新幹線を使いこなす 第8回 新幹線のグリーン車を格安で乗るには? 「こだま」もうまく活用を
東海道新幹線建設の目的が、限界に近づいていた在来線の輸送力の救済であったことから、開業当時より新幹線の電車は、従来の特急より一回り大きな車体など、輸送力の確保には意を注がれていた。その一環として、1列5席の普通車が導入されたのだ。ただ、やはり当初から「狭い」という評判はあり、現在に至るまで様々に改良されたものの、根本的には「5人掛け」がずっと続いている。そうなると、「グリーン車が利用できれば、どれだけいいか…」と思うようになるのも当然かと思う。
○グリーン車は「ゆったり」だけじゃない
グリーン車は通常、1列が4席で横幅がゆったりしているのはもちろん、座席の間隔も普通車が1,023〜1,040mm(N700系の場合、以下同じ)なのに対し、グリーン車は1,160mmある。背ずりも高く、ゆったりと頭をもたれかからせることもできる。
付帯設備も充実している。車両により多少の差はあるが、角度が深いフルリクライニングシートのほか、テーブルが前席の背面と肘掛けの中の両方にあったり、読書灯がついていたりする。足乗せ(フットレスト)も前の席の下にある。
N700系などの場合は、電源コンセントが全ての席に付いている。長時間乗り続ける時、身体を休めたい時、あるいは新幹線の車中で仕事をこなしたい時に、グリーン車のありがたみを感じる。
また、東北・北海道・北陸の各新幹線には、さらにグレードが高い「グランクラス」もある。一般のグリーン車を上回るサービスが受けられるが、そちらについては、また改めて紹介しよう。
○特急料金は割安になるが、やはり高い
普通車よりいいサービスが受けられ、インテリアも高級感があり、車内の雰囲気もより落ち着いたものとなるだけに、グリーン車の利用には、それなりの料金が必要となる。
例えば、東京=新大阪間で「のぞみ」を利用する場合、普通車指定席だと運賃8,750円+特急料金5,700円で、合わせて1万4,450円となる。グリーン車だとさらに、グリーン料金5,300円がかかる。グリーン車利用の場合は特急料金が520円割引となるため、合計は1万9,230円だが、それでも普通車の約33%増しである。東京=仙台間の「はやぶさ・こまち」だと、同様に普通車指定席では1万1,200円のところ、グリーン車だと1万4,790円だ。
○「エクスプレス予約」ももちろん使える!
ただし、グリーン車に安く乗る方法がないわけではない。複数の人数または、複数回乗るのであれば、6枚つづりの「新幹線回数券」のグリーン車用を利用すると、1枚(1人あたり)が割安になり、東京=新大阪間だと1万8,920円となる。
もちろん、この連載で紹介してきたように、「エクスプレス予約」や「モバイルSuica」を利用すると、グリーン車も通常の運賃+料金より割安に利用できる。これらを利用した場合、東京=新大阪間は1万8,140円、東京=仙台間は1万4,080円となる。
列車や時期、区間にもよるが、「EX早特」あるいは「スーパーモバトク」などのネット予約&IC乗車サービスでも、グリーン車の割引が行われる場合がある。利用したい列車で実施されているのならかなり安くなるので、まずは空席検索を。適用がある場合、自動的に表示されるので、見落とさないよう選択しよう。
さらに、「エクスプレス予約」の「グリーンプログラム」を利用すると、貯まったポイントによって、普通車指定席と同じ料金でグリーン車に乗ることができる。筆者は月に1〜3回程度、新横浜=新大阪間を中心に東海道・山陽新幹線を利用するが、そのぐらいのペースでも、年に最低1回は「のぞみ」のグリーン車が利用できるポイント(1,000ポイント)が貯まる。
○「こだま」なら安い
東海道新幹線では、「のぞみ」「ひかり」にこだわらず「こだま」でのんびり旅をするつもりならば、「ぷらっとこだま」のグリーン車用が安い。列車、区間、席数限定だが、例えば東京=新大阪間が通常期で1万2,000円になる。駅の「みどりの窓口」では販売されておらず、JR東海ツアーズあるいはJTBの窓口、あるいはインターネット予約で、前日までの予約、購入が必要な点には注意しよう。
その他、「こだま」専用の商品としては、「エクスプレス予約」でも「EXこだまグリーン早特」などがあり、空いている「こだま」のグリーン車がかなり安くなるから、チェックしておきたい。「EXこだまグリーン早特」だと東京=新大阪間は1万1,200円で、普通車指定席より安いが、列車や席数は限定で、3日前までに予約する必要がある。
余談だが、東海道新幹線の列車のグリーン車がそれまでの2両から3両に増やされたのは、バブル景気の時代から。以後、それが定着したが、「こだま」に使われる編成は「のぞみ」「ひかり」とは共通で、グリーン車を3両連結しているため、どうしても利用率が低くなる。その分、割引した商品を提供して、利用してもらおうという姿勢である。
※写真はイメージ。本文とは関係ありません。
○筆者プロフィール: 土屋武之
1965年、大阪府豊中市生まれ。鉄道員だった祖父、伯父の影響や、阪急電鉄の線路近くに住んだ経験などから、幼少時より鉄道に興味を抱く。大阪大学では演劇学を専攻し劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。芸術や評論を学ぶ。出版社勤務を経て1997年にフリーライターとして独立。2004年頃から鉄道を専門とするようになり、社会派鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事を毎号担当するなど、社会の公器としての鉄道を幅広く見つめ続けている。著書は「鉄道員になるには」(ぺりかん社)、「まるまる大阪環状線めぐり」(交通新聞社)、「新きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)、「JR私鉄全線 地図でよくわかる 鉄道大百科」(JTBパブリッシング)など。
グリーン車は通常、1列が4席で横幅がゆったりしているのはもちろん、座席の間隔も普通車が1,023〜1,040mm(N700系の場合、以下同じ)なのに対し、グリーン車は1,160mmある。背ずりも高く、ゆったりと頭をもたれかからせることもできる。
付帯設備も充実している。車両により多少の差はあるが、角度が深いフルリクライニングシートのほか、テーブルが前席の背面と肘掛けの中の両方にあったり、読書灯がついていたりする。足乗せ(フットレスト)も前の席の下にある。
N700系などの場合は、電源コンセントが全ての席に付いている。長時間乗り続ける時、身体を休めたい時、あるいは新幹線の車中で仕事をこなしたい時に、グリーン車のありがたみを感じる。
また、東北・北海道・北陸の各新幹線には、さらにグレードが高い「グランクラス」もある。一般のグリーン車を上回るサービスが受けられるが、そちらについては、また改めて紹介しよう。
○特急料金は割安になるが、やはり高い
普通車よりいいサービスが受けられ、インテリアも高級感があり、車内の雰囲気もより落ち着いたものとなるだけに、グリーン車の利用には、それなりの料金が必要となる。
例えば、東京=新大阪間で「のぞみ」を利用する場合、普通車指定席だと運賃8,750円+特急料金5,700円で、合わせて1万4,450円となる。グリーン車だとさらに、グリーン料金5,300円がかかる。グリーン車利用の場合は特急料金が520円割引となるため、合計は1万9,230円だが、それでも普通車の約33%増しである。東京=仙台間の「はやぶさ・こまち」だと、同様に普通車指定席では1万1,200円のところ、グリーン車だと1万4,790円だ。
○「エクスプレス予約」ももちろん使える!
ただし、グリーン車に安く乗る方法がないわけではない。複数の人数または、複数回乗るのであれば、6枚つづりの「新幹線回数券」のグリーン車用を利用すると、1枚(1人あたり)が割安になり、東京=新大阪間だと1万8,920円となる。
もちろん、この連載で紹介してきたように、「エクスプレス予約」や「モバイルSuica」を利用すると、グリーン車も通常の運賃+料金より割安に利用できる。これらを利用した場合、東京=新大阪間は1万8,140円、東京=仙台間は1万4,080円となる。
列車や時期、区間にもよるが、「EX早特」あるいは「スーパーモバトク」などのネット予約&IC乗車サービスでも、グリーン車の割引が行われる場合がある。利用したい列車で実施されているのならかなり安くなるので、まずは空席検索を。適用がある場合、自動的に表示されるので、見落とさないよう選択しよう。
さらに、「エクスプレス予約」の「グリーンプログラム」を利用すると、貯まったポイントによって、普通車指定席と同じ料金でグリーン車に乗ることができる。筆者は月に1〜3回程度、新横浜=新大阪間を中心に東海道・山陽新幹線を利用するが、そのぐらいのペースでも、年に最低1回は「のぞみ」のグリーン車が利用できるポイント(1,000ポイント)が貯まる。
○「こだま」なら安い
東海道新幹線では、「のぞみ」「ひかり」にこだわらず「こだま」でのんびり旅をするつもりならば、「ぷらっとこだま」のグリーン車用が安い。列車、区間、席数限定だが、例えば東京=新大阪間が通常期で1万2,000円になる。駅の「みどりの窓口」では販売されておらず、JR東海ツアーズあるいはJTBの窓口、あるいはインターネット予約で、前日までの予約、購入が必要な点には注意しよう。
その他、「こだま」専用の商品としては、「エクスプレス予約」でも「EXこだまグリーン早特」などがあり、空いている「こだま」のグリーン車がかなり安くなるから、チェックしておきたい。「EXこだまグリーン早特」だと東京=新大阪間は1万1,200円で、普通車指定席より安いが、列車や席数は限定で、3日前までに予約する必要がある。
余談だが、東海道新幹線の列車のグリーン車がそれまでの2両から3両に増やされたのは、バブル景気の時代から。以後、それが定着したが、「こだま」に使われる編成は「のぞみ」「ひかり」とは共通で、グリーン車を3両連結しているため、どうしても利用率が低くなる。その分、割引した商品を提供して、利用してもらおうという姿勢である。
※写真はイメージ。本文とは関係ありません。
○筆者プロフィール: 土屋武之
1965年、大阪府豊中市生まれ。鉄道員だった祖父、伯父の影響や、阪急電鉄の線路近くに住んだ経験などから、幼少時より鉄道に興味を抱く。大阪大学では演劇学を専攻し劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。芸術や評論を学ぶ。出版社勤務を経て1997年にフリーライターとして独立。2004年頃から鉄道を専門とするようになり、社会派鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事を毎号担当するなど、社会の公器としての鉄道を幅広く見つめ続けている。著書は「鉄道員になるには」(ぺりかん社)、「まるまる大阪環状線めぐり」(交通新聞社)、「新きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)、「JR私鉄全線 地図でよくわかる 鉄道大百科」(JTBパブリッシング)など。