「外来生物のひみつ」(PHP研究所)。表紙のアリも間違えていたという

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PHP研究所は2018年6月22日、子供向けの学習図鑑『外来生物のひみつ』に掲載したヒアリの写真に誤りがあったと発表した。同社広報部によると、ヒアリと間違えて別のアリの写真を掲載していたという。

今回の誤掲載をめぐっては、ヒアリに関する情報を発信する有名ツイッターアカウント「ヒアリ警察」(@_Solenopsis)が同日未明、「絶対にあってはならない」として間違いを指摘。この投稿を受けて、PHP研究所側が事実確認をしたところ、誤りが発覚したという。

「『ヒアリ』ではない写真を掲載したまま発刊」

ヒアリの写真に誤りがあったのは、1月18日発売の「外来生物のひみつ ヒアリからカミツキガメ、アライグマまで」。監修は日本動物科学研究所の今泉忠明所長で、外来生物の生態や危険度を紹介する内容だ。

この図鑑について、PHP研究所は6月22日に「『外来生物のひみつ』写真の誤りについてのお詫びとお願い」と題した文書を発表。「表紙と本文(P50)に掲載の『ヒアリ』の写真に誤りがありました」として、

「ご購入いただきました皆さま、および関係者の皆さまには、ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。今後はこうした事態を起こさぬよう、再発防止に努めてまいります」

謝罪した。購入者に対しては、正しい写真を掲載した修正版と無償で交換するとも呼びかけている。

同社広報担当者は22日のJ-CASTニュースの取材に、誤りの詳細について、

「写真については有料・無料を問わず、 いろいろなサイトから収集したものを掲載しております。選択の際、該当の写真には『ヒアリ』学名が付いていたため、『ヒアリ』として掲載いたしました。ただ、その後の校正作業の中で、確認が不十分だったことで、『ヒアリ』ではない写真を掲載したまま発刊、今日に至ります」

と説明した。

「ヒアリ警察」の活躍で発覚

今回の誤掲載が発覚したのは、ツイッターの投稿がきっかけだった。投稿主は、「ヒアリ警察」という有名アカウント。ヒアリが国内で注目を集めた17年夏から、リプライで送られたアリの写真が「ヒアリかどうか」を判別する活動をしている。

この「ヒアリ警察」は22日未明の投稿で、誤掲載があった図鑑の販売ページのURLを紹介しながら「うわああああマズいです!マズいです!!」と一言。その上で、

「おそらくヒアリとしているこの左のアリ、絶滅が心配される赤いヤマアリの写真です。教育のための本で、絶滅危惧種と特定外来生物を間違えるなんて、絶対に、絶対にあってはならない間違いです!PHP研究所さん」

と誤りを指摘した。続くツイートでは、「ネットから引っ張ってきた画像だと思う」などとも訴えていた。

こうした投稿に対し、PHP研究所広報部のツイッターアカウントは22日朝になって、「こちらの件、至急事実確認をさせていただきます」と反応。その後発表されたのが、先述の謝罪文というわけだ。

改めて、発覚の経緯について同社広報部の担当者に質問すると、

「22日10時頃に、広報部アカウント宛ての@ツイート(編注・リプライのこと)を多数いただいたこと、ならびに外部関係者からの指摘により、ヒアリ警察(@_Solenopsis)さんのツイート内容を認識いたしました。制作担当部門が各方面に事実関係の確認をおこなった結果、誤りであったことが判明した次第です」

との回答があった。