。結婚はするけれど子供はいらないという人よりも、子供を産み育てて当たり前という人のほうが圧倒的に多いです。でも、だからといって、生涯を誓い合った相手から「子供が欲しくなったから産めないなら離婚したい」と言われて、磯野貴理子さんのように「しょうがないな」と思えるものなんでしょうか。磯野貴理子さんは元旦那さんに対して「感謝しかない」と言っていましたが、そういうふうに思えるものでしょうか。子供が持てないなら価値がないって蔑まれている気がするのは筆者だけでしょうか。働く30代、40代女性は、今回の件をどのように受け止めたのでしょう。

その2ではあずき総研が働く30代40代の女性たちにリサーチした、今回の件についての意見を紹介します。〜その2〜に続きます。

結婚ってもう、一生ものだなって考えないほうがいいのかもしれないね。