水産仲卸売場棟内の上下した地面。左右の白線を見比べると、ウネウネと波打っているのがはっきりわかる

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道路はウネウネ、危険スポットがいっぱい

水産仲卸売場棟内の上下した地面。左右の白線を見比べると、ウネウネと波打っているのがはっきりわかる

「このままじゃ人が死ぬ」

 10月11日にオープンした豊洲市場だが、オープン初日からターレの火災や事故などのトラブルがすでに相次いでいる。実はこのトラブルは、以前から仲卸業者が不安を訴えていた危険性のうちの一つ。9月上旬には敷地内の地面に幅約10m、深さ約5cmのひび割れが見つかった。それだけでなく、開場まで1週間を切ったタイミングになってからも、次々と問題が発覚していたのだ。

「ひび割れの騒ぎも収まっていないなか、9月23日、今度は敷地内のマンホールから、突然、水が噴き上がってきたんです。東京都は『汚染物質は含まれていない』という旨の説明をしていますが、あまりにも問題が頻発しすぎている。都は『とにかく移転』の一点張りで、安全性を確保できているとは思えません」(東京魚市場卸協同組合の三浦進理事)

 三浦理事は、「建物内も危険な場所ばかりだ」と憤る。そこで本誌は、移転作業真っ只中の「水産仲卸売場棟」に潜入。多くの業者が「事故が多発する」と指摘した、"危険スポット"を現場検証した。

50m続くウネウネ地面

 業者が「最も危ない」と口を揃えたのは、水産仲卸売場棟1階のメインストリートとも言える通路である。1階には約500の仲卸業者のブースが並んでいるが、その脇を走る通路が、50m以上にわたってウネウネと波打っているのだ。

 上の写真の白線部分を見れば確かに、うねりは一目瞭然。東京都の担当者はこの状態について、「(排水路に)水を流すため、わざと勾配をつけている」と説明したが、前出・三浦理事はこう反論する。

「確かに真っ平らでは水は流れないが、それでもこんな形状にするのはおかしい。これだけウネウネしていれば、ターレ(運搬用の小型車)で走ればガタつくし、転倒する恐れもある。そもそも、こんな勾配をつけているなんて、我々業者は説明を受けていないし、説明をされれば絶対に反対していますよ」

狭すぎるターレスロープ

 水産仲卸売場棟は5階建て。仲卸業者はターレでこの建物内を走り回ることになるが、各階を行き来するためのスロープ(2枚目写真)でも、事故が多発する恐れがある。

「単純に狭すぎるんです。こんなところを何十台ものターレですれ違えば、衝突事故が必ず起きますよ。特に危険なのはカーブ。業者が自主的に走行実験をしたんですが、熟練の人でも壁にこすっていました」(仲卸業者)

 東京都は慌ててカーブミラーを取り付けたというが、そんな付け焼き刃ではたして事故は防げるのだろうか……。

棚から荷物を取るのは命がけ

 1階に並ぶ各ブースの上部には、仲卸業者がそれぞれ荷物を置いたり着替えをしたりする中2階のようなスペースがある(4枚目写真)。高さは3m近くあるが、そこへの上り下りはまさしく命がけだ。

「東京都からは『各自で準備』という指示なので、業者のなかにはホームセンターで買ってきたようなハシゴをかけているだけの者もいる。仲卸業者も少子高齢化が進んでいて、60〜70代も多いですからね。オープンした後、慌ただしさのなかで上り下りすれば、必ず落下して事故が起きますよ」(前出・仲卸業者)

 案の定、オープン初日から危惧していたターレの事故が起きてしまった。東京都は移転をゴリ押しする前に、入念に現場検証をしてみるべきではなかったのか。

ターレが行き来するスロープ。一方通行ではないので、何十台ものターレがすれ違うことになる

仲卸業者のブース内設備を点検する東京都の職員。杓子定規なやり方に、業者からは不満の声が上がっている

ブース上部にある中2階に上る業者。本誌記者もハシゴで上り下りしてみたが、その高さに恐怖を覚えた

オープンを間近に控え、ブース内で仮眠を取る業者。引っ越し作業は急ピッチで進められている

PHOTO:等々力純生